カフェ&レストランがやっとオープン。
色々あったけど、猫カフェはオープンした。
その奥のレストランもだよ。
「いらっしゃいませ!」
「にゃ、にゃーん!」
まず可愛いクノイチと可愛い?ランド兄がお出迎え。
その後、猫ちゃんがお出迎えだ。
「ふふ。可愛い子猫ちゃん達だ。」
人間とリアル猫に同時に声をかける、麗しのヴィヴィアンナ様。
「きゃああっ♡どうぞ!お席へ!」
「みゃおおーん!」
「ごめんね、今日は奥の方に呼ばれてるんだよ、また寄らせてもらうね。」
やりとりがエリーフラワー様開発の集音器で聞こえてきた。
「これでみんなお揃いになるね。…いらっしゃいませ。隠れ家レストランへようこそ。」
「こんにちは。アンディ・ハイバルク支配人。
こちらお祝いの花です。遅くなってすみません。」
「ヴィヴィアンナ様、ようこそ。みなさんおそろいです。」
今日オープンで、王妃様、リード様御夫妻、ネモさん御夫妻、アリサさんとミドリナ様をご招待した。
テーブルクロスはミドリナさんが編んだレース。
「使ってくださっているのですね。」
「本当にこんなに美しいものをありがとうございます。」
エドガー王子様とフロル王子様はお留守番だ。
(ヴィヴィアンナ様が遅れたのはコレだな。ぐずったんだろう。)
「いつも私が子守してましたから、人見知りが始まったんですね。」
アリサさんが眉を下げて言う。
あれからアリサさんがリード様のお子様の世話をしている。
「リード様の小さい頃にそっくりですわ。何と、お可愛いらしい。」
リード様たちはとりあえずネモさんのホテルのスイートに住んでいる。
王妃様の別荘を増築してそのうち一緒に住むそうだ。
「さて、本日のメニューですが。
王妃様のリクエストでご用意しました。」
筍ごはん、土佐煮。
そう、鰹節が手に入るようになったのよ!
エリーフラワー様ありがとう!
筍の天ぷら。つくしのお浸し。
このネモさんの国には、筍もつくしもあったの。
豆腐とキャベツの味噌汁。もちろんお出汁は鰹ね。
唐揚げ。
今回は塩唐揚げにしたよ。塩水に漬け込むやつ。
「王妃様。ここでは安心して出来たてが食べられますよ。ずっと見張ってましたし、
毒見しないとけしからん、なんて言うやつもおりませんから。」
そう。お毒見しないと侍従長や侍女長がうるさい、てのもあったのだ。
「ああ、あったかい唐揚げ!美味しい!」
「レモンはコチラに。」
小皿に乗せたレモンを差し出すアンちゃん。
「アンディ、お前も成長したな!勝手にかけたりはもうしないんだな!」
「よしてくださいよ、リード様。…あの頃は尖ってましたから。」
苦笑するアンちゃん。
大皿に乗せた唐揚げを別部屋に持って行く。
若い忍び達に振る舞うようだ。
ドアの向こうから歓声が聞こえてきた。
ん?壁からゴクリ。という音が。
アラ。
ニュー護衛の2人だわ。
ジョーとジョンソン。そっと紙に包んで一個ずつ渡す。拝まれて早速口へ。唐揚げの匂いに人類は抗えないのだ。
ワハハ。ハハハハハ。
プチ世界の支配者になった気持ちでいると、
「エリーフラワーもねえ、来れれば良かったんだけど。」
王妃様がため息をつく。
「体調お悪いんですか?」
「アンディから聞いてるでしょ。つわりが酷いのよ。ミネルヴァを産んだ時みたいにうどんしか食べてないって。」
「それは心配ですね。ついこないだお会いした時はお元気でしたのに。」
「エリーフラワー様にはお世話になりましたし、お力になりたいですわ。」
ネモさんの妻、ローリナさんが言う。
「私がまたお世話しましょうか?こないだもお世話したし。」
「レイカさん、それは。」
アンちゃんが目を見開く。
エリーフラワー様はもうご両親がいない。
いても毒親というやつだったからな。頼れる母親がいないのだ。
「でも、ここオープンしたばかりでしょ。」
「私も最初はレイカに頼もうかと思ったんだけどね。」
でも心配だ。こちらに呼べるかな?
それも様子を見ないと。
「とりあえず三日から五日ほど行くのは?」
「あら、リード。そうね。それがいいわね。
アンディ。貴方がアランの近くにいるのを見れば、
安心する人たちもいるんじゃなくて?」
「あー、そうですね。ええ。痛くない腹をさぐられるのもイヤだしね。行きますか。」
アンちゃんは。お仕事だと言って時々いなくなる。
いつもアラン様の近くにいるわけではないのか。
「アンディくん。ルリルリは君を気にいってるみたいだよ。連れて行くかい?
あの子は、喋れるから連絡用にいいよ。」
えっ。あのルリコンゴウ?
肩に乗せると海賊みたいでカッコいいかも?
「いや、めっちゃ目立つでしょ。ありがたい申し出ですが。」
「アラジンのジャージャーみたいに?」
「王妃様。
悪人笑いで有名な彼はジャファーです。
それじゃ麺料理ですよ。ジャージャー麺。」
「あ、じゃあ、レイカさんに懐いてるミノッチ(ミノタウロス)を連れていけば?
護衛になるし、みんな驚くこと請け合いだよ。」
「「絶対に嫌です!」」