だん、だん、断罪の段。
次の日。疲れ切った顔でマーズとマーグがエリーフラワー自宅兼研究所に現れた。
あの後、双子とセバスチャン達の父、
レッド伯爵も呼び出されたというか、引き立てられたそうだ。
新しい愛人のところにいたらしく、とてもしどけない格好で現れたとか。うえええ。
いなくて良かったです。
しかもその愛人にも王家のエメラルドのイヤリングを与えていたとか。
速攻で宝石は取り上げられた。
「王家の宝石はな。正当な理由で譲りうけたものでないと、その者の命を吸い取るのよ。」
と、王妃様はしれっと嘘をこいた。
それを聞いた令嬢達は速攻で差し出したらしい。
「お、お許しを。」
「王家の秘伝の儀式で清めてお祓いをしてやろう。
もちろんただと言うわけにはいかないがな。」
令嬢たちの家から少なからずの金銭を受け取り、
それは被害者の2人に渡される予定だそうだ。
最初レッド伯爵は、
「妻の物は自分の物。」
とジャイアン発言をしていたそうだが、
「ふざけんな、シャバ僧、吐いたツバ飲まんどけよぉ!!」
とても一国のあるじとは思えない、ビーバップな
王様の恫喝に震え上がったそうだ。
こういう家の中で奥さんに当たるやつってさ、自分より強い男には、しおしおのぱーになるんだよね。
うちの食堂の常連にもいたわ。
井○とか,内○とか。出禁にしたけど。
※この物語はフィクションです。実際の人物とは関係がありません。
それから王様はこんこんと説いた。
夫人たちへの暴行、監禁、殺害未遂。
新しい妻云々への発言、結婚詐欺。
「それは、ただの口説き文句で。本気ではなかったんです。まして、妻を儚くさせようとは。」
クリストファーは、コ・イー・ワイ牧場を立て直して
ブランド化した、夫人の手腕に嫉妬したと。
夫の嫌味に耐えかねた夫人が実家に帰ろうとしたら、捕まえて監禁していたという事だ。
ほんの少しのつもりで、忘れていたと。
そしてレッド伯爵は乳母として重用された妻に嫉妬していたらしい。
それでないがしろにして閉じ込めて、浮気を繰り返していた。
ムカムカする。
「まだ、母は良かったのです。私たちが気にかけていましたから。」
「セバス兄も母には差し入れや手当をしていた様なんです。途中までは。」
マーズとマーグがしみじみという。
「ただ、私たちも兄嫁がそんな目にあってるとは知らなかったのです。」
それで。
「妻に対するしつけというからワシが同じことをして、そなたたちをしつけてやろうなあ。」
と王様がおっしゃって、同じように監禁されているそうだ。
「セバスチャンが、そういう歪んだ家に育ったことは薄々感じておりもうした。」
エドワードさん。
私から愛娘を受け取り、イナイイナイイナバウワーの真っ最中だったが、
(子供をあやしながら身体をのけぞる、
とても難しいワザである。良い子は真似しないでね。)
真面目な顔を向けてきた。
「本当に。家から離れていたあの頃。
学生時代までが平和でしたな。
段々と家に呼びつけられて少しずつ変わって行ったのです。」
「私はね、セバスチャンがレイカさんに粉をかけてたころ、あなたも満更ではないと思っていたから。
ごめんなさいね。
それで、あなたとなら。実家と縁をきって、ずっと王宮にいたなら。
彼も大丈夫だと思ってたんだけど。」
いえ、エリーフラワー様。あなたが一番傍観者でした。助かりました。
「多分ですが。兄嫁さんと上手く行かなくなっていた頃、牧場の運営も上手く行かなくなった。
そこにセバスチャンの結婚話。」
「何度も実家に呼びつけられて。多分、もっと良い所へ婿に行かせるつもりだったのでごわす。
思いがけず奴が反抗したもんだから、親もムキになったと聞きもうした。」
「レイカさんは、私やヴィヴィアンナ様。それから
カレーヌ様とも上手くやれていて、
王妃様が唯一、身内以外に優しい相手。」
セバスチャンが私を見る目に嫉妬心を感じるようになったそう。
「流石に拙者も、リード様と王妃様に進言いたしました。」
ウラオモテがない、エドワードの言葉はまっすぐでロイヤルズの心に響いたのだという。
「ヤツの縁談が決まったときはホッとしたものですわ。」
「兄は。加速度的におかしくなりました。」
「そうネ。お嬢が意に沿わない結婚禁止と、常についてる王家の影がなければどうなっていたかしら。」
うわあ。怖いよう。
「それで。セバスチャンはどうなるのでござるか。」
「もちろん、受勲もなしで。
王妃様がこういうときは鉱山おくりが定番なんだけど。生憎適当なとこがないのよね。と。」
なんの定番。
「女性に対していばりんぼになる家系なら、女性がいないところがよかろう。
マグロ船に乗って揉まれてこい。ワシが良し!というまでな。との王のお言葉。」
いばりんぼって。
マグロ漁船も定番と言えば定番。
「そういえばワカメを取ってきたよな。フィッシャーマンも向くのではないかと、リード様が。
追い詰める発言をなさって。」
それ、ただの天然や。
そしてセバスチャンは船に乗った。
何故か前日、
「天下ごめんのむこうきずぅ〜♡」
と言う声とともに額をいきなり割られたそうだ。
「かまいたちだな?」
「そうだな。」
みんなにスルーされてそのままの出発。
「やられたら、やり返すからなあ、アレは。
レイカ嬢、なかなかの狂犬だが宜しく頼むよ。」
後日、王妃様のところにいったらアラン様に肩をポン!とされた。えええっと。
まあこれで、ダン、ダン、アーモンドダン、
ではなくて、だん、断罪は一応おわった、
レッド伯爵家の領地はそのうちマーズとマーグが継ぐんだろうけど、とりあえず王家預かりだそうだ。
ローリア様は無事に離婚なさった。
香ばしさが爆発するの、だったかな。
アーモンドダン。
ピンクレディが宣伝してたお菓子で最高なのは
やはり宝石箱かなあ