終わり良ければ、すべて良しと思ってた。
2人の関係はおおむね好意を持って受け入れられた。
クノイチ2人は、アンちゃんからたしなめられてたよ。
「ランちゃんにはがつん!と行かなきゃって言ってたでしょ。それをしなかったアンタたちが悪いのよ。」
「だってえ。あの金髪おさげと三すくみになってお互いに牽制しあってたんですうー。」
「ううん。なんかトンビにアブラゲ攫われた感じですよ。」
アブラゲと聞いてキューちゃんが姿を現した。
キュー。
「おおすまん。お腹が減ったんでござるな。
ちょっと外壁あたりに狩りに行こうか。
お友達のワンチャンにも会いたいんだろうし。」
エドワード様が寄ってきた。
キューキュー。キュ、キューー!
喜んでる。
「では、久しぶりにミネルヴァは私と遊びましょう。大分体調がいいのよ。」
エリーフラワー様と猫カフェでまったりするみたいだ。
「ええとね、ランドさん。あのハンカチなんだけど。
嫉妬心ではなくてちょっとやばい感じがするのよ。
出来れば処分した方が。」
眉間にシワを寄せてメアリアンさんが言う。
私も思った。なんかおどろおどろしい。
「確かにいい気持ちはしないわ。」
同意するエリーフラワー様。
その声が聞こえたのか、
キューちゃんが戻ってきて、ハンカチを見て口を開いた。
「!みんな、離れて!!」
口から、細く青いホノオがでて、ハンカチを焼くではないか。
たちまち立ち込める匂い。
「髪の毛を焼いたような、っていうか。
髪の毛を縫い込んでたのか!キモイぞっ!
あー、ツッチーに守られてた、ランちゃんには効かなかったんだな。」
どういうおまじないか。執念を感じるな。
「えええ?占い師さんとランドさんはラブラブだったの?」
サマンサちゃんだ。
「え、昨日目の前で抱きついてごめんなさい。」
キューちゃんは姿を消した。
次の日。
「聞いたわよー。うちのおさげ寝込んじゃったわ。」
カレーヌさんが納品に現れた。
「速攻婚約?したんですって?すごいわね。」
そうなるのかしら?
「メアリアンさん。アナタとは長い付き合いで、煮湯を飲まされたこともあったけど、
まあ、結果オーライだからいいわ。今の夫と結婚できたのも良かったし。」
「あははは。ハッキリ言うわねえ。良かったわね。
今のカレーヌ様は腹にためとかない人だから。本心よ。」
エリーフラワー様が笑いながら言う。
あれ?以前からそうでは?
「最初にあった頃のカレーヌ様は、いわゆる微笑みの姫でニコニコしてるだけの人だったわ。」
メアリアンさんはポツリと言う。
…私には色々やらかしてたよね?顔を白塗りにして驚かしたりさ。
ごはんたかったり。無理矢理泊まったり。
他所ではネコかぶってたのかい。
「レイカはね。以前からお友達だったから。
ありのままの姿みせてるのよ。」
それ、何のレリゴー。
「とにかく、メアリアンさん。レイカちゃんとランちゃんの兄弟は大事にしてね?
このワタシが見てるワよ。」
「わかってます…。
ところでカレーヌ様。あの金髪おさげの子は何ものですか?
あのハンカチの刺繍の腕前。隠されていた文字。
恋を成就させるおまじないのチカラに満ち溢れていましたわ。
ツチノコさんが弾き返してたけど。
私みたいに霊感待ちなのかしら。」
「ううん。ギガント王国が崩壊して、仕事がなくなったからこっちにきたって。
お菓子を作れるというから雇ったの。やらしてみたら、まあ手先が器用なこと。」
「なんのお仕事だったの?」
「どこか救護院か孤児院と言ったかしら?
ああいうところだとお菓子作ったり、刺繍した小物を売ったりするでしょ。
レイカ、アナタのお兄さんの綺麗なオーラにひかれたと言ってたの。
アラ、やはりそういうチカラがあるのかしら。」
エリーフラワー様が眉間にシワをよせた。
「神殿の巫女だったのではなくて?
10年に一度ご開帳をする女神像があったところの。
宝石の呪いを解くために不眠不休で祈らされた、ひとりだと思う。
もう、像も神殿も破壊されて博物館になったでしょう。
本当に救護院や孤児院なら人手が足りないはずよ。
神殿も王太后にべったりで、あまり良く思われてないから、隠したのかもね。
…カレーヌ様。アメリアナとメアリアンさんの事についてはご内密に。」
あ、そうなのか。
カレーヌ様もメアリアンさんも表情が硬くなった。
「…そうね。気づいたら恨まれちゃうわ。」