第7話 冒険者様(魔王)、誘拐されます!
今まで遅れていた分、これからは土日に3話くらいのペースで出していきたいと思います。
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初めてのシリアスシーンですが、結構難しかったです。
時は18XX年。天の川銀河、太陽系の惑星、地球。
いわゆる「もし魔法があったら」の世界線のお話。
そこのある国、クロサス国の魔王様、カラセス様は
転生して色々あって冒険者になった。そして、、、、、
「…こいt………寝t………る。まぁ…………好都合d……ど…。」
何かが聞こえる。
その感覚を皮切りに、五感から情報が流れ込んでくる。
頭側に照明が一つ。他に照明はなく薄暗そうだ。
なにやら少し腐ったような匂いがする。
どこかの廃小屋なのだろうか。
だんだん意識がはっきりとしてくると、直前の記憶を思い出すことができた。
そして慌てて右腕を確認した。
どうやらちゃんと包帯がしてあり、血も止まっているようだ。
ある程度痛みはあるが、刺されたのだから仕方がないだろう。
「おい!起きてんじゃねぇか!もう3時間は寝てるはずじゃねぇのかよ!?意識毒は意識の弱い子供にはよく効くんだろ!?どうなってんだ?!」
ヤバイ。
慌てて右腕を確認した時に音を立ててしまったようだ。
どうしよう。
するとここで脳内の天使と悪魔が喋り出した。
(悪魔)ここは近くの鈍器を取って殴り飛ばすしかねぇ!
(天使)ダメよ!そんな野蛮なやり方では突破できないわ!
ここは穏便に話し合っってみるべきよ!撲殺の判断はその後!
いやいやいやいや。
天使も大概ヤベェこと言ってるぞ。
どっちも悪魔だろ!
でもそんなツッコミをしてるうちに、選択肢がまとまった。
1、悪魔の言う通り撲殺。
2、天使の言う通り、交渉してみる。
3、敢えて寝たふり。
4、このパニックに乗じて逃走。
この4つだ!
1つ目は敵の人数がわからないと厳しい。
2つ目は敵の目的がわからないと厳しい。
3つ目は絶対バレるからネタ。
4つ目は意外といけそうか、、、、、?
結論!
逃走。
ここまで決まってしまえば、まずは寝たまま状況確認。
バレてしまったので、遠慮なく体を動かし、右と左を確認すると、右には窓、左には扉があった。
さっき見張りの男は足の方に行ったので、そっちにはもう一つ部屋があり、仲間がいると考えるべきだろう。
よく見ると、右の机には小さめのハンマーがある。
隣にくるみがあるし食べようとしてたんだな。
なんか、、、、、邪魔してごめん。
よし。
方針は、ハンマーをとって窓を破り、逃走!
って感じだな。
えっ?
なんで扉でいかないのかって?
扉を開ける時間が勿体無いし、鍵かかってたら面倒だし、窓は割ったあと破片が散るから、追って来にくいし、扉の前にはみはりがいるかもしれないし、扉に行く理由がないじゃないか!
即断即決!
決めたらすぐ動く!
俺は起き上がり、走り出そうとハンマーを握った。
子供の体で寝ていたからか少しクラクラしたが問題はない。
急いで走り出し、窓にハンマーを叩きつけた。
「おい!何をしてる!」
後ろから叫びながら走ってくる足音が聞こえるが、窓は一発で割れ、俺はすぐに外に飛び出した。
足や腕にガラスの破片が当たり、血が出ている感じがするが、毒が抜けきってないせいか、痛覚が鈍くなっていて、気にせずに走り抜けられる。
「チッ!クソ!ガキが一匹窓から逃げた。追いかけろ!」
「おい!マジかよ!野郎ども、行くぞ!」
何やら後ろから舌打ちが聞こえたが、気にせずに走る。
だがそんな逃走劇もそう上手くはいかない。
幾ら二週間特訓していたとはいえ、最近走れるようになったばかりの子供が大の大人たちから逃げ切れるわけもなく、後ろから蹴りが飛んできた。
1回目はなんとか避けたが、そんな奇跡が何度も続く筈がない。
ーーードスッ
あえなく背中に回し蹴りを受け横にぶっ飛ばされた。
痛覚が鈍くなってるとはいえ、衝撃は感じるし、苦しさもある。
「カハッ!」
まるで胸を締め付けられてるみたいだ。
大人の蹴りを子供が受けるとこんな感じなのか。
いかに子供がか弱いかを実感させられた。
だが、俺の逃走計画は蹴り飛ばされただけで終わるようなものじゃない。
俺はゆっくりと立ち上がりながら、あいつらにギリギリ聞こえないような声量で呟いた。
「常闇を喰いし、太古の炎よ。我が眼前に姿を現し、我の仇なす全てのものを焼き尽くし、喰い殺せ。マガ・エンファイア。」
そう。魔法である。
二週間の特訓期間の間に、魔法が使えるか試したのだが、意外とできたのだ。
体内魔素量は少ないが、魔素制御はできるし、魔法を使うには問題ない。どでかい魔法を使う必要はないしね。
『マガ・エンファイア』は闇魔法の一種なのだが、炎魔法が使えることも必要で、使えないと制御できなくて暴走してしまう、闇魔法使い泣かせの魔法だ。
俺のお気に入りの魔法だな。
範囲と威力の自由度が高くて、当たった敵は何も残らないから死体処理とかもいらなくて楽なんだよね。特にでき魔獣。
ちなみに炎じゃないから、消えないヨ。
詠唱を終えて魔法名をつぶやくと、目の前に黒紫色の炎のようなものでできた球体が現れた。
「なんだあれ?」「なんか呟いてなかった?」「まさか、魔法?」
追いかけて来ていた奴らも慌てて止まって後ずさりし始めた。
あいつらが止まっている間に人数を数えると、1、2、3、4、5。
五人、と奥にいるのは、、、、、子供か?
ちなみにこの魔法の『マガ』と言うのはセルモント大陸の南東に位置する『蓮』という漢字を主言語とする国(現在の中国)の『禍』という漢字から来ているらしい。
「おい、お前ら。今から俺に攻撃して来た奴らはこれで焼き払う。それでも俺に危害を加えたい奴はいるか?」
この球体をこのまま投げれば大爆発して人は全て跡形もなく消え去る範囲攻撃になるし、球体に穴をあけるイメージで形を変えていけば、触れたら触れた場所が消える死のビームになる。
変幻自在って奴だな。
「ハッタリも大概にしろよ!お前みたいな子供が魔法なんて使える訳ねぇ。しかもそんな高位っぽい魔法なんてなおさら無理だ。つまりそれは他の誰かが後方から攻撃してるってことだろ?
おい!だれかこいつの周りを探せ!っピャォ!」
こいつの右足を狙ってビームを撃ってみたら、語尾が変になった。
面白いな。
また誰か喋り出したらやろ。
だが、このビームも無限に打てる訳じゃない。
この球体の質量分しか撃てない。
今のビームは範囲も小さく、発動時間も短かったので、同じものならあと10回ほどなら撃てそうだ。
それまでにあいつらが投降してくれればいいのだが、、、、、
そんなことを考えていると一番奥にいた子供が、廃小屋の方の森に向かって走り出した。
ちなみに俺の後ろは、草原が広がっている。
おそらく、クウェンデルはこの草原の方にあるのだろう。
そしてあいつらが走り出した子供に気づき、
「おい!そっちのガキも逃げようとしてるぞ!捕まえろ!一人はいねぇと俺らがドンに殺されちまう。」
怯えた顔をして叫んだ。
だが、怯えている、だと?
意味がわからない。
子供達を誘拐した犯人たちが何かに怯えている?
さっきリーダーっぽい奴は『ドン』って言っていたな。
それが関係しているのだろうか。
だがとりあえず今は、逃走について考えよう。
ここから走って帰るのは現実的ではない。
だからとりあえずこいつらをなんとかして、落ち着いて考える時間が欲しい。
それとも、こいつらを脅して無理矢理クウェンデルまで送り届けてもらおうかな。
楽だし。
考えるのはあとだ。2人は奥に走っていった子供を追いかけて行って少なくなったし、先にこいつらを無力化する!
「おい、お前ら。さっきのビームでわかっただろ。死にたくなきゃ投降しろ!」
流石にこれだけじゃ投稿はしn
「投降しまぁす!」
えっ?
おかしいな。こんな予定じゃ、、、、、。色々準備してたのに。ま、まぁ良いよね!早く終わる分にはいくらでもウェルカム。
「あ、マジィ?サンキュー。早く終わってこっちも嬉しいわ。」
なんかちょっとこっちの返答もチャラくなってしまった。何はともあれ一件落着ですな。
あ、心配なんんでこいつらは縄で丸太に固定しときます。
グルグルグルグル。
「フゥ。」
とりあえず、固定完了っと。
じゃあ廃小屋で今後の方針考えよう。
カラセス様が去った後、犯人達がくくりつけられた丸太では、ヒソヒソと話が繰り広げられ、リーダーの手には何かが握られていた。
この魔王様の「ひま」は彼からに始まり、その後も多くの人を巻き込んだ伝説を作っていくことになる。
皆さんが見ているのはその一幕なのだ。
一応戦闘パート?が終了?しましたね。
いやぁムズカシかったです。コツとかあったら感想で教えてくれると嬉しいです。
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