ネコにゃんにゃんにゃん、犬わんわんわん。
最近色々あって食堂は休業状態だ。
久しぶりに自宅に帰ってきた。
「ただいま!」
「おお!レイカ大変だったな!」
「あ、アネさんお帰りなさいっす。」
「ご無事でなによりです。」
ランド兄と若者たちが迎えてくれた。
おう、ピカピカじゃないか。
「やることないからな!磨いておいたぞ。」
ずっとエリーフラワー様のところにいたからなあ。
我が家はいいなあ。
「ところで、アンディさんはどんな感じだ?」
「うん、もう少し動けるようになったら自宅で療養するって。入院してるけど気が休まらないみたい。人の出入りが多いしね。」
そこへ。
にゃおおおおーん。
えっ?にゃおん?白い毛並み。
「まさか?タマちゃん?」
「知り合いか?この子?いや、迷いこんできてさ、
ごめん!俺の部屋で飼ってて!食堂にこさせないようにするから、さ!」
タマちゃんに似てるけどさあ、違うかな?
でもやっぱりタマちゃんみたいだな?
こんなとこまで来るかな?
ランド兄にすりすりとまとわりついてる。
「お城に住み着いてるネコに似てるけど。ご本猫かな?」
「アンディさんに怒られるかな?食べ物扱うとこなんだから捨ててこいって?」
兄はうわ目使いで泣きそうな顔になってる。
「いや、逆だと思うよ。」
「帰る。」
ほらね。
「すぐ出る。退院する。タマちゃん、待ってる。すぐ。すぐすぐ。」
あら、言葉使いが変になってるよ。
「まだダメだって。」
「だってえ。猫ちゃんに会いたいやい!」
駄々っ子になってる。ジタバタしている。
本当に子供かっ。
「介護犬ではダメですか?」
「ネモさん!ペス!」
「お見舞いにきましたよ。これ、クッキーです。」
「先日はありがとうございました。命があるのはあなたのおかげです。ペス、立派な介護犬になったのか。」
お利口さんだ。ピシッ!と足を揃えて座ってる。
アンちゃんが頭をなででる。
「いや何。こちらに納品もありましたから。陸蒸気便利ですよね。それに、白蛇のウルちゃんも喜んでましたよ、あれで冬籠りできるんじゃないかな。」
淡々といってるけど、それって。
「名前ウルちゃんだったんですか?」
アンちゃん気になるの、そこ?
「ええ、目がウルウルして可愛いでしょ。」
「…とにかく命の恩人です。」
おや、柱のかげから誰かがこちらを伺っている。
元飼い主のジークさんだ。
「ペスぅーー。戻ってきてもいいんだぞおおお。」
「うん、そうだね、ペスそっちに戻りなさい。」
えっあっさり?
「アンディさん。私はみなさんと何年も一緒に働いてきたから情もある。彼らにはそれなりにいい含めてます。また、理不尽に攻めてこられたら、」
窓を指差す。そこにはカラスが飛んでいる。
「鳥に知らせなさいと、そしたら私に伝わる、と。」
ええっ、どうやって!
するとペスちゃんがわんわんわん、うーうーうー、わんわんわんと吠えた。
すると、カラスがわんわんわん、うーうーうーとマネを始めた!
しかもそれ、モールス信号よね??ドンドン他のカラスにも伝わって空に広がるリズム!
カラスが声真似をするのは私も聞いたことがある。
いきなり電柱からわんわんって聞こえてびびったものだ。
昔話の妖怪の正体は実はカラスってこともあるんだろう。
夜道でいきなり笑い声聞こえたとかね。
「その時は防衛線をはりますから。」
「では、ペスは連絡犬?」
「やっぱり忍びになって下さいよう!」
どこから来たんだ。ヤー・シチ夫妻。
「はははは。それは。はは。
ペス元気でやるんだよ。
レイカさん、乾麺ありがとうございました。
エリーフラワー様からカップ麺の試作品もたくさんいただきました。開発にご尽力なさったとか。」
「あら、ネモ伯爵。」
「これは!王妃様!千客万来ですね。
アリサさんもミドリナさんも元気ですよ。」
「ま、まあ!そうなの!」
「ミドリナ様は得意のレースをいかして素敵な製品を開発してくださっています。」
緑溢れる土地でゆったり過ごす、ご婦人2人。
胸が暖かくなるね。
あの2人は40から50代と思えないくらい老け込んでいた。苦労してたもんなあ。
元気でお暮らし下さい。
「それでは、私はこれで。タマにゃんを宜しくお願いします。」
た、タマにゃん。ってそれは。
「あーーー!タマちゃんもネモさんの仕込みかー!」
凄いな、あの人。
あのねのね。ですね。
うちにみかんのこころぼしのレコードがあった様な。