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僕、泣いちっち。

奉納舞いが済んで博物館はオープンした。毎日長蛇の列だ。

1番人気の宝石コーナーには、

《この宝石はお祓い済みです。

安心してごらんください。》

の説明文があるそうだよ。


やはりみんな怖いものみたさなんだね。


ところで。

「アンちゃん。あのキーナはどうなったの?」

「さあ?知らない。最近忙しくって地下牢にナイフ打ち込みに行ってないし。」

アンちゃんは薄く笑って新聞を読みながら答えた。

あー、これは本当は知ってて私に隠してるパターンだ。


そこでノックの音が。

「お客様でごわす。」

「あら、エドワードさん。」

「レイカあ、アンディさんいるか?」

ランド兄さんがエドワードさんに連れられて顔を出した。

ブルーウォーター領内で新レストランの建設に携わっていたはずだけど。

「ランちゃん、お久しぶりね。何か御用なの?」

「アンディさん。白鬼をどうにかしてもらえませんか。」

アンちゃんの目が細くなった。


「へえ。アイツどうしたの?」

「とにかく貴方に会わせろと、呼びだしてくれ、とうるさいんです。今日は王妃様が1日白鬼に警備を言いつけて下さいましたから、振り切って来ました。」

確かに、ここは鉄壁の守りだ。入れやしない。

「俺は会いたくないけどね。何で王妃様はアイツを庇うんだか。」

「拙者もチラリと耳に挟んだのでごわすが、

忍びの保養所を作る話をしたいとかなんとか。」

「は!勝手に作ればいいじゃんか。

だいたいそっちの話はさ。俺よりもヤー・シチ義父おやじさんとかの方が良いじゃないかよ。」

年齢的にもさあ。と言い捨てた。


「ところで、ランちゃん、そのペットなに?」

「困ってるんだよ、離れなくて。」

え?と思ったら、ランド兄さんの服の一部がいきなり色が変わった。というより、服に、擬態して今まで色を変えてたんだ。


カメレオン?いいえ?

「ネモさんはジャンピング・スネちゃんっていうけどさ。UMAが懐くって滅多にないからスゴイですねって。」


ツチノコ!!へえー、カメレオンみたいに色を変えられるんだ!そりゃ見つからないわな。

舌を相変わらずチョロリ。と出してる。可愛くない事もないか。


ランド兄さんの背中にベッタリと張り付いてる。

「何を食べるのでごわすか?」

「なんかねえ、時々羽虫を食べてるよ。だけどりんごとか食べてると欲しがるよ。」

「すごいじゃない。これを見せ物にしたら一生食べていけるよ。」

「レイカ。そう言うけどなあ。こんなのつけてるんじゃモテないんじゃないかな?」


はははは!と声をたてて笑ったのはアンちゃんだ。


「大丈夫よお。ランちゃんは相変わらずモテモテよう。

それよりランちゃんを守ってくれそうヨ。この子。

皮が硬そうだし。きっと襲われても刃物を通さないから。いいヨロイだと思ったらどう?

それに冬は暖かく、夏はひんやりするっていうわ。」

「だってさ、白鬼はネモさんに蛇をくっつけられてるけどね、あれ、白い髪の毛に混じって白蛇が垂れ下がってんのが見えるんだよ。みんな引いてるよ。」

えっ。リアルメデューサ??

それはこわ〜い。

「アイツはレイカちゃんとかに不用意に近づくと蛇に噛まれる仕掛けだからな。だからこっちから会いに行けば良いってかあ?ケッ。」


まあ、だいたいアンちゃんのお仕事以外は一緒にいるからね。


「仕方ないなあ。じゃア行くか。レイカちゃんも悪いけど来てちょうだい。

アイツがウッカリ寄ってきたらスネちゃまが噛んでくれるでしょ。けけけけ。」


エドワードさんとランド兄さんと一緒に王宮に行った。王妃様の隣にハッキーこと白鬼がいた。


「もう逃げ回るのは辞めたのかの。せっかく引き離してやったのに?」

王妃様が、口元を片方あげて皮肉っぽい笑みを浮かべてる。

「王妃様、ご迷惑をおかけしました。別に逃げてはないです。

避けてただけです。…オイ、何の用だよ?」

「あのさ、ネモさんとこの森近くに引退した忍の保養所を作るんだけど。」

「ネモさんから聞いたよ。アンタがやるのか。

そのまま引退してくれると、ウレシイね。」


「共同経営者になって欲しい。」


「はあ?やらねーよっ!なんでずっとアンタと関わんなきゃいけないんだよっ!!

…あー、金かあ?金がないから出して欲しいってか?」


「えーー?いやーーそんな?ちょっとはそんな事もあるけどなあ。」

いきなりモジモジしているハッキー。くねくねするんじゃない。キモイ。おや、髪の毛の一部が持ち上がったようだ。

スネちゃま2号だ!2ってマジックで書いてあるよ!

肥後の赤牛みたいだよ!

(脱皮したとき誰の皮なのかわかって便利だとネモさんが言った。)


「ね、レイカちゃんも説得、」

私の方に足を踏み出してきた。


アンちゃんから殺気が飛んできて、

スネちゃまがハッキーを噛もうとした。

「ひいっ、やめてっ。」


その時。

「話は聞いた!!」

ババーン!

ドアを開けて現れたのは金髪の美丈夫。

「あら、リード。」


「私は!この前の戦のとき、私たちの影武者になったせいで怪我をした、ゲン・ノジョーとオ・ツナ夫妻にはすまなく思っているのだ。」

「まア、リードったら優しいのね。」

「勿体なきお言葉でございます。何をおっしゃいますか。それが仕事ですから。」


おゲンさん夫妻は顔や手に大きな傷が残っていた。

確かに身代わりでギガント戦で怪我をしたと聞いた。

「普通の護衛はできますが、流石に要人を間近でお守りするほど身体の自由は効かないのです。

お恥ずかしい。」

「それでだ。彼らをその保養所に入れて管理人としようと思う。」


「あらリード、良い考えね。それなら彼等の功労と見舞いの気持ちで援助をするわ。」

「ああら、それは。白鬼。万事解決じゃないの。どうせアンタは経営とか建物管理とか出来ないでしょ。けけけけ。」

アンちゃんは楽しそうだ。

「そんな!アンディ、俺はおまえと暮らす口実が欲しくて!」

「白鬼よ。お前はいち従業員として彼等に協力せよ。なに、特に怪我もしてないのだから、森から出てくる不審者くらい狩れるであろう?」


「は、はい。で、ですが。」


「アンディ夫婦の邪魔をするでない。彼等はレストランや猫カフェの経営をするのだ。」

「で、ですので。それと合同の建物でどうかな??と。」

「黙って聞いておれば!王族も行くレストランを、そんな防衛最前線におけるわけがなかろう!

これ以上妾を怒らせるなっ!

お前もキーナの所へ行きたいかっ!!」


あっ、、察し。

アンちゃんが手を頭に当てて、あちゃーみたいな顔をしてる。


…スネちゃま2号が噛んで良い??みたいな、うるんだ目で見ているよ。


重たい雰囲気を破ったのは我らが王子リード様だ。

「シンディ。アンディばかりに執着しないで自分の家庭を持ったらどうだ。

女性なんかいくらでもいるだろう。なんで結婚しないんだ。おまえも良い年だろう。」

心底不思議そうにおっしゃる。


…うん。常に選ぶ立場のおかたの発想だ。

貴方ほど美しい男性はこの国にはおりませんよ。

他所の国にもなかなかね。

選び放題でしたものね。


流石にみんな沈黙した。


「なあ、どうしてだ?選り好みか?独身主義なのか?」

悪気なき純粋な好奇心でハッキーを追い詰めていく。

「あ、その。ご縁がなくて。」

「何でだ?見かけも悪くないのでは。蛇はネモに取ってもらえよ。」

(流石に素行と性格が悪いから避けられてるとは言えないな。)

「同僚の女忍び?クノイチとかいるだろ?」


蛇蝎のように嫌われてますがな。


アンちゃんは笑いをこらえて変な顔になってる。


ご自分が拒絶されたことがない、光かがやく王子様には理解できないのだね。


「…リードやめてあげなさい、すべての人が貴方のようではないのよ。」

それが決定打となった。


うわあああん。ハッキーは泣いて逃げていった。


「泣いた赤鬼ではなく、泣いた白鬼ね。」


  ホント、それ。


泣いちっち、マイハート。

風間しんごさんかな。欽ちゃんファミリー。

コント55号もうっすら記憶にあります。

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