スイーツとパラダイス。
ネモ様のところのスイーツは好評だ。
「お毒見済みではございますが、コチラをお使いください。」
銀のさらに銀のスプーン。
二つ合わせてチンと鳴らせば、ワンちゃん猫ちゃんがまっしぐらできそうです。
「美味しい。チーズケーキも。アイスも。
クッキーも。」
「そうでしょ!」
あらカレーヌ様。今回は心の底からほめます。
「最高です。お菓子作りの才能があったんですね!」
それでは、と私の発言を引き取ってエリーフラワー様が、
「戻ってご主人の領地でスイーツを売るの?」
「いいえ、ずっとコチラにいたいと思います。ここは夢みた桃源郷のようです。」
「鳥は歌い、花咲き乱れ。美しい川が流れ作物は豊かに実っています。
一大保養地、別荘地になると思います。地上の楽園って、コピーとか良さげですよね。
そうしたらスイーツもバカ売れですし、人手はいくらあってもたりません。今でさえ足りないのに。」
なるほど、なるほど。
お幸せにお暮らしください。
毒気が抜かれて良い顔になってるよ、カレーヌさん。
「その通り人手が足りないんだ。マーズ、マーグ、戻ってこないか?動物たちも私の身内だとニオイを覚えれば大丈夫のはずだよ。」
それはどうかな?
「私たちはリードさまにお仕えしておりますし。」
「ご相談の上決めさせていただきます。」
その後お城でヴィヴィアンナ様から
「今日はありがとうございました。」
お別れの握手をしてもらって赤面するご婦人たち。
皆様上機嫌でホテルへと戻られました。
うーんと伸びをする麗人。
「お疲れ様さま。ヴィヴィアンナさま。
ウチで少し休んで行かない?」
「ええ、是非。」
エリーフラワー様の自室にお邪魔する。
「ああここは初めてです。」
お茶の用意をする。勝手知ったる他人の部屋。
「もらった生クリームありますから、ウインナーコーヒーにしますか?ちゃんとコーヒーに乗せるときは銀のスプーン使いますよ。
コーヒーも一度銀のカップにいれます。」
「お手数かけますね。」
「生クリームを乗せると何ででウインナー?」
「ウインナーって地名由来らしいですけど、こっちの地方ではないから。名付けてこれからはレイカ珈琲てことで。」
「ありがとうございます。ふふ、この三人でいるのって珍しいですね。」
「いつもごついのや怖いのがいますから。」
エドワード様とアンちゃんか。
「さて一昨日から今日まで大忙しだったわね。
一昨日は、妖艶なドレス姿。昨日と今日はスタイリッシュなスーツ姿。
男性支持もご婦人の支持も取りこぼすことなく、
最後は握手で念押し。
まったく貴女にばかり負担をかけ過ぎじゃないの。」
長いまつ毛を伏せてコーヒーをすするヴィヴィアンナ様。
「すべてリード様の為ですわ。
ふふ、エリーフラワー様も今回お出まし下さったではないですか。」
エリーフラワーさまの珊瑚色の短めの髪が揺れる。
「まあ、たまには。ずっとある貴女との不仲説を払拭しなくてはね。」
「私にできるだけの事はしました。ただいつまでも男装ができるわけはなし。」
いえいえ?いつまでもいけるかも?専科というものもありますし?
あーここ、落ち着きます。とヴィヴィアンナ様はソファーに横になった。
「でもネモさんのおかげでモテなしが随分楽でしたね。」
ヴィヴィアンナ様が離宮に戻りになったから、私もお借りしてる部屋にもどった。
「あら。おかえりー♡どんな感じだった?今日は。」
アンちゃん来てたの?
「カクカクシカジカで。オー・ギンさんが、しばらくアンちゃん忙しいって。」
「うん、また明日は忙しいかな。ちょっとだけ顔を見にきたのヨ。」
あら。ま。
「ネモさんが誘ってくれてるしマーズとマーグは帰った方がいいかな。やはりセバスの身内ってことで色々言われるかもしれないしサア。」
なるほど。
「会議は終わったの?」
「まだまだかな。だけど昨日からヴィヴィアンナ様派が増えたからこれから楽になるかもね。
今日さあ、
昨日妻にヴィヴィアンナ様を悲しませるような事したら承知しないわ!と言われましてな、はっはっは。って言ってる人が何人もいたよ。
あの方凄いわー。ネモさんと2人でこの国守れるわ。」
うんうんうん。
「それに蒸気機関車も見せつけてやったし。うちの国に攻めこもうとする馬鹿はいなくなったかもね。」
なるほどねえ。みんな色々考えてるんだ。
「それにしても私もサーカスが見たかったわ。ネコ族のショー!ゾクゾクしちゃうわ。」
「アンちゃん猫ちゃん好きだものねえ。」
「そうだ!ビックキャットの猫ちゃんのマジック、うちの若いの達にやらせるってどうかな?
忍びの登竜門としての肝試し!って、みんなに頭入れてもらってさあ!
だって管理されてるえらい猫ちゃんでしょ。」
やーめーてー。
そう言う事いうから怖い人って言われるんだよっ。