第10話 冒険者様(魔王)雑魚相手に苦戦します。
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時は18XX年。天の川銀河、太陽系の惑星、地球。
いわゆる「もし魔法があったら」の世界線のお話。
そこのある国、クロサス国の魔王様、カラセス様は
転生して色々あって冒険者になった。そして、、、、、
「子供が粋がってると痛い目見るぞ?いいのか?」
俺は今、金髪長身の誘拐犯もどきと対峙している。
だが我々は激しい戦闘を繰り広げているわけではない。
なぜならこいつは身軽さ以外に取り柄のない雑魚であるからだ。
雑魚相手では戦闘も激しくなるどころかどちらかが攻撃し、それを防御するだけの戦闘ともいえない醜い争いに成り果てる。
そしてこいつが雑魚であると確信したのは三つの要素があったからだ。
一つ。実力差がわからず、知らないもの(マガエンファイア)を恐れられていない。(経験不足)
二つ。氷の針を主武器としているが、それは魔法ですらなく、姿が視認できれば全然避けられるということ。(攻撃手段無し)
三つ。針を投げる威力が強い以外に特別な能力がないこと。(普通)
以上の理由から、彼は雑魚であると言えます。
著・カラセス
よくまとまってるな。うん。
そんなことは置いといて、この誘拐犯もどきの処理の仕方について考えよう。
もちろん奴に、子供に転生したとはいえ魔王である俺と張り合えるほどの実力はない。だが、奴の投げる氷の針の威力は子供の俺にとっては致命傷になりかねない。
倒すこと自体は容易いが長時間戦闘していると万が一針に当たってしまうこともなきにしもあらずなので、あくまで短期決着が理想である。
しかし、勢い余って◯してしまっては事の詳細が聞き出せないので気絶or降参させるのがベストである。
すなわち、今俺に必要とされているのは「奴の攻撃を防ぎながら魔法で怖がらせること」なのである。
ここまでしっかりと整理できていればすぐに決着を、、、、、と思っていた時期が俺にもありました。
なぜこんなに膠着状態が続いているのか。
その理由は単純明快。「僕には手加減できるだけの調節能力がないから」である。
魔王たる俺からしたら加減したマガエンファイアで奴の真横を掠らせるくらい簡単だ。
だがそれもあくまであの馴染みのある体で、の話だ。
今の俺はどうだ?こんな子供の状態で精密な魔法操作なんてできるわけないじゃないか!こんな状態で撃ってみろ、奴の耳が片方だけになってしまう。
「オラオラどうした!その炎の壁で防ぐことしかできてねぇじゃねぇか。やっぱ威勢は口だけかぁ⁉︎」
それに気づいてからは、奴の言う通りマガエンファイアを薄く伸ばして氷の針を防ぐことくらいしかできていない。
どうすれば、いいんだァァァァァァ!
なんかこう、簡単に馬鹿な奴をビビらせる方法、、、、、
火球とか見せても「見た目だけだろ?」とか言いそうだし。
いっそのことまた質問でもして動揺を誘おうかとも考えたが、どんな馬鹿だとしても同じ手は食わないだろう。
そうそうそういえば、奴は揺さぶりをかけると色々吐いてくれた。
最初は敵は相当な手練れだろうと予想していたが、黒幕は別にいて、こいつらはその輩に指示を受けただけの下っ端だった。
丸太にくくりつけた奴らが言っていたボスとはべつの中間管理職的なのがリアルタイムで指揮を取っているらしい。
そして今相対している奴は、その中で一番身軽であることからもう一人の金髪の子を探しに行けと黒幕から命令を受けたようだ。
つまり、だ。丸太にくくりつけた奴らが話していたのはこいつらではなく黒幕の方だったという訳である。
そして今前にいる奴は、とんでもない馬鹿だった。
明らかに口止めされていそうな黒幕の話をボロボロと吐きやがった。それを聞いた時はもうほんとに呆れたね。うん。
話を戻すが、馬鹿をビビらせるのは意外と難しいのである。
状況を理解してくれないからずっとポジティブシンキングで脅しが効かない。
かといって攻撃してしまうと◯してしまうかもしれないので迂闊には動けない。
こんな奴に追い詰められるとは、、、、、。
なんかもう誰かに任せてしまいたい。
誰か代わってぇ!(切実)
ん?任せる?代わりにやる、、、、、代理、、、、、主人に代わって、、、、、従魔、、、、、召喚、、、、、、、、、、はっ!
そうだ召喚魔法!
これでみんなが知ってる強そうな魔獣を召喚すればいいのでは!?
活路が見えてきたぞ!
でもこの体で召喚魔法が使えるかは怪しいんだよね。
召喚魔法は原則魔法陣が必要だから杖とかないと厳しいかも。
とりあえずそこらへんの棒でやってみよう。
実は魔法陣の書き方は意外と簡単である。
1,二重の円を書く。
この時二つの円の間隔は分が3行かけるくらいがちょうどいい。
2,内側の円の中に必要な属性を一つ書く。
属性にはそれぞれ模様があり、それを書く。
3,二つの円の間、内側の円沿いにその属性の使い方を古代文字で書く。
古代文字を使う理由は、魔素への命令書である魔法陣が古代文字でないと魔素に読み取れないからである。
知らない言語で「〇〇しろ」と言われてもその通りには動けないからな。
4,使う属性の数分だけ1、2、3を繰り返す。
杖があれば杖にうっすらと光の魔法をかけ立体的に描くのだが、杖がないと細かい魔法操作が難しいので地面に何枚か描いて無理やり発動させることもある。今回もそうする。
5,魔法陣発動の詠唱を行う。
これで完了である。
こんな風に一人で考えながら火、闇、光の三属性の魔法陣が完成した。一応俺は魔王なのでこれくらいの魔法陣は覚えてる。
もっとも、なぜその三属性なのかはよくわからないが。
「魔の精霊よ、我が命令に従いこの陣を表したまえ。」
そして詠唱を終えれば勝手に魔素を奪われ、魔力を使われ、魔法が成立する。そして詠唱では魔素を魔の精霊と呼ぶ。果たして魔素が精霊と呼べるもののかは不明だが。
詠唱を終えるとすぐに体からごっそり力が奪われ、地面に枝で書いた魔法陣が光ながら浮き上がり立体的に組み上げられた。
そしてその魔法陣から分離するように6枚ほどの大小様々な魔法陣が生まれ、いつの間にか俺が描いた3枚を中心に球体として形を成していく。
そしてまたその球体が潰れるようにして一枚の直径3mほどの魔法陣へと姿を変え、ゆっくりと地面に近づいていく。
その魔法陣の中から三つの頭を持つ黒い狼の頭が、魔法陣が地面につく頃には体長3mほどの一匹の魔獣、ケルベロスを形成しそこに堂々と立っていた。
そして、
「グォォォォォォォォォォォォ!」
と森を揺らす程の咆哮を上げた。
だが、俺を視認すると俗に言う「おすわり」のポーズになった。
ーーー主人さま。お久しぶりでございます。
「あぁ。久しぶりだなシュル。」
こいつは俺の従魔。ケルベロスのシュルである。
俺が勇者パーティの魔導師をしてた時、捨てられている子犬を助け、育てていたらこうなった。
ーーーご主人様は、随分と容姿が変わられましたな。
「あぁ。転生して子供になったんだ。逆にこの見た目でよく俺だとわかったな。」
ーーー雰囲気と魔力の質は変わっておりませんので。
「なるほど。魔力の質は変わってないんだな。」
こいつは俺が魔王になってからは俺の知り合いのところに預けていた。王城にこいつを住ませていたら「怖すぎて仕事にならない」っていろんな大臣から苦情が来たんだよ。
だからしょうがなく郊外にいる知り合いに預けたってわけ。
だから前に会ったのは半年くらい前かな。
「お、おい!な、なんだそのお、お、狼は!こ、攻撃が、き、効かないからって、幻術でも、つ、使ったのか!?」
あ、そうだったそうだった。こいつをビビらせるために呼んだんだった。
「幻術なんかじゃねぇよ。こいつは俺の従魔。ケルベロスだ。シュル、こいつを気絶させといてくれ。」
ーーーわかりました!久しぶりの主人さまのお願いなので私、張り切って頑張ります!
「あぁ、、、、そんなに頑張んなくてもひと睨みするだけで気絶すると思うよ。」
だってケルベロスだよ?こんな馬鹿すぐ気絶するって。
するとシュルは露骨にガッカリした様子を見せて、
ーーーそうですか、、、。主人さまの依頼だからと張り切っていましたが、あまりやりごたえがないですね、、、、、。そうだ!終わったら一緒に狩りに行きましょう!
「ごめんな。今度一緒に狩りに行くから頼むわ。」
シュルには本当に悪いことをしたなぁ。こんな雑魚を睨むためだけに呼びたしちゃって。あとでやりたいことに付き合ってあげないと!
「げ、幻術に惑わされたりなんて、し、しないからな!」
「グルルルルルルルゥ!」
「ヒィィィィィィィ!」
流石の馬鹿もシュルの至近距離での睨みはしっかり怖かったらしく叫びながら白目を晒して気絶した。
ーーーむぅ。根性がないですねぇ。この後肉球で頭を撫でるつもりだったのですが、、、、、。
「いや、シュルが撫でたらこいつの頭はずれるから。」
どうやらこいつは馬鹿だったことが幸いして死ぬことを免れたようだ。
さて。こいつをどうしたものか、、、、、。
この魔王様の「ひま」は彼からに始まり、その後も多くの人を巻き込んだ伝説を作っていくことになる。
皆さんが見ているのはその一幕なのだ。
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