ブルーウォーター領内にて。⑥(バーベキューと再会4人目)
誤字報告ありがとうございます。
さて、夜はバーベキューだ。
肉旨し!ソーセージ旨し!野菜も旨し!
春日でしょうか?いいえ、誰でも。
焦げやすいけど、玉ねぎとコーンは欠かせないよね。
「コー・イーワ・イ牧場はなくなったんですか?」
「名前を変えてます。ブランドだから残したかったけど、やはりイメージが。」
「何回か改名してね、結局ネモさん牧場で落ち着きました。」
「あら、、私の皿が大盛りに?」
知らないうちに焼かれた肉と野菜が山盛りだ。
「ブルーウォーターの農園で出来たワインの新酒です。」
そこへワインのデキャンタを持った女性から声をかけられた。
ボジョレヌーボーみたい奴か。
十一月だし。
「レイカさん!沢山食べて飲んでください!
セバスチャンのせいで飲まず食わずだったんでしょ!ううううっ、ごめんなさい、痛ましいわ、、。」
ワインをつぎながらも、涙目で私を戦後の欠食児童を見るような眼差しで見てくる女性。
あら、もしかして。
「アリサさんですか?リード様の乳母の。」
「ええ、ええ!」
「ま、まあ!!お元気になられたのですね!良かった!!」
「はい、ご心配ありがとうございます。貴女のことはほかにもカレーヌ様やローリア様から聞いてますわ!色々工夫なさって、お食事を作ってらしたと、
それで他人にもご馳走するなんて!素晴らしいですわ!」
あ、リメイクドリアとか?とおかゆの事言ってんのか。
カレーヌ様には確かにそうだが、ローリア様のおかゆは回復される為のものだし、
エリーフラワー様が食費は出してくれた。
実情以上に貧困だったと思われてるな。
話しながらもアリサさんの手はオートマタのように、さっさか、さっさか、と動いて、
焼けた肉を山積みにしていく。
「も、もう、そんなに食べられませんよ。」
お肉が私のところに集まって、若い忍びたちが恨めしそうに見てるのを、アンちゃんが腹を抱えて笑ってる。
「では、ワインは?レイカさん御夫婦のワインだけは私の奢りですよ。」
「あ、ありがとうございます。」
うわぁこれ高そうだぞ、ニコニコしながら開けてるけどさあ!
「えっ、ドリンク別料金だったの?」
「うわっ、飲みほ、食べほだと思ってた!込み込みセット料金かと!」
「どうしよう。さっきオススメ地酒、タマ娘をあけちゃった!」
「馬鹿だな!おまえ、タマ娘なんかハガキでの抽選か、店頭での応募の抽選でしか当たらないんだぞ!
ものすごい倍率の幻の酒なんだ!
まずここにあるのが驚きだ!」
それ、どこの森伊○。
ネモさんが苦笑して。
「あー、今回は特別に皆様半額でいいですからね。」
「あざーす!」
「やはり皆さん苦労なさってるのね。」
涙目のアリサさん。
いえ、そこそこ忍びは給料良いはずですよ。
「ネモさん。さっき夫とも、相談したんですけど。
この土地で隠れ家レストランとネコカフェの開設、是非やらせていただきいと思います。」
「本当ですか!」
「ええ、コチラはセキュリティも素晴らしいわ。
王族専用の隠しルートとか、要ご相談のところもあるけど。よろしくおねがいしますネ。」
フフフ。夫という響きもイイわ。とにやけたので軽く叩いた。
「ということは猫カフェは若者たちにまかせて、
そこを外との窓口にするんですね。」
「ええ、ランちゃんにはコチラに住み込んでもらうけど、いいかしら?
ワタシはアラン様のお仕事があるから、行ったり来たりだけどね。」
「じゃカフェには私のスイーツを置いてね!」
「カレーヌ様!」
「親友のレイカがこっちに来てくれるなんて!嬉しいわ!!ささ、ケーキ食いねえ、食いねえ。
スカポンタンのセバスチャンのせいで、経済DV受けてたんですって!?
ごめんなさい、知らなくて、散々食べさせてもらって。
最後にウチは薄給たい!って言われたけど
そこまでだったなんて。
さアさア!ケーキ食いねえ。」
江戸ッコだってね、神田の生まれよ。
いや、私は浜っこだ。
♪わが日の本は〜(中略)あらめや♬
時々なんちゃって九州人になるけどね。
「レイカちゃん、またぼんやりしてる、大丈夫?」
「あ、うん。スイーツかあ、それもあり、
をり、はべり、いまそかり。ですね。」
あれ、勝手に口から何かが。
「なにその呪文!」
いいえ、古文です。
「と、とにかくゆっくりしましょう、ねっ。」
「そのひと。」
かっ。
目を見開いて私を指差す元アメリアナさん改めメアリアンさん。
こら、人を指差してはいけません。
「ひとつの身体に2つの記憶。魂のゆらめきが見える!」
あら。大怪我をしてキャラ変したのか。
不思議ちゃんか?
それとも霊感ヤマカン第六感が発現したのか!
「そそそ、私前世あるから。隠してないから。
みんな知ってるし。」
うんうんとうなずくハイバルク一同。
えええ!と驚くのはアリサさんとかそのへん。
「そ、そなの?なんだか、もうひとりおばちゃんみたいなのが、口元を出たり入ったりしてるよ。」
「ははあ、それで自覚ない発言が増えたのね。
ちなみにどんなおばちゃん?」
「なーんかね、口から薄くのされてペラペラになったひとが、出たりはいったりしてる。ワンちゃんが舌を出し入れするでしょ、それがすごく長い感じよ。
頭を下にして垂れ下がってる。あなたが口を開けると出る。
髪形はね。そうね、アラン様ぐらいの長さかな?形も似てるよ。黒髪。メガネかけてる。眉間にほくろ。」
顔を近づけてくるメアリアンさん。
ほほう、大仏ホクロを見切ったか。前世のコンプレックス。
「アンタ、ホンモノだわ。」
前世の私が、猫の目食堂のミキが、
口からベロ出しチョンマみたいに、のし餅みたいに出てるという事ね。
それから。
「記憶も戻ってるでしょ。アラン様のポートレート。
誰かこの人に見せましたか?
リード夫妻のがあってもアラン様のは、とんと見かけません。」
「えっ、そうなの?記憶戻ったの?」
カレーヌ様が寄ってきた。
「…あー、なんか薄ぼんやりなんですけど。
徐々に。今も自分自身が半信半疑なんです。」
そこへミドリナ様がやってきた。
厳しい顔をしている。
「私の顔を見て、物言いたげだったから。もしかしたらそうかも、と。だから皿洗いとか裏方にしておいたのに。」
「お皿の補充で出てきたら。2人分魂がある人が見えちゃったから。つい。」
「以前はそんな事っていうか、霊感っぽいものはなかったのですか?」
「全然。こないだ大怪我してからよ。これも頭をうった後遺症かなとは思ったけど。あなたの場合は強いストレスかなんかで飛びだしてたのね。
…ん?眉間を押せばひっこむ?みたいなジェスチャーをこのおばさんやってるわ。」
そんな。掃除機のコードリールみたいな。
多分この辺前世でホクロがあったとこか。
えい。
押してみた。
「いい感じよー。上手く重なって二重になってるわ。オブラートがアメにくっついてる感じ。」
「これであのけったいな寝言がなくなるのネ。
昨日なんか、いきなり半身を起こして、
武士は食わねど高楊枝!
って言ってたの、わけわかんなかったわー。」
アンちゃん、ごめん。
だけども寝言のことはキミには、言われとうなかった。
霊感ヤマカン第六感。
懐かしいです。おわかりいただける方いるでしょうか?
それから。
〜でしょうか、いいえ誰でも。
あの震災のときすごく流れましたね。
時々思い出します。