キューちゃんがきゅっときて、キュのキュのキュ。
誤字報告ありがとうございます。
「だが、ネモ殿。そいつ危険ではないのか?」
アラン様が硬い声で言う。
そうだよね、今までトラさんやライオンさんがネモさんの前でだけ、いい子だったのは何回も見てきた。
「そうなんですけどね、。…何?そうかい?」
ネモさんの袖口から細い白い蛇が出てきて、キューちゃんの首に巻きついた。
まるで皮の首輪に見えるよ。
「ご家族に危害を加えようとしたら、このスネちゃま11号が首をしめる。そういうことにしてくれてもいいと。」
「まあ、健気だワ。」
感心するアンちゃん。
ポカンとしているアラン様に、白鬼も同じものをつけられてます、
しかも自ら付けてというなんて、説明している。
「そう言ってくれるのは、嬉しいでごわすが。ウチで飼えるかな。」
「エドワード様、エリーフラワー様。
彼等の忠誠心は本物です。
貴方達とお子様、これから生まれて来るお子様達も守ってくれますよ。
スネちゃまだって今は見張りですけど、そのうち協力して、敵を噛んでくれたりしますよ。」
エリーフラワー様がじっとキューちゃんを見る。
「キューちゃん、私はエリーフラワー。エドワードの連れ合いよ。よろしくね。
触ってもいいかしら?」
うん、女性の方が思いきりがいいって本当だね。
「才女殿!危険では!」
「おお、拙者も一緒に撫でてもよいか?」
キューちゃんがうなずいたので、2人でワシワシと触っている。
「きゃあっ、フカフカ!」
「いい毛並みでござるなあ!」
わあ。うらやましい。
おや、アンちゃんも熱い目で見ている。
キミは猫以外もいけるのか。そういやペス撫でてたな。
「ネモさん。九尾の狐は、私の元の世界でもよく知られているんです。
瑞兆とも不吉の象徴とも。美女に化けたり。石となって毒ガスを出したり。
この子、何かできるんですか?」
「うーん。犬族を思いのままに操れるのは確かだし、…君、化けられる?ダメ?
あ、透明にはなれるそうだよ。」
「ツチノコみたいに色を変えるんですか?」
「もっとクリアになれるとか。
ホラ。」
うわ、本当だ!すごい。透けてみえる!
今まで見つからなかったわけだわ。
「コレなら気付かれずに、影からエリーフラワーを守れますな!」
「ええ、こんなすごい護衛いないわよ。
普段はミネルヴァと遊んでもらったらいいわね。
キューちゃんは何食べるの??」
受け入れるの早いな、オイ。
「と、言うわけでギガントには元々このキツネとミノタウロスがいたんだな。」
「ネモさんやエドワードみたいな奴がいなくて見つからなかったんでしょうネ。」
「何なに?仲間たちが気になる?
あー、大丈夫だよ。ウチでちゃんと食べさせるよ。
自慢じゃないけどそこそこ豊かだから。
〜なるほど、仲間が飢えそうだから出てきたんだね。
その後、彼等には塀の周りをパトロールしてもらうお仕事を頼むよ。
思いっきり走り回れるんだ。
どうだい?安心したかい?」
ネモさんの腕の中でキューキュー鳴く、九尾のキューちゃん。
「ネモ殿はキューちゃんの言葉がおわかりになるのですな!」
「エドワードさん、貴方なら、わかるようになりますよ。
さア、彼をゆっくりと撫で続けて。」
ゆっくりと優しく撫でるエドワードさん。
うっとりと目を閉じるキューちゃん。
「おお、彼がリラックスして、喜んでいるのが伝わってきました!そしてあの岩山の光景が浮かんで来ましたぞ。
彼はあそこで生まれそだったんでごわすな!」
「え、こないだレイカちゃんがタマちゃんにやった奴?」
「うーん、そんな感じかな。」
いいえ、彼はホンモノ。
私はなんちゃってのカウンセラー。
「では、キューちゃんをお渡しします。」
キューちゃんは大人しくエドワードさんに抱かれた。
「それでは私は城に戻るとする。ネモ殿、またな。」
「では、お送り致しますワ。」
「アラン様。ウチに遊びにおいでくださいませ。」
アラン様は王妃様に良く似た笑顔で笑った。
「そうだな!母上にお会いしたいしな!パッと行って、サッとお顔みて、タッ!と帰るか!」
おお、やはり擬音をお使いだ。
「では、私もコレで。」
「いいえ、ネモ様。もう夜ですわ。ウチにお泊まりなさいな。」
「それが良いですな。何、良ければ酒を酌み交わしましょう。まもなくアンディ殿も戻ってきますぞ。」
「とりあえずお腹がおすきでしょ。おにぎりと豚汁をどうぞ。」
えーと、何かおつまみあったかしら。
おおそうだ。昨日使った昆布で作った佃煮がある。
「こないだレイカさんからもらった缶詰を出しましょうか。」
「すみません、御厄介になります。」
ネモさんが窓をあけて鳥を呼んだ。
そこに手紙をつけて飛ばした。
ちらっとみたら、
明日帰る。今日はエドワード様のところに泊まる。
と書いてある。
ああ、新妻(ローリア様)への連絡ね。くふふ。
「ちゃんと電話の開発をしなくては。今ではせいぜい集音器で近場の会話を聞くだけですからね。」
エリーフラワー様が言った。
そこへ、アンちゃんが帰ってきた。
「あ、酒盛りかあ。いいねえ。
コレ、今アラン様からいただいた、王家御用達のハムです。トワイライト牧場のものですね。
サア、妊婦とレイカちゃんはもう休んでね。
こっちでやるから。」
あっハイ。
「では、ダーリンよろしくね。」
私もお先に寝ることにした。男同志の話もあるのだろう。
何しろエドワード様といるアンちゃんは楽しそうなんだよ。
ドアを閉めるとき、ハムをもらってちぎれるほど、9つあるしっぽをふるキューちゃんが見えた。
なんだかね、
昔の手遊び歌で、
お寺のおしょうさんがーへちまのたねをーまきました、ってあって、締めが
キューピーちゃんがきゅっときて、きゅの、きゅの、きゅ!でじゃんけんぽんだった気がするんですよ。
地域性ありますからね。
あと、子供を足にのせてシーソーみたいにする、
ぎっこん、ばったん。やった事ありますか?
うちの方の言葉は、
ぎいーこん。ばーったん、
こーめやーの、はっちゃん、
でしたね。そのセリフがエンドレス。
米屋のはっちゃんが永遠に米をついてました。
昔は玄米をついてたからか。
(一升瓶の中に玄米を入れて、簡易的に精米する。
なんかそういう映像が浮かびます、映画かな?)
祖父や父の声がよみがえります。