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続 グランディ王国物語  作者: 雷鳥文庫


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華燭の典。シンゴとラーラ編 其の三

 料理も進み、お酒もまわって余興も飛び出す。

おお、ヤマシロ君、歌が上手いじゃないか!

クノイチ軍団のダンスあり。

ネモさんみずからの鳩を使ったマジックも。

クルックー。

可愛い鳩さんを見て龍太郎君が飛びまわる。

「俺だって飛ベルシ!」

「もう、龍ちゃん飲み過ぎだよ!」

ハイド君が止める。

「ナニ?火をフイテ欲しいの?ホラ!キャンドルサービスだ!」


ごおおおー!


細く火を吹いて会場中のローソクに火をつけていく龍太郎くん。招待客のテーブルの上にも。

あらら。それは、新婦達がやるんだよ。

「あ!火がついた!わざとつかないように水をかけてたのに!」

「俺も!シンゴを焦らせようとして蝋燭の芯を濡らしといたのに!」


結婚式の悪友あるある、である。


「ゴメン!ラーラさん!火を消すカラネ!ソーレー!」


ラーラさんがべそをかいてるのをみて、龍太郎君が火を吹き消す。自由自在だなあ。

「サ、ツケテネ。」

でも、せっかくなら使用前のまっさらな蝋燭に点火したかったよね。

シンゴ君も苦笑している。


「ハイハイ。こんな事もあろうかと。」

ネモさんの合図でスタッフが蝋燭をぜんぶ取り替える。

「龍太郎君はともかく、水をかけた輩には蝋燭代をいただきますよ。」

ネモさんに睨まれてしょげる若者達。

龍太郎君には誰も文句は言えないのか、と思ったら、

「龍太郎!ふざけすぎよ。」

メリイさんにポコポコ頭を叩かれていた。

「龍ちゃん。俺らの式の時やり返されたら、どうする?

…俺、泣くからね!」

ハイド君が諌めている。


それを尻目にラーラさん達はキャンドルサービスを無事に終えた。


デザートの甘いものも嬉しい。奥のテーブルに置いてあって、自由に取りに行けるようになっている。


おや、子供達がキューちゃんに、

「どうぞ!」「あい!」

ケーキやらアイスやら、スプーンにのせて口元に持っていってる。


ファーストバイトじゃないんだから。


キュー。


目を細めているキューちゃん。

ま、喜んでいるならいいか。


シンゴ君はみんなにお酒を勧められてる。飲んでまた、飲んでいる。

顔が赤いぞ。大丈夫か?


「じゃア、そろそろご挨拶をお願いいたします。アンディさん。」

「あ、はーい。」

ネモさんに促されてアンちゃんが壇上に立つ。


「皆様。うちの愚息の結婚式によくおいでくださいました!

……と、いっても最近できたばかりの息子ですが。」

どっ!と笑いが巻き起こる。

「しかもちゃっかりこんな可愛い嫁さんももらって、ジェットという家名までもらって、果報者です。

コイツはほんのガキの頃から知ってますが、一本、スジが通った奴です。何事も一生懸命で熱心で、なかなか見どころはありますが、なにぶん若輩ものでございますので、これからも御指導御鞭撻の程を、宜しく申し上げます。」

「うう…ありがとうございます。」

シンゴ君が男泣きに泣いている。

「オイ、シンゴ。オマエもなんか言え。」

「は、はい。皆様ありがとうございました。

今日この日を迎えられてほんとに良かった。

嬉しいです。」

「私もです。これからもシンゴさんと頑張っていきます。」


二人揃って頭を下げる。


そこにネモさんが来て、

「お二人には私からのお祝いとして、ここのコテージ、どれでもお好きなお部屋に泊まっていただけます。

それから、ウチの関連施設で使えるギフト券を進呈します!

ショッピングセンターやホテル、牧場でも使えますよ!」


わああ!太っ腹だ!


「なるほどね、今夜はここのホテルに泊まる予定だったけど、アップグレードしてくれるのね。

コテージはなかなか泊まれないからね。今人気だから。」

アンちゃんが腕組みをする。


「ありがとうございます!」

「いいえ!じゃ、どのコテージにしますか?

ライオン?トラ?チーター?シルバーバックのゴリラ?ワニ?ホワイトタイガー?

誰に守って欲しいですか?」

「ええ、そんな。選べない。ラーラはどの動物がいいかい?」

「え、ではホワイトタイガーかな。」


「なるほど!では、ご案内していただきましょう!虎子ちゃああん!カモン!」


え?ホワイトタイガーが、案内?


ドアが開く。

すると美しい白い虎が現れた。


「ふふ。おめでとう御座います。」

ホワイトタイガーの後から現れたのは、水色のパンツスーツを着て、(ほとんど)青い色の薔薇の花束をもったヴィヴィアンナ様だ!


きゃあああああ!

湧き起こる歓声!特にクノイチと私の!

「レイカちゃん、落ちついて!」

「虎子ちゃんはヴィヴィアンナ様の護衛をしている事も多いので、ご一緒にきていただいたのですよ。」

ネモさんがしたり顔をしている。

日中はヴィヴィアンナ様の護衛をして、夜は虎男くんと交代でコテージを守るのだそうだ。

働きものである。


麗しのヴィヴィアンナ様は、新郎新婦の前に行くと持っていた花束を手渡した。


「本当に可憐な花嫁さんだ。花の妖精のようですね。」


軽くウインクをする麗人。特に男装をされてるわけではないが、あまりの素敵さに私の鼻血が出そうである。

ラーラさんの顔も真っ赤だ。

「ヴィヴィアンナ様、ありがとうございます。」

そして、シンゴ君にも微笑む。

「シンゴ君も素晴らしく格好いいよ。本当におめでとう。」

「は、はひ。」

あら、シンゴ君も真っ赤になって噛んでいる。


「では、おふた方。私と虎子ちゃんと共に参りましょう。」


美しきヴィヴィアンナ様に連れられて、新郎新婦は拍手の中退場した。


「あっらー、ヴィヴィアンナ様にいいとこ持って行かれたわよ。」

カレーヌ様、その通りですが、素敵だったからそれで良かじゃなかですか。


「ねえ、ネモさん。良くラーラさんがホワイトタイガーを選ぶとわかったわね?」

エリーフラワー様のツッコミに、

「ま、簡単な誘導を行うつもりでしたけど、第一声で選んでくださってよかった。」


え、まさかマジックのテクニック?


「では、皆様。二次会はここのレストランのひとつを貸切にしておりますよ、新郎新婦も、準備がすみ次第参ります。」

ネモさんの声でみんながお開きになった。


私は二次会には出ないから、帰宅した。

幸せにね。

先日上野の、科学博物館の売店で、琥珀発掘体験の缶詰を買いました。

開けて掘ってみたら黒いかけらがあって、説明書をみたら「ジェット」でした。一応琥珀もありました。


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― 新着の感想 ―
ろうそくの芯に水・・・すごく嫌だったな。火が付かないときにどんな顔してればいいのかって、ほんと迷惑。ネモさん、弁償させるのグッジョブ!今後やらないでしょう。 ジェットってビクトリア朝の喪服というか、…
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