世界の中心で愛を叫ぶかもしれない、美しきけもの。
「きゅーたん、きゅーたん!」
次の日、ミネルヴァちゃんは大喜びだ。
子供は動物が好きだからなあ。
あれからキューちゃんは綺麗に洗われてふかふかだ。神々しさがマシマシだ。
(洗ってくれたのはネモさんだ。)
「半分精霊みたいなものなので、エキノコックスはいないとは思いますけれども。何しろ伝説の生き物ですから。」
ネモさんが一応太鼓判を押してくれたよ。
「なんか、美しいよな。」
「神殿にいたら手を合わせるよな。」
「生きて動いてるんだもんな、、。」
リアル、ロコ○?キュウ○ンである。
目つきは鋭いが。
今朝エリーフラワー様のところの所員、従業員、護衛達を集めてお披露目された。
すん!
キューちゃんは、息を大きく吸った。
「おお、これで皆のニオイを覚えたでござるな。」
すごいよ。キューちゃんも。
それがわかるエドワードさんも。
ネモさんは乾麺や鰹節、昆布などの乾物などのお土産を山ほどかかえて上機嫌で陸蒸気で帰宅した。
「すっかりお世話になっちゃったワね。
コレでネモさんもアラン様とも上手くやって行けそうだと、わかって良かったわ。」
「エリーフラワー様。今朝の具合はどうですか?
」
「大分いいんだけど。あまりニオイがしないのが食べたいわ。クッキーとか、パンとか。
少し冷めたらニオイもしないわよね。」
「ええ、わかりました。そういえばお土産でネコちゃんの形のクッキーがあるんですよ。」
「ああ、…カレーヌ様が焼いたやつ?ふふ、あの人本当に作れるのね。」
ミネラルヴァちゃんにもあげることにする。
おっと、その前に手洗いだ。動物を触った後だもんね。
石鹸で手を洗おう♫
子供の頃、給食のまえにこの音楽ながれてたな。
口ずさみながらミネルヴァちゃんを探す。
うん?キューちゃんの上にまたがってる!
「ハイヨー!」
おい、お馬さん遊びかっ!!
いやしかし、キューちゃんよく怒らないなっ!
「ミネルヴァちゃん!降りて。おてて洗って。クッキーですよ!」
「ねと!(猫)ねと!(猫)」
猫さんクッキーに大喜びだ。そうなのよ、ちっちゃいときは、猫は、ねと。魚は、たたな。
まだ舌ったらずが可愛いのよね。
ウチの孫もそーだったわー。よみがえる前世の記憶よーー。
「あら、しっかりと美味しいじゃないの。見直したわ。」
「あい!どうじょ?」
ミネルヴァちゃんがキューちゃんにクッキーを差し出した。
ぱくり。
えー、食べるんだ。
おおー!しかも薄く光ったぞ!全身が。
「喜んでいるようでごわすな。」
「あげてよかったのかしら。」
いやね、昭和の子供の頃。
そんなドックフードが一般的でなかったから。
汁かけご飯とか。給食の残りのパンとかあげていたよ?
猫なんか、ねこまんまだったよね。鰹節かけたり、味噌汁かけたり。
出汁を取った後の煮干しだったりね。
しかも頭だけ残すのよ。
でも今はなんでもアリアリの時代じゃないよね。
えーと、この世界にもキャットフードにドッグフードもあるよな。
それでいいのか?お狐様に。うーん、お狐?
「もしかしてこの子も油揚げを喜んだりして?」
「レイカさん、それはもしかしてお豆腐を揚げたもの?」
「そうですけど、いや、それは伝説ですから。。
〜ってもう持ってきたんですか、仕事早いっすね、オイ。」
エリーフラワー様は皿にそれをいっぱいに乗せて
はい、どうぞ!と差し出した。
キューちゃんは尻尾をふりながら食べたよ。
そしてまた、光った。
「どうもね、飼い主?から貰えるものは何でも嬉しいみたいでござる。
昨日撫でたとき、ネズミやら小動物を捕食する映像が見えたでごわす。今度外に連れて行って思い切り狩りを、させてやろうと思います。」
エドワードさんにキューちゃんは、身体をすり寄せた。
「ところでアンディ殿は?姿が見えませぬが?」
「ネモさんを見送りしたら、アラン様のところへ行くんだって。」
エリーフラワー様がそれを聞いて真顔で言った。
「アンディ様の他にも側近を育ててるみたいで、それの指導に行かれてるって話ですよね。」
「うーんそうですな。官僚候補みたいなのはもう、いますからな。護衛ですかな。
何、拙者のあとはジークとフリードでしたからな。」
「ダーリンは私専属になってくれたものね。」
そうねえ。白鬼ことハッキーも引退したようなもんだし。
というか、アラン様のご不興を買ってたし。
そこへ、スケさんが。
(そういえばいたな。昨日ネモさんを連れてきたのはこの人だった。)
「最近、アンディが留守になるでしょ。ギガント国の戦災孤児の施設に行ってるんですよ。」
「え?」
「アラン様は三羽烏が王妃様に忠誠を誓ったように。
エラ様にもそんな手飼いの忍びがいれば、とのお考えです。小さい頃から手元におけばエラ様に懐つくだろうと。
アンディに、素質のある子供がいないか見に行かせてるんですよ。」
まぁ忍びの道も大変ですけど、孤児に生きる術を与えるのも大事ですからね、とスケさんはにこやかに言った。