誰かさんが、誰かさんを、見つけた
「タマちゃあん、タマちゃあん。」
アレから一週間、アンちゃんは一時帰宅した。
にゃ、にゃ、にゃーんんん。
「さっきからタマちゃんが困ってるよ。」
「タマちゃんとしか言ってないなあ。」
アンちゃんはタマちゃんを撫でまわしている。
困りながらも、そこそこ相手をするというお仕事をしている、タマちゃん。えらいぞ!
私とランド兄はほっといて片付け始める。
せっかくオープンしたのに。白鬼の襲撃を受けたことでここが第三者にバレたことが明確になったからだ。
また別の場所を探して仕切り直しだ。
まだあのクノイチは見つかっていない。
「ハッキーゆるせん。」
「それは白鬼のことですか。」
ゲン・ノジョー、オ・ツナ夫妻が眉をさげてこっちを見てくる。
「私たちはおゲン夫妻ですものね。」
カラカラと笑って引っ越し作業を手伝ってくれる。
ヴィヴィアンナ様が手が足らないだろうと2人を回してくれたのだ。
若い子たちはまだ入院してるのよ。足の骨だもん。
「とりあえず引っ越し先は忍び会館でいいか?」
まあそうなるわね。キーナは見つかってないし。
セキュリティが良さげなとこというと。
「いいえ!うちにいらっしゃいな。」
「エリーフラワー様!」
なんと、おもしろ自転車に乗って現れたぞ!
それい○の丘やらシャ○テン公園とかで見たな!
かえって疲れませんか?
「また子供の世話を手伝ってくださると助かるし。
ランドさんのお部屋も別に用意するわ。」
「その方が良いかもネ。どうせウチらがエリーフラワー様のところに入り浸ってるのは、みんな知ってるし。手も出せないわ。んんー、いたたっ!」
アンちゃん、猫吸いしようとするから。
タマちゃん嫌だって。
「ああ、タマちゃん!行かないで!」
なんかこの展開アメリアナ様でみたな。どうなったのかな。あの人。
次の日。王妃様に呼ばれてリード様たちの離宮に行った。ここにくるのは久しぶりだ。
以前王妃様が住んでた時は良く来たのにね。
「伸び伸びになっていた選び取りをやろうとおもうの。沢山の方が楽しいでしょ。」
もう10月の12日だ。王子様たちは9月の10日の生まれだからひと月くらい遅れたことになる。
リードご夫妻、アランご夫妻、王様王妃様。
エリーフワラー様ご夫妻。
そうそうたるメンバーの中、新品の靴をはいてお餅を踏む王子ツインズ。
現物は危ないことがあるからカードが置いてある。
鏡とか、お金とか。鉛筆とかの絵が描いてあるとか。
何故か伏せてある。占いの要素が強いのかな。
さあ、エドガー様だ。
「はあい!」
某斎藤さんみたいな声をあげ、
インディアンポーカーの様に額にあてた!
「え?星?」
「誰だ!エスパーカードなんか入れたのは!」
「あ?これはタロット?」
「こっちは花札じゃないか!」
「まあ、星をつかんだのはめでたいことである。この国を照らす星になるだろう。」
いきなり王様がまとめにはいった。
良いんだろな、これで。
さて、フロル王子はちゃんと無事に?
鉛筆のカードを選び、
「まああ、まああ。そうなの?それが良いのね。」
王妃様を号泣させていた。健くんを思い出したんだな。
そこでエリーフラワー様がアンちゃんを見た。
「あなたもそう思う?」
「ええ。」
立ち上がってエリーフラワー様は王様のところへ。
アンちゃんは、ヤー・シチ達のところへ。
「王様、お耳を。」
「何かな?才女殿。ーーなに?確かか?、
みんな、動くでない!この離宮から誰1人として出ることは許さぬ!」
「レイカちゃん、口元をふいて?」
え??
「ここにあのキーナが紛れこんでる!口元のホクロをメイクでかくしてるハズだ!
みんな!お互いの口元を濡れた布でぬぐって見てくれ!」
そこでアンちゃんは私をぐいぐい拭いていく。
「アイツは愉快犯だ。カードの交換もアピールさ。
王子様の指を洗ってくれ!何かカードに塗られてるかもしれない!」
とりあえずアンちゃんの顔をぐいぐい拭いてお返しだ。
「痛いじゃないのー。」
「こっちも化粧が禿げたじゃないのー。」
「とりあえず王子様を安全な場所へ。王妃様。」
「そなたに渡す方が危ないわ。侍女長。その顔の傷はどうした?」
「先月、ぺスに噛みつかれまして。」
「その報告は聞いておる。だがそれだけではあるまいよ。そう、例えば目立つホクロを取ったとかな!」
スケカクが王妃様をかばい、おゲンさん達が侍女長を抑えつけた。
カツラをはがし、顔のメイクを拭き取ると、若い女の姿が現れた。
「アンタか。キーナ。よく化けたもんだ。
だけどな、手が若いまんまなんだよ。いつから入れ替わったんだ?」
「さあな。」
それから薄く笑って、
「アンディ。やっと気がついたんだね。あまり気がつかないからカードを細工したのさ。
あんた達兄弟をからかうのは楽しかったよ。」
「ふん。アイツなんか兄弟じゃないけどな。」
「カードはとっくにこっちで交換してる。」
「白鬼!海の上じゃなかったのか?」
うん、私もそう思っていた。