表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/288

伝説の洞窟。

「パーツ家はこれからどうなるのかしら。」

私がポツリと言うと、

「まあ、お取り潰しでしょうねえ。あのカス野郎を処分した時、ツブシときゃ良かったんだよ。ぷちっとな。」

アンちゃんがタイムボ〇〇シリーズみたいな言い回しで言い捨てる。


「パティさんは?」

「しばらく、母君の世話をして。そのあとはネモさん次第じゃないか?」


「そうねえ。」


そこへ。

ぴょんぴょん跳ねてツチノコが通り過ぎた。

「ああっ、どこへ行くんだよおっ!」

慌てておいかるランド兄さん。

その姿、ドラ猫を追いかけるサザエさんのごとし。


嫌がってたんじゃなかったの??


「おや、ジャンピングスネちゃんは私達を案内したがってるようだ。」


みんなで追いかける。パーツ家の敷地に入った。

庭同士が隣接してるんだよ。

そこに私がつき落とされた池もある。

あのカス野郎!


「ま、なんて事!」


アンちゃんの絶叫。

そこには洞窟がぽっかりと口を開けていた。

その入り口には、白い布に覆われた祭壇があって、

そこにはカゴに押し込められた猫ちゃん達がいた。

皆、痩せ衰えてる。

まさか?お供え?



「クロタじゃないか!最近見かけないと思ったら!」

本当だ!ウチで飼ってたクロタもいる。

「許せないわ!猫ちゃんに何をするの!」

「アンディさん待って。奥に何かいる。」

洞窟の中から

グルグルガグワァアァ、、

近づいてはいけない声が聞こえてくるよ。

「え、トラなの?リアル虎の穴なの??」


タイガー○スク??


「うーん、とりあえずレイカさん下がってて。

…ヨーシヨシヨシ、怖くないよ、出ておいで。」


ええっ、これは!


ぶるぶるふるえながらネモさんの神ボイスの呼びかけに答えて出てきたのは。


「み、ミノタウロス!!」


「大丈夫!怖くない怖くない、ひと休みひと休み。」


いや、こっちが怖いんですけどっ!!

あとそれ一休さん?



「実在したんだ、、、。」

「ま!猫ちゃんはエサのつもりだったのね!許せないわ!」

早速アンちゃんが猫ちゃんをカゴからだす。

サンド兄さん、アンちゃん、問題はウチのご近所にコレがいた事では?


がおがおがお。ぐがお。


「そうか、辛かったんだね、うんうん、そうか。

生き物食べないのに、猫とか連れてこられても、だって?

ベジタリアンなんだね。

ホラ、ここにりんごがあるよ。お食べ。」


すげえ。わかるんだ。

「とりあえずそこの池に入っておいで。喉も乾いたろうし。」

ツチノコのツッチーもついていった。

「アイツら、ギカントの残党はコイツが目当てでここに来たのか。サンドさん、ランちゃん、こんなのがいるって知ってた??」


「知らないよ!この洞窟?みたいのはあるのは知ってたけど、危ないからはいるなって。」

「そのうち入り口を板で打ちつけて入れなくなっちゃったよ。」

スケカクさんがやってきた。


「ギガントの奴らを締め上げた。なかなか吐かなかったけど。」

「あの洞窟は中でも迷路になっていて、ギガント国にも繋がっているらしいんだ。」


「それでな。パーツ家とモルドール家を滅ぼして入れ替わるつもりだったみたいだ。」

「それからゆっくりとミノタウロスを調教するつもりだったと。」


という事はギガントはこの洞穴の迷路にこの怪物がいるのを知ってたんだな。



「レイカとランちゃんが国の重鎮の覚えがめでたいのを知らなかったのかよ!

ケッ!」

アンちゃんは怒ってギガント国の捕虜のところへ行った。

「アンディ。やり過ぎるなよ。そいつらからはもっと事情を聞かねば。」

ヤー・シチさんが後を追った。



ネモさんはミノタウロスに近づいていった。

ざわめくスケカクさん。

「あ。危ない!」

へらりとまったく危機感を感じさせない足取りで池の縁に立つ。


「ヤア、ミノっち。落ち着いたかい?」


ミノっち、、、ネーミングそれ?


「なるほどねえ。じゃア僕んところに来るかい?

気が合いそうなお友達もいるよ。

大足くんとか、ユキオくんとかね。」


ビッグフットと雪男か。

ネモさん同席の上なら、一緒に写真を取れるらしいよ。観光客に大評判だとか。


それにミノタウロスも加わるんだね。


「ーーあ、ここらへんの土地の持ち主の許可もいるかな?」

チラリとサンド兄を見た。


「どうぞ、どうぞ!!」


ダチ〇〇倶楽部なみの良いお返事だ。


おや、ミノっちの背中に何か張り付いている。

ツチノコのツッチーだ。

平べったくペタリと伸びて、背中の鱗の色はそのままなので、別のUMAの感じで、そう、河童の甲羅みたいになっている。



「彼らは元々知り合いだったようだよ。」



「もう俺のところにはこないんだね。」

と寂しげにランド兄がいい、

「俺も背中に貼り付けてみたかったなあ。」

とサンド兄がしみじみと言った。


「そうですか。

サンドさんもUMAに好かれるタイプですよ。

…どうする?いてみる?」


んんん?

すると、ネモさんの背中の色が変わって、別のツチノコが飛び出してきた。

「背中を守ってくれてました。ヨロイがわりにね。」


いてみるかあ。

なんか取り憑くっぽく聞こえた。


そのまま、サンド兄のところへペタリ。

「うわっ♡」

喜んでる。


それからミノタウロスからハズレて、

そっちのツチノコもランド兄に戻ってきた。

ベタリッチョ。

「ああっ!」

感極まっている。


「じゃア行くかい?」

「ネモさん、これ。」


「これはテーブルクロス?」

そう、祭壇に敷いてあったものだ。

「ミノタウロスに巻いて下さい。コレがほんとの腰ミノ、何ちゃって。」


顔はウシ。身体はニンゲン。下半身は毛に覆われているとはいえ裸体なんである。


(ちなみに上半身は肌がむき出しのツルッツルである。)


メロスではなく、怪物は赤面した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ