レッツトライ。摩訶不思議。
とりあえずこういうときは腹ごしらえだ。
大きな鍋に豚汁をつくる。乾麺も使った。煮込みうどんだ。かぼちゃもいれてほうとう風味だよ。
2時間でハッキーは戻ってきた。
持ち帰った手紙には、一言。
いいよ。
とだけ書いてあった。
「ま、王の筆跡だし、これでいいわね。」
何だろう、白虎が血塗れなんだけど。
「虎男くんたち、怪我を?」
「大丈夫だよ。彼等の血ではない。」
わあ。
「白鬼、シンディよ。城の様子はどうであったか。」
「はっ。リード様たちの影武者が少々怪我を。
ご本人たちはエリーフラワー様の地下におられて、無事です。
アラン様達も、王もです。」
荒い息を整えての報告だ。
「王も宣戦布告をなさいました。」
王の軍勢と、多量の蛇が、隣国へむかったという。
「それからね、レイカちゃん。アンディも無事だよ、水を得たサカナのようにイキイキとして、
暴れていた。
何人たりとも俺の前から逃げさせない!ってね。」
よかった。
その時、ザーという音がした。
「多分ね、ネモが蝗害を起こすためにバッタの大群を送ったんだわ。」
うわ。
きっとジワジワと食い尽くされていく。隣の国の植物が。人や動物をおそうことはないけど。
上でカラスが鳴く。不吉さの演出だろうか。
「ミズーリ、降伏せよ。」
鳥たちがチラシをばら撒く。
兵隊の身体にヘビがまきつく。噛む。
「君たち。暴れたいかい?
ギカント国にいきたいかーい?」
ネモさんが、ウルトラ○イズみたいな問いかけをする。
うおおおお〜とワイルドなアニマル達が声をあげる。
「ふふ、じゃア行っといで。いいかい、こういうカッコをしてるのが、向こうの兵隊。」
ネモさんがパネルで説明してる。割と絵が上手なんだな。
「このカッコが味方。こっちとね、良くわかんないのは、噛んじゃダメだよ!レディ、ゴー!」
地鳴りを起こして猛獣たちが走りさる。
あれはビックフット。わあ。10人くらいいるよ。
コレを公開するだけで大儲けなんじゃ?
え、えええー!アレはもしや!
「ツチノコ、、。」
「そ、そうですよね、王妃様!そうですよね!
実在したんだ。うわわ!大儲け?」
「落ち着いて、レイカ。ここでは誰も彼に懸賞金をかけてないわ。」
「あ、そうか!しかし、ぴょんぴょん跳ねるんですね。そういう説ありましたね!」
「そうね。どうやって敵を攻撃するのかしら。跳ねてるだけでは?」
「おや?ジャンピング・スネちゃんが、気にいったんですか?お譲りしますか?」
「いえいえいえ!」
珍しいけど、うちで飼うのはハードル高いっす。
ツチノコは舌をチョロリ。と出したお馴染みのフェイスで跳ねていった。
ネモさんの領地に侵入しようとしていた敵たちはキレイさっぱりといなくなった。
誰もいない荒野を進むアニマル達。
「あの人凄いですね。」
「敵にまわしたら大変だわ。」
今はいいのだ。何のかんの言っても彼も貴族の子。どっぷりと王家に対する忠誠心が植え付けられている。
それに王妃様が色々彼の大事な人を助けた。
王妃様の目が黒いうちは王家には歯向かわないと思われる。
この国には友人も家族もいるし、グランディ王国を捨てて出ていくことはないと思いたい。
「ネモさんが善人で良かったですね。」
エリーフラワー様がしみじみと言う。
そうだね、彼はきっと誰にも止められない。