困るなあ、そういうの
お芝居や物語でしかないような言い回しってあるよね。
実際そんな事言う人見たことないっていうフレーズ。
例えば、
「このっ!ドロボウ猫っ!!」
です。
思わず、周りをキョロキョロしちゃったわ?
どこにお魚くらえたドラネコが?
追いかけてるサザ○さんもいないわよ、とぼーっとしてたら、
「ぼーっとしてるんじゃないよっ!」
とまた某チコちゃんみたいなことを言われた。
手首を強く掴まれて逃げられない。
痛いよう。
赤茶の縦ロールヘア。茶色の瞳。
気は強そうだが、泣きぼくろ。
劣化版イライザみたいな。
どう見ても貴族のお嬢様だが面識はない。
何がドロボウだ。持っている荷物は私物だぞ。
私は、寮をでてエリーフラワー様のところへ行く為に荷物を運んでるところなのだ。
いきなりお城の中庭での狼藉だ。(説明)
そのお嬢様は大きく振りかぶって私を打とうとしている。ピンチ!
「オー・ギンさん!」
その手をとめてくれたのはクノイチだ。
「レイカ嬢に対する、言われなき暴言、暴力、この
王家お庭番、しかと見たぞ。
大丈夫か、お嬢。」
この人もお嬢呼ばわりか。
「手が痛いです。折れたかと思った。」
「何よっ、いつまでも元カレに構ってんじゃないわよっ!!この淫売!売女!」
ていうか、淫売とか売女とかもリアルで聞くことあるんだー、ええー。
ん?元カレ?誰?
元彼?そんなのいたっけな?
「心あたりありませんが??」
こちとら清純派の17歳でえ。何やつ?
「ああっ、こんなところにっ!」
「王城の売店で本日発売限定の、
ヴィヴィアンナ様のアクリルスタンドを買いたいって言うから、連れてきたのに!」
マーズとマーグだ。
「ジェーン・ドゥ様、レイカ様は何の関係もないんですよっ!」
え?セバスチャンの結婚相手か?
「誰が身元不明者じゃ!ジェーン・ドルトムントだわ!」
なんだ、どっちかというとカラミティ・ジェーンか。
「すみません、とにかく連れて帰りますから!」
マーズとマーグに引きずられる様にして退場する。悪役令嬢っぽいなあ。
手首を見ると真っ赤に腫れていた。
「ひどいわね!なんなの、それ。」
エリーフラワー様が薬をぬってくれた、新製品で効くのだ。
すっ、とオー・ギンさんが現われて、「王妃様とリード様に報告しました。
…あと、愚息にも。」
「セバスチャンの野郎。」
アンちゃん。顔がこわいよ。
ていうか、いつ来たの。
「あいつさ、お嬢のことを元カノだって吹いてるのか。」
私の手をじっとみて、
「馬鹿力だな。ごめんな、最近アラン様の方の仕事が忙しくて。ガード出来なくってさあ。」
「ああ、新しいお妃様になる?隣の国のお姫様きてるものね。」
うん、と言ってアンちゃんは消えていった。
包帯はオー・ギンさんが巻いてくれた。
うーん、この人がアンちゃんの養い親なら、
もし結婚したら義母さんか。
「わたしらは怪我が絶えませんでね、慣れてるんですよ。」
それで、といいにくそうに、
「アンディは何か言ってきましたか?」
「隠れ家レストランですか?
すごいですねーあんな入り口。山肌にしか見えません、
良くあんなとこありましたね、いちげんさまでは無理ですね。
あ、あと?ひまな時は若い忍びにご飯食べさせてやって、でしたっけ?
食材が回るから、それもOKですよ、
あとは、自宅兼事務所扱いだと?税金が優遇?
とか?そういう話ですか?」
「いえ、そんなことではなく、。
時々会いにはきてるんですよね?」
「あーなんか、夜ぶらっときますね、お酒をきこしめして。」
「私がいうのもなんですが、きこしめす、と言う言葉、なかなか今の若い人使いませんね。」
「そうですか?なんかメートルあがっちゃってさーとか、言ってますよ。」
「…。」
「それで寝落ちしてます。」
「寝落ち。」
「で、寝言で女の人の名前を呼んでます。泣きながら。」
「はあ?!」
「まず、マリラばあちゃん、メロディー〜、ですね。」
「あ、それ、あの子の亡くなった家族。メロディは妹ですから。」
「あっハイ。多分、文脈からそうかな、と。
その後は、
セーラーあー、
ローラーあー、
ハイジいー、です。」
「それ、やだわ。馬の名前だわ。火事で死んだ。」
「そうですよね、助けられなくてごめーーん。って泣いてます。」
「まあ。傷がふかかったのね。昔の。」
「それから、タマちゃーん。
流石に猫だとわかります。まさか、タマちゃんの身になんかあったんですか?」
「いいえ?」
「それから、アランさまあ、です何故か。」
「え?、」
「最後に。みんなあっ、あいしてるよー!!
です。グーで殴っていいですか?」
「許す。」
某カル○ス劇場のヒロインたち。
ローラー、セーラー、ハイジー、
おばあちゃんがマリラなのは
アンちゃんだからっす。
メロディはアンディの語呂合わせ。