女ともだち。
一条ゆかりさんでこんなタイトルの漫画ありましたっけ。
砂の城、プライド、こいきな奴ら。そして有閑倶楽部ですね。面白かったです。
お食事の用意をしていると、内線がなった。
ランド兄からだ。
ヴィヴィアンナ様がお子様をお迎えに来ていると。
「良ければご一緒にいかがですか、とお伝えして。」
カララン。ドアを開けるあとも涼やかにヴィヴィアンナ様が入ってきた。
「ああ、皆さんお揃いなんですね。」
「たまには同級生、同学年で会うのもいいでしょ。」
「お時間ある?お子様はエドワード様に任せて、4人でランチはいかがかしら。」
「ええ、是非。でもご迷惑では?」
「平気ですよ、まだ下ごしらえの段階ですからね。」
「野菜切るのね?手伝うわ。」
流石にカレーヌ様は手際がいい。
内線で兄に連絡して、エドワード様の快諾を得た。
更に、あのクノイチ二人も手伝ってくれるようだ。
「あー、ランドさんのガールフレンド?」
とエリーフラワー様がニヤリ。
「そうなの?うっそ、ウチのスタッフでもランドさんが好きな子いるのに。配達によくついてきてる子がいるでしょ?」
サラダを盛り付けながらカレーヌ様が言う。
「あの金髪おさげさん?そうだったの。
確かに良く見るよね。
まだランド兄はどなたとも付き合ってないと思うけどね。
多分ツチノコのツッチーのお眼鏡にかなえば誰でもいいと思うのよ。」
スープの味を整えながら返事をする。
「何かお手伝いを?」
「妊婦さんと、ヴィヴィアンナさんはゆっくりしててね。
普段やり付けてないでしょう。」
カレーヌ様がさらっと断りながらホワイトソースをつくる。
この人本当に得意なんだな。
良いお嫁さんになるだろう、No.1の人気だったのは伊達ではなかったか。
さあ、出来た。
「そういえば、レイカさん。先日リード様に舞台をおススメになったんですって?」
うわ、いきなりの爆弾発言だ。
「いえ、あの。ご自身で役者になれば良かったかな?とおっしゃって。つい拍手を。」
「あら。」
皆さん面白そうな顔になってる。
「それでリード様は王妃様にお手紙を認めたそうなんですよ。」
「えっ…。」
最中を冷たい汗がしたたり落ちた。
あの時、アンちゃんやネモさんの態度から不味かった?と思ったのよね。
黒ヤギさんはお手紙書いた、白やぎさんたら、読まずに食べた、って
ならないかなあ?
「そしたらね、王妃様、コレを送ってこられたのよ。
完璧なスコア!と。」
オペラ座のファントムみたいなセリフを添えられて、見せられたのは楽譜だった。
「王妃様はリード様には歌の才能があるとおっしゃるの。
少しボイトレ?というのをやって歌うのはどうか、と。
年末にこないだの戦で亡くなった両国の鎮魂と復旧祈念コンサートを開けば良い。元王族として恥ずかしくない舞台であろう、と。」
なるほど、そう来ましたか。
「ネモさんも乗り気なんですよ。元ギガント国で仕事を失った音楽家、演奏家を呼び寄せようと。」
「なるほど。怒ってらっしゃらないんですね?
お二人とも?」
おそる、おそるヴィヴィアンナ様に尋ねる。
「いいえ?私にも踊ったらどうか?と。」
あのリフトすごかったですからねえ。
「何人かダンスの上手なクノイチも名乗りをあげてくれてはいます。
相方はこないだみたいにエラ様とは行きませんから。」
どれどれと楽譜を見ると、メモリーだった。
ああ、名曲だわ、確かに。
「王妃様の歌をお城の楽団が書き起こして、アレンジしたんですって。」
「他にもあるんですか?」
一曲だけではあるまい。
「後は他の歌手にも歌わせるみたいなんですけど。
まだ決まってません。楽しみですね。」
「ところでエラ様は実母のミドリナ様のところに来られてるんですか?最近。」
「いえ、ブルーウォーター公国が独立してからはあまり来られなくなって。
アラン様のお妃のエラ様が、いくらご自分のお母様がここの公国に住んでるからって、ホイホイ来られないのでしょう。」
とヴィヴィアンナ様が言えば、
「ミドリナ様のほうが足繁く通ってらっしゃると聞いたわ。」
エリーフラワー様が補足する。
「あら、それは?多分?」
カレーヌ様が目を見張る。
「発表なさらないことは言えませんわ。」
ヴィヴィアンナ様が微笑みながら静かに食後の紅茶を飲む。
ああ、ダンスが出来ないのはそう言うことなのね。
距離とか兄弟不仲のとばっちりではないのね。
次の日。
エラ妃のご懐妊が発表された。