星の形の砂糖菓子には思い出ぼろぼろ。
「そうそう、レイカ。この2人の名前決まったのよ。」
王妃様が手招きすると壁と化していた、二人がやってきた。
確か新しい護衛のジョーとジョンソン。
「改名して、アーサーとランクよ。」
それって、、
ハヤテのようにーー○ブングルーーザブング○ー♩
「悔しいです!の人ではなくってよ。ほほほ。」
「アッ、ハイ。映画観ましたよ。グラフィティ。
アーサー・ランク。美形の人の名前でしたよね。」
「そうなんですか!嬉しいです!」
「一生懸命頑張ります!」
「ほほほ。流石レイカね。ではエルチ・カーゴとキッチ・キッチン、どちらが好き?」
「…なんですか、その二択。ひとつはイデオ○ですよ、、」
カララ・アジバが1番美しいと思います。
「母上、盛り上がっていらっしゃるところ失礼しますが、この者たちを紹介します。
お前達、母上に挨拶を。」
「はい、王妃様。ヤスミンと申します。」
「私はマットと申します。」
「私はテッドです。」
「以前お話しました通り、ギガントの孤児です。
エラの父親の前々王がやらかしたから、
国が内乱続きで。そこで親をなくしたんだそうです。
一般的な国民感情なんですが、…ミドリナ様が賢妃で国を立て直そうとしてたのは知ってるし、エラも悪くは言われてないそうで、この子達もグランディの忍びになるのは抵抗ないようです。」
7歳から、9歳ぐらいの男の子達だ。
アンちゃんもこれくらいで引き取られたのかな。
みんな黒髪だ。
だけど、目の色は青かったりしてね。ここは日本では無いんだなと、改めて思うよ。
「髪は黒いほうが、目立たなくて良いと思います。
今回はハニトラ要員は考えてませんからね。」
と、アンちゃん。
「ふうん、アンディの見たての新しい三羽烏なのね。」
アンちゃんが苦笑した。三羽烏という言い方は好きではないんだな。
「ヤスミン、マット、テッド、、。
ヤン坊、マー坊、天気予報。」
!!
「王妃様、それは。」
あっ、名前から連想しちゃったのね。
私を見てニヤリと笑う王妃さま。ええ、元ネタはわかりますよ。
「何のことなの、レイカちゃん!?」
説明しにくいよ、アンちゃん。
まずTVのスポンサーのキャラクターって何と言えば??
「誰もが知ってる有名な子供たちかな。
私たちの世代だと。」
ほほう、と感心するアンちゃんとアラン様。
間違ってはいないよな。
「ヤン坊、マー坊、テン坊。コレから力を合わせて、小さなものから大きなものまで動かすが良い。」
「なるほど。母上の言葉、しかと受けとめよ。
ヤンボー、マウボー、テンボーよ。
小さな任務から大きな任務まで力を合わせてやり遂げるのだぞ。」
まあねえ。ランボーという名前もあるくらいだからねえ。
「すぐ王妃様から名前をいただけるなんて、滅多にないわよ。ありがたく励みなさいね。」
「はっ、黒魔どの!」
アンちゃんはまた苦笑した。
「来い、我が妻エラに引き合わせる。これからは彼女を守ってもらうからな。」
「あら、ちょっとお待ちなさい。アラン。
ハイ、これ。この子たちにコレを下賜するわ。」
大阪のおばちゃんのように王妃様はアメちゃん、ではなくて、金平糖が入った袋を袖口から取り出した。
いつも持ち歩いてんのかな?
「…….。」
子供達の目が輝いた。宝物のように受けとる。
やはり保護施設ではそんなに甘いものは出ないんだな。
袋ごしでもわかる、星の形の美しい菓子。
「昔、お店に並んでるのを見てとても食べたかったんです。ありがとうございます。」
「夢でした!嬉しいです。」
「大事にします!少しずつ食べます!」
「ほほほ。アンディ。懐かしいでしょ。」
「…ええ!」
「そなたもどうじゃ。アランは?」
「は。いただきます。」
それはどちらが出した声だったか。
かすれていた。
2人とも両手で押しいただくように金平糖を受け取っていた。
少年のように頬を染めて。
きっと幼い頃、王妃様からもらう金平糖が何よりのご褒美だったんだな。
2人とも。多分リードさまも。
(そしてハッキーも。けっ。)
「母上。いつまでもお元気でいてくださいませ。」
どうか。どうか。いつまでも、いつまでも。
と、続くアラン様の声は小さく震えていた。
アンちゃんも力強く頷く。
2人の目には涙がにじんでいる。
きっとあの事件で王妃様が生死の境を彷徨って以来、季節の代わり目や、少しの体調の変化でも心配でたまらないんだろう。
ああ、そしてわかってしまった。
アラン様は、心の底でリード様を許してないんだ。
時々トゲがある発言をなさるのは、王妃様の怪我の原因だからだ。
あの時、リード様は12歳。アラン様は14歳。
そう、アラン様だってまだ少年だった。
まだまだ母の愛情が欲しかったのに。反抗期だった弟が、あげくのはてに死にそうな怪我をおわせた。
もちろん側妃が悪いのはわかっている。
それでも。
母の愛情を一心に受けているように見える弟が、
羨ましくも、疎ましいのだろう。
もうリード様は王家から出た。
名前も、新しくリード・ガーディア公爵と名乗られた。
(ガーディア家は、以前あった公爵家だ。5代前の王弟とか。)
それで彼の心が落ち着けばいいのだが。
あのねえ。親だった立場からすると、どの子も同じように可愛いんだよ。アラン様。
「ほほほ。大丈夫よ、私の大事な、かわいいアラン。貴方が立派な王になるのを見とどけるつもりよ。」
王妃様は慈母の笑みで微笑んでいらっしゃった。