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我は行く。青白き光のままで。

次の夜。

ランド兄が怪我をしたので逆に両親が来た。

「大丈夫なの?」

「ま、この程度なら大したことないな。」

「それにしても、痴情のもつれだなんて。あのパティさん絡みなの?」

そう言えばいたな。厄介なお隣さんか。


「違うよー。あの子はもう白鬼さんと結婚したんじゃ?」

「ああ、そうですよ。こないだお祝いを持って行かされたんです。王妃様のお使いで。」

アンちゃんが苦々しげな顔で言う。


お祝いなんかする必要ないのにねえ。

お優しいことだ。と吐き捨てた。


「ごめんなさいね、うちの若いのが横恋慕したんです。」

「あなたは、カレーヌ様。」

「レイカさんの式では失礼しましたわ。」

「いえ、ランドさんは私をかばって。

 …初めまして。メアリアンと申します。」


「そうでしたか、貴女が。

コレはまたお育ちが良さそうな。可愛らしい方で。」


ギカントの元王女で、三羽烏の赤い稲妻の母違いの妹と聞くとビックリするだろうなあ。

「母さん、大丈夫だよ。ツッチーが怪我を治してくれた、ホラ。」


ペラリ。


ツチノコが剥がれたらそこには綺麗な肌が現れた。

まあ。軟肌ピンク肌だわ。

「コレは!王妃様に是非お伝えしなくては!

素肌にお貼りくださいと。」

アンちゃんが嬉しそうに叫ぶ。


そうだよね、治るといいよね。


剥がれたツッチーはぴょんぴょんと跳ねて出ていった。心無しか色がドス黒い。


それを熱い目で見守る父。父よ、あなたもですか。

欲しがりやさんだねえ。

おっと、ニシオカスミコになっていたか。


「ツッチー、どこへ行くんだよう?」

「そりゃ、溜まった毒を吐くんだと思うワよ。

UMAを怒らせるなんて。あのマレイネ、どうなることやら。けけけ。」

「アンディ様、あの女はマレイネというのですか?」

「そうよ、あちらの神殿ではそこそこ有名人だったみたいね?

お告げが当たるって。」


「そうなんだ。やはりそういう霊感みたいなのあった人なのね。」

アンちゃんが真顔になった。

「あら、レイカちゃん人がイイわね。

まったくなかったとは,言わないけどさ。

あちらの神殿にも集音器があった、というオチよ。」

「なるほどね。そういうモノがあるとわかっていたら、こちらにも無いかなと探すわよ、

悪意を持って利用しようとするなら、防ぎようがないわ。

エリーフラワー様に教えてあげないと。

自分の発明が悪用されたと落ち込んでるから。」

カレーヌ様は部屋から出ていった。


友情を感じるわ。


「すっかりいい子になったわね。」


アンちゃんもにこやかだよ。


「つまりあの子のお告げがあたったのは、盗聴していて個人情報を集めていたのね。

確かにマレイネって巫女は有名だったのよ。」

メアリアンさんが顔をしかめて言う。 


「多分やっていたのはあの子だけではナイさ。

嫌だねえ。」

アンちゃんも同意する。


「ところで、父さん、母さん。

さっき自己紹介してもらったけど、一緒のネコカフェで働いてるメアリアンさん。占い師もしてるんだよ。

真面目にお付き合いをしてるんだ。」

「宜しくお願い致しますわ。」

アンちゃんがコソコソと聞いてきた。

「あらあ、これって結婚のご挨拶なの?」 

「いや。そんな話とは聞いてないけど。」


「将来は一緒になろうねと今朝、言った。」


「嬉しいです。」


そんな話だった。

展開早いな、オイ!


「あーら、怪我して2人で病室にいる間に話が進んだのねえ。

もう、ランちゃんってメアリアンさんの柔らかいハグにやられたのカシラ。

やはり多少の肉付きが…痛い!やめてえ、レイカちゃんっ!」


何をぬかす、両親の前なんだぞ!


「ああっ、レイカが黒魔のアンディ様をぶっている。」

「ひえええ、やめなさいっ!」


「大丈夫、いつものことだよ。」けろりとした顔で語るランド兄。


「いやそんな、連れてくるというから、結婚の挨拶だろうかなとは思ってたけど、メアリアンさん、ご家族は?」

父と母は服からチラ見えする、彼女の手や首の傷にそっと視線を送っている。

虐待されてたと疑ってるのかな。


「実父は私が覚えてないくらいに小さい頃に亡くなりました。

実母はこないだの戦で。

実際世話をしてくれたのは義母なんですが、今は王都におります。

この傷はこちらに逃げて来るときにクマに驚き、川に落ちたのです。」

「その時、腕の良い医者が助けてくれたと聞いているよ。」


「大変だったのね。」

「そうだね、ネモさんのところには虐げられた女の人が逃げてくると聞いてます。」


両親とも涙ぐんでいる。

間違ってはいない。余計なことを言ってないだけだ。


そこへ、ツッチーが戻ってきたよ。

それを追いかけてきたヤー・シチさん。


「このツチノコがマレイネのところに来ましたが。

いきなり毒霧を吐きましてな。それを吸い込んでものすごく苦しんでます。」


「ふん。自分が使った毒が戻ってきたのか。」


そこへ。


青い光をまとってキューちゃんが現れた。


「さっき、ツッチーを見て追いかけて来たでござる。」

後から来たのはエドワードさんだ。


「エリーフラワー様は?」

「おお。レイカさん。カレーヌ様のおかげで元気になりましてな。電話の改良にかかっており申す。」


九尾の狐を見て固まるウチの両親。

「あ、あれは?伝説の!」


キューちゃんはアンちゃんの前に飛んでいった。


キュー!キュキュー!


「あら何?かしら?」

「撫でろと言ってますな。」

「え♡」

「ツッチーから話を聞いた。彼の大事な宿主?のランドさんに害をなした女を許せないそうでござる。

だからアンディさんから瘴気を吸い取り、天誅をくだすのだと。」


ジッとアンちゃんを見つめてる大きなルビーの様な瞳。

「えっ、そんなワタシを毒のかたまりみたいに!

…う、うーーん。やはりステキな手触りだわ!!」


凄く高速にキューちゃんを撫でるアンちゃん。

ワシワシワシ!

「し、幸せよ。うわあ、肩も軽くなった!」


キューちゃんの身体が赤く点滅し始めた。

危険信号である。

そして青く全体が光が満ち、尻尾も縦に並んで臨戦体制である。

ゴジラのように背びれと化したしっぽを光らせ、そのまま走りさるキューちゃん。


すると。

どどーーんん。ピカッ。

轟音と共に夜空に広がる光の花。 

6月初夏の夜空の中、

青い光が煌めき四方八方へと、散っていく。


「たーまーやー!!」


「何を言ってるの。レイカ?」

あら、口から勝手に。


聞いたところ、キューちゃんはいきなりマレイネを

咥えて走りだしたそうだ。

そして空に放り投げた。

そこへ口から放たれた青い光!

それは空へと続き花火のように、広がった。



「…アンちゃんについているモノって、ものすごいのね。」

「大分減りましたが、まだいます。」


「まだーいるのー!もー!」


「また、キューちゃんを撫でられるでごわす。」


「それは、嬉しいけどー!」



その後、彼女マレイネの姿を見たものはいない。


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