傷は男の勲章とは言うけれど。
エリーフラワー様が傷薬を開発なさった。
「エキスを抽出するよりも粉末にして、軟膏に練り込む方がいいわね。」
パッケージには舌をチョロリ。と出したツチノコの絵が。
以前沖縄旅行で買ったハブ油みたいだよ。
「効能、痛み、くじき、肌荒れ、切り傷、火傷。」
いつも思うけど、くじきとは?捻挫のことかしら。
鼻をくじく、弱きを助け強きをくじく、だよな。
「そうねえ、ダーリンが書いた説明書だけど。くじきより捻挫の方がわかりやすいか。」
「効くんですか?」
「怖いほどよ。騎士団と忍びのみなさんに使ってもらったら大好評。ただし材料かなかなか手に入らないから。流通はね。」
「ふーん、一週間つかったらお肌の感触が違います、か。」
アンちゃんがヘレナさん達がツチノコを使った傷修復実験の報告書を見ている。
「メアリアンさんは、どうかしら?」
「それが薄くなってきましたの。毎日サマンサちゃんに見てチェックしてもらってますわ。」
「アラ、ランちゃんに見てもらえば、いいのに、!
ーー!ああ!ちょっと、ちょっと!苦しいっ!
取ってええ!」
アンちゃんのセクハラ発言に怒ったのか、ツッチーがアンちゃんの顔に張りついた!
「あら!大変!」
「もおお、アンディさん、ふざけすぎです。」
ランド兄が手をかけるとするり、と取れた。
「ふう、窒息するかと思ったワ。」
「あ、あなた、その顔!」
ラストの紅の豚のマルコの顔を見たカーチスみたいな声をあげる、ランド兄。
アンちゃんの顔を見ると、
「あ!傷がないっ!!ツルッツル!」
「えっ、うっそーーん!」
鏡を見るアンちゃん。
「まあっ!鏡の中の、コレがわたし?」
お肌はピカピカにかがやき、ピンクの肌は血色が良い。毛穴も目立たないよね?
「ツッチーはアンディさんの顔を治そうとして張り付いたんだね。えらい、えらい。」
兄やん、それは違うと思うばってんが。
「早速、王妃様にお伝えしなきゃ。私のこの傷だって2年くらいはたってたの。それが簡単に治ったんなら。きっと。まずはクリームからね。」
いそいそと出立の準備をするアンちゃん。
「レイカちゃんも行くのよ!そのクリームを持ってね。」
「え、私も?」
「だって誰がクリームを塗るの。悪いけど俺、城の連中信用してない。医者だって。
アラン様では気まずいかもだし、エラ様だってまだ
お互いにご遠慮があるでしょ。」
「いや、それはアリサさんとか。
あ、アリサさんも傷残ってるかな?まだ?」
「あーそうか。治るかもね。誰かネモさんにここのクリーム持っていって。」
アンちゃんの言葉で若い忍びが走りさった。
「でもねえ、アリサさんよりレイカちゃんの方が今となっては親しいわ。
クリームがきかなかったら、ツッチーを地肌に貼ってと進言してほしい。
アナタなら出来るでしょ。」
えっ、私ってそんなに傍若無人か?
それに何か見落としてない?
「素肌に触るのは王様ではないの?夫婦でしょ?
あ、お偉いからかあ。私たちなら夫婦で塗りあうよね。」
身支度をしている手が止まった。
「う、うーーん。そーーかーー。どーかなあー。」
「貴方が塗って下さいな。」
王妃様が王様に言い放った。
「貴方の側妃のせいでしょ。」
つーーん!と横を向く王妃様。
あ、コレは夫婦の問題だ。
「私達が。」
侍女たちが寄っていった。それに向かって、王妃様の背中のツッチーが、立ち上がって威嚇した。
「はい、こめんよ。」
アンちゃんが、彼女達を手刀でのしていく。
その中の1人の手元から毒の瓶が発見された。
ストレートな黒髪で肉惑的な女。
「オイ、この女を通したのは誰だよ。それともワザとか?」
すぐにその女達は拘束されて連れて行かれた。
「見事であった、アンディ。」
「ははっ。」
「とりあえず、オー・ギンよ、参れ。」
三人でお部屋に入っていった。
「どう言うこと?」
「…一応、オー・ギンに塗らせたことにするんだろうな。王が無器用だといけないから、そっちの方がいいかもな。」
そこへ、忍びと護衛達がよってきた。
「ほんとにアンディ殿の傷が消えてる!」
「すごいもんだなあ。俺も塗りたいなあ!」
「エリーフラワー様に頼めよ。ただ、材料が手に入らないから、しばらくは王妃様優先だよ。
俺だって身体の傷はそのままなんだぞ。」
アンちゃんが真顔になって、
「そういえば少年忍者たちは役にたってるか?」
「ああ、そうだな。エラ様を母のようにしたってるよ。」
そこへ。
「アンディ。」
「義父さん。」
「それなんだがね。
今、オー・ギンが王妃様について行ったように、エラ様にもクノイチが必要だよな。」
「また、保護施設に行ってスカウトか。」
「それも良いんだが。向こうから逃げてきた子供がいたろう?」
「1人は、ダメだよ。モルドール家の遠縁だ。」
「なんだ、そうか。ではまた施設で見繕うか。」
「ゲン・ノジョー夫妻にやらせなよ。
1人はもうそこの保養所にいるからな。」
夫婦で行かないと女の子のスカウトは警戒される。
「ところであの女の刺客は泳がせてたのか?すごくシロウトぽかったけど?」
「ああ、多分、ギガントの残党だろうと思ってるが、
あの女のダンスを王がお気に入りでな。お近くに置いてらしたんだ。」
わあ。トラブルの予感。
「さっきな、あの女が吐いたんだがな、
自分のことをアメリアナ姫だと言うんだよ。」
うわあ。嘘つきがいるぞ。
鏡の中のコレが私?ってフレーズ、
頭に浮かんだけどなんだっけと、しばらく考えました。
多分、和田慎二さんの愛と死の砂時計ですね。
ヒロインが女優さんに服を借りてメイクをしての発言だと思います。
ラベンダーの香に憧れました。
時をかける少女ではなくってね、この作品で知りました。
うーん、昔のことはボロボロ思い出します。