生まれてきた子供たちは
誤字報告ありがとうございます。
それから。五日間。
私たちはエリーフラワー様の自宅兼研究所で過ごした。
「うわー、ミネルヴァちゃん大きくなったねー。」
ヴィヴィアンナ様が抱っこする。
「ふふ、可愛い。」
そこにエドガーとフロル王子もいる。
「こちらの方が安全ですから。」
オー・ギンさんがつれてきてくれた。
本当にこの研究所は鋼の要塞だ。秘密のシェルターも地下にある。
「王妃様のアドバイスで。あとパニックルーム、武者返し、石落とし、武者隠し、千人殺し。」
わあ。日本の名城。
オー・ギンさんがドヤ顔で説明だ。
王城との隠しルートもあるみたいだが。
深く考えない。
「守ってるのは身元がはっきりした忍びと騎士団。」
ええ、頼りにしています。
「レイカさん。こないだ乾麺を開発した時にお湯で
戻して食べる麺があるといってましたよね?」
「そうですね。味付けした麺を油で揚げてね。容器に入れるんですけど。」
チ〇〇ラーメンの話をしたなあ。
「だけどもう少し進んだのだと、ノンフライでフリーズドライした具と、粉末スープで、紙容器にいれて三分間待つのだよと。」
「何!それ!詳しく。」
研究員が呼ばれて、ああでもない。こうでもない。
私は朝ドラの知識で容器に入れるときは上からかぶせる、としか言ってないけどもね。
すごいよ、試作品がこの5日でできたものね。
私は子守りを手伝っただけだけど。
はいはいたっち、あんよはじょうず、お子様たちをあやしながらああ平和。
「この三人は同い年ですね。」
「ええ、私たちみたいにね。」
「ああ!そうでしたね。同じ学年でした!通ってる時間が短かったですけども。」
あれから2年くらいしかたってないのか。びっくりだ。この2人は雲の上の人だった。
いや、今でもそうか。
「あらあら。」
エドガー王子がヨダレでベトベトになった積み木を
「あい!あい!」といって
ミネルヴァちゃんに渡そうとしている。
プレゼント?微笑ましくも、気の毒な光景だ。
ヴィヴィアンナ様がエドガー王子を抱き上げて、
「王妃様から打診されましたか?」
「ええ、うちの子と王子様のどちらかとの婚約でしょ。」
ええっ!早い??あー王族とエリーフラワー様との結びつきならそうなるか。
「うっかり他所の国に取られるといけないから?」
「そうですね、レイカさん。だけどこの下に姫が生まれたら他所の国に嫁ぐことになるんでしょうね。」
お二人の子供なら美姫に違いないしな。
姫で思い出した。
「アメリアナ姫はどうなるんでしょうか?」
お二人は目をあわせて考え込んだ。
「向こうの出方次第になると思うけど。ちょっと難しい立場ね、私の推測が正しければ。」
「ええ、そうです、ハッキリとは言えませんが。」
???
「まさか、王家のひみつに?なること?
あ、ならいいです、聞かなくて。」
そこへ。
「ただいま帰りましたヨ。」
「アンディさん!」
「アンディ殿!」
「アンちゃん!」
「ダメじゃない、エドワード、すぐ私の気配に気づかないなんて?」
「痛い痛い、耳をひっぱるのはやめて下され。
…無事で良かったでござるう。」
「わっ、苦しい、抱きつくな、泣くなよう。」
「結構大変だったみたいね?昨日からエドワードの口数が少なくなったから案じていたわ。
はい、傷ぐすり。それ以上顔の傷が増えたらレイカに振られちゃうわよ。」
「やだーん。ありがとうございますう。これ効くのよね。」
本当だ。眉尻と耳のところに傷がある、
「昨日ちょっと囲まれたけどね、ネモさんのおかげで助かったのよ。」
しつこくエラ様とミドリナ様を狙って来たのだという。
二人を陸蒸気にのせてネモさんとこ逃して追手を食い止めるため残ったのだと。
「それで消息不明と聞いておりました。」
えええっ。
「まあね。ちょっと人数が増えてやばいなぁと思ったけどさ、引きつけて別方向に誘導しようとしたら、すごい手だれがいてね。
あいつが出てくるとは、というかオババの方につくと思わなかったから油断したよ。」
「まさか!伝説の赤の影の者!」
えっ!赤○げ?
「赤い稲妻のサー・スケと言われていてね。」
えっと?
来るぞ来るぞ、てーごわいぞー
おーおーおーおーヤー!!
って?
おばちゃん、サスケといったらこっちだな。
ってばよ、と、チャクラの世界じゃなくて。
「その名前、王妃様がつける感じよね?」
「そうだよ。アイツは裏切り者だ。自分の身内があっちにいたからって。あれだけ取り立てられたのに。」
「こっちの手の内を知られていて危なかったのでござるな。」
「それでネモさんが、白馬のアオ
(あ。リード様の愛馬だったアオか)に乗って現れたんだ。さっき彼女たちから聞いたんだね。
アンディ殿、コレを使えって白いもんを投げてよこしたんだ。」
それは何?
「ロープに見えた。けどネモさんがウィンクしたから俺は手を出さなかった。」
白い大蛇だったのだと言う。
思わずつかんだサー・スケに巻き付き締め上げたのだ。
「まあ、その後は割愛で。ご想像にお任せします。」
「……ううっ、無事で良かったようっ。」
「ああっ。レイカちゃん泣かないでっ。」
ぎう。苦しい。さばおりだって、ロープロープ!
「さあ、アンディもう良いだろう。あとはご報告してからだ。」
「レイカが締め付けられて苦しがってるわ!」
ヤー・シチ夫妻が現れた。
ああ、ハイ。サー・スケさんの気持ちがわかったかも。
「あ、ごめん!じゃ、あとでね。
エリーフラワー様、説明してあげて良いですから。
もう周知の事実になりつつあります。」
アンちゃんが出ていってからエリーフラワー様は話をはじめた。
「私の推測は正しかったのね?アメリアナ様はミドリナ様の子ではない。」
「ええ、あまりに彼女のことを話題に出さないから変だと思ってました。あんなにエラ様のことは心配するのに。その話が回ってきて、ご本人にも確認しましたらその通りだと。」
「では!側室の子なのですか?」
「もっとスキャンダルな話。王太后の子。王が没してからの、でしょう?」
「!それは超高齢出産!!」
「42の時のお子様です。その時ミドリナ様には妊娠を偽装させたと聞いています。生まれたらミドリナ様の子供として育てさせた。
アメリアナ様ご自身も知らないかもしれませんね。」
年取って生まれた子。しかも夭折した娘にそっくり。
「生まれ代わりだと思って溺愛したそうです。」
「ウワサには聞いていたの。あちらの王太后様はリヒャルト様に良く似たお付きをとっかえひっかえしてる、とね。」
そのうちの誰かの子供なのか。キモい、キモすぎる。
「それでアメリアナ様の去就について皆さん口を濁すのですね?」
「元王の妹には違いない。だけと父親は流れものの楽師。ちょっと扱いづらいでしょうね。」
その子のために女神像を使いまくったからね、
反発するわ、それは。
「私たちもひと月前までは知らなかったのです。
向こうの王太子があえて流したのですね。追い込むために。」
エリーフラワー様の憶測をヴィヴィアンナ様が補足していく。
「さっきのアンディ殿の話からするとですな、
そのリヒャルトもどきはサー・スケの親父のようですな。小さい頃母をなくして父は出稼ぎに行くと言って帰らなかったと本人から聞いたことがあります。
多分、アメリアナ様は異母兄弟なんでしょうな。」
と、エドワードさんが語る、
なるほど、それで繋がった。
こっちのサスケがわかる人はどれくらいいるでしょうか。