困っちゃうワ。
「アンディ、レイカ邪魔するわ。あら、エリーフラワーさんもいたのね。」
「王妃様。こんなところまでお運びいただくとは。」
「ほほほ。アンディは怪我人じゃないの。それを呼びつけるほど鬼畜ではないわ。」
「ははーっ!」
ランド兄が軽く震えながら平伏している。
「レイカのお兄さん、貴方も災難だったわね。」
「ありがたきお言葉、ははーっ。」
「楽にしてね。アンディ、私言ったわよね?
女関係は大丈夫かと。隠し子や、病気は大丈夫か?と。」
「それは私も気になりました。隠し子はいないよね?」
「お、お嬢、何でそんなに冷静なんだ?いないよ!いるわけがない!!」
青い顔をしたアンちゃん。だってそれ大事よ。
「で?元カノみたいなものは?」
王妃様も追求の手を緩めない。
「ええと、その、何人か、お付き合いは、はい。」
「最近は?」
「ここ5年ほど?アラン様が入学してから今まではありませんよ!それどころじゃなかったし!」
「そうね。こちらの調べでもそうだわ、カレーヌさんとアランの世話でね、浮ついた話はなかった。」
「2人に粉をかける奴は逆に白鬼がハニトラをかけたでしょ。荒事は赤の、サー・スケの担当でした。」
アンちゃんがにがりきった口調で言う。
「サー・スケねえ。随分と目をかけたのに。
ギガント国に潜入させたら帰ってこなくなった。」
王妃様は吐き捨てた。
「ねえ。アンディお前より、私はレイカの方が大事なのよ。」
「それはわかってますよ!頼みますから、私からレイカさんを取り上げないでください!
やっと出来た家族なんです!」
「と。いうわけよ。思い知った?」
そこへ、スケカクに連れられた白鬼が入ってきた。
「うわああっ、、、!
白いワニじゃなくて、白い鬼がきたっ!!み、緑のインクはどこぉ、早く手紙をかかなきゃ、くわばらくわばら。つるかめつるかめ、後ろの正面だあれっ!!」
悲鳴をあげたのは我が兄である。トラウマになったのか。一応騎士団出身なのにこれでいいのか。
言ってることが何がなんだかわからないぞ。
「大丈夫ですよ、こうやって縛りあげてますから。」
白鬼は無言で項垂れている。
「これでわかったでしょ、お前がやったことはね、普通に幸せにやってる新婚夫婦に難癖をつけて、引き裂こうとしたのよ。
さあ、誰の甘言にのったの。」
「…ルーラです。お願いですから彼女に手荒なことは!」
「え?誰だよ。それ?」
「おい!彼女と結婚の約束をしたんだろ?」
「してねーし。知らねーし。
…てっきりメルラだと思ってた。というか、他の元カノは忍びの仕事でもうこの世にはいないんだから。だから隠し子もいないの!」
ええー、そうなの?
サクッととんでもない過去をぶっ込んできたな、オイ。
「そのメルラの友達だっていってたぞ!
彼女は俺に逐一オマエの情報をくれたんだ!
俺は、オマエが引退した忍びたちの保養所を作ってさ、俺と暮らすつもりだって聞いたんだ!」
「その情報が間違っているのよ。あそこは私たちが通う会員制レストランよ。王族メインのね。
私たちが行くから、警備を兼ねて忍びの詰所があるだけなの!
それに元々レイカのレストランなのよ!」
なんなんだろう。これ。思ったより大事かも。
ちょっと嫉妬で盛って言っちゃった!
みたいな?
テヘペロな元カノが現れて、ごめんちゃーい、で終わるかと思ってた。
「ルーラというクノイチは存在するのか?
それとメルラは?」
「メルラは恋多き女でしてな。ブルーウォーター領におりますよ。」オー・ギンさん。いたの。
「ネモに惚れ込んで辞めたクノイチの1人か。」
「彼女が一時期アンディと付き合っていた事は事実ですが、長続きしなかったことも事実。彼女モテてましたからね。そのときもいまも子供はいませんね。
どっちにしろ嘘を吹き込んだりする陰湿な娘ではありません。」
つまりアンちゃんがフラれたのね。
「では、ルーラって人はいるんですか?」
「いませんな。」スケカク。
「知りません。」オー・ギンさん。
「嘘だ、だって何度も会ってる。茶色の髪で口元には黒子がある。」
「キーナか。」
アンちゃんが吐き捨てた。
「あれは俺たちを恨んでるんだ。それでハメたんだな。」
「え?キーナ?あのキーナか?」
誰だそれ。
「お庭番にとスカウトされてやってきたが、向かなくてすぐに辞めた気がします。」
「あいつが辞めてからわかったんだ。カレーヌ様の執事の娘だって。そうだよね、義父さん。」
ヤー・シチがうなづく。
「あのスパイのか!」
「うちの一家は全滅したけど、執事の方も無事ですまなかったんでしょ。あの子だけが残ったと聞いてます。多分、ここにはギガントの一味が送り込んできたんでしょ。
それで俺たちがあの母の子供だと知ったんだ。」
「それで俺たちに近づいてきたのか!」
「すご〜く、誘惑されましたよ、でもね、メルラと付き合ってたしその手には乗らなかった。
辞めたこと知らなかったのか?白鬼。
…あら?あらら?アンタ、あの子の誘惑に乗ったみたいだね?
へええ。ハニトラ専門が!あんなわかりやすい誘惑に乗るなんて!
へええええ!」
「それは!お前と結婚の約束をしていたのに、他の女とうつつを抜かしてると!
30になってもお互いに独り身なら結婚しようね!って約束したのにと!
最近だよ、オマエが結婚してからだ!そういう仲になったのは!」
はいっ? はあいいいいいいいっ????
それって婚約でも、何でもないよね?
山本リンダさん。ヘソだしルックでしたね。
白いワニは江口寿史さんかな。