表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
281/288

華燭の典。シンゴとラーラ編 其の一

誤字報告ありがとうございます。

 さあ、晴れた晴れた。良い天気の八月五日である。

雨ふって地固まるというが、晴れた方がもちろん良いのである。

ネモさんのホテルに併設しているチャペルで今、

シンゴ君とラーラさんの結婚式が行われている。

花嫁の父代わりを務めるのはウチの父である。

「流石にワタシじゃ若すぎるしネエ。」

アンちゃんの頼みでふたつ返事でウチの父は引き受けた。

ラーラさんもウチの父に懐いているのだ。

参列者はウチの家族とメアリアンさんとランド兄、ショコラさんとイリヤさん、エリーフラワー様御一家。

カレーヌ様とメリイさんとハイド君だ。

後は仲が良い忍びがあちこちに警備兼出席してくれている。

龍太郎君はメリイさんの肩に乗っている。

しずしずとバージンロードを進むラーラさん。

美しいシルクのドレスに負けない花嫁姿である。

フワリと広がるラインに可愛らしい共布のリボンがふんだんにつけられて、胸には、グランディの秘宝であり、ブルーウォーターの名前の由来になった、サファイアのネックレスが輝いている。

はい、私が貸しました。

古くて青くて借りたものよね。


後ろでベールを持つベールガールはミネルヴァちゃんである。

流石にお姉さんですね。立派に努めてます。

横で一応一緒にベールを持っているのは、サファイア君である。

そして、フラワーガールはうちの二人の娘とビレイーヌちゃんだ。

とてちてと歩いている。おそろいの衣装で可愛いよ。


子供達がコケたらフォローするように、黒衣くろごが付いてきてる。

ええ、あの歌舞伎で見る黒衣のまんま。


―王妃様が、持ち込んだ文化だな。


「あの者達は、見なかったことにするお約束でごわすな!」


はい、エドワード様。そのとおりです。


私とカレーヌ様、エリーフラワー様はハラハラして見守る。

牛歩の歩みだが、がんばれ、こけるなよ。


「やはり凄いドレスよね、光沢が違うわあ。」

母がつぶやく。

流石にモス○じゃなくて、モスマン製のシルクは違います。


「新しい教会がモウスグ出来るノニ。待てなかったノカ?」

龍太郎君のぼやきに、

「龍の字。新しい教会で1番に式を挙げるのは、メリイさんだろ。」

アンちゃんが口元に笑みを浮かべる。


指輪の交換や誓いの言葉や口付けも終わり、滞りなく式は終了した。


教会を一歩出ると、白い鳩が一斉に飛び立つ。

バラの鉢がチャペルから披露宴会場までびっしりと並べられている。

「ウフフ。うちに送りつけられてきたバラの鉢よ。

利用させてもらったわ。」

にこやかに笑うカレーヌ様。

まだサード様から大量に贈られているのですか。

「おめでとう御座います。」

鳩の中から現れたのはネモさんだ。


「このホテルの支配人として、新郎新婦のご両親の友人として、また、ラーラさんの遠縁として、心から祝福いたします。」


お忙しいだろうにすみません。

一同頭を下げる。


「さア、みんな。歌って祝福を。」

ネモさんの合図で、インコ、ヨウム、オウム達が現れた。

そして歌ったのは喜びの歌だった。

「はーれーたーるー、あおぞーら…」

すごい。上手。揃ってる。

「王妃様が、ルリルリちゃんを呼びつけられましてね、お歌を色々教えて下さったのです。

それをまたルリルリちゃんが皆んなに教えました。」

ほほう。確かに中心にいるのはルリルリちゃんだ。


「王妃様、ご本人もご参加を熱望されておりましたが。まあ、仕方ないわね。と。」

良かったっす。


鳩は上空でハートマークを作っている。

「UMAたちがお祝いをしたいそうで。」


そこにミノタウルスとスノーマンが花束を持って現れた。

「ドモ、おめでど。アネだんのギリのごどもさん。」


ミノちゃん。そりゃそうだが、表現がさ。


「ドモ、アネダンのギリノ子供。」

スノーマンよ、オマエもか。


「ははは、ありがとう。」

「嬉しいわ。」

シンゴ君とラーラさんはひきつりながらも花を受け取った。


「おや?チュパカブラがいないな?」

ネモさんが当たりを見回す。


「ああっ!」「なんてこと!」

チュパカブラがカレーヌ様の薔薇の鉢を抱え込んで、次から次へと吸い付くしていた。

「やめろよっ!ちゃんと香料をあげただろっ!」

アンちゃんが顔を青くして止める。

「あはははは!いいわよ、どうせ沢山あるし。

可愛いチュパ子ちゃんのご飯になれば本望ってもんよ。

たまにはフレッシュなエキスも欲しいんでしょう!」

カレーヌ様が手を叩いて喜んでいる。


「メリイ、気の毒ダガ、サードサンは迷惑ガラレテルナ。」

「ええ、龍太郎。サード兄には気の毒ですが、まったく脈がありませんね。」


「チュパ子ちゃん。バラバラになったバラの花びらは…あらやだ、洒落じゃないわよ。

袋に集めておいてね?

まー、綺麗に乾燥してること!このままポプリに使えそう!」

カレーヌ様、たくましい。

「流石カレーヌ様だワ。チュパカブラはオスメス二体いるけど、ここに来たのがメスだとすぐわかるなんて!」

アンちゃん、感心するのそこですか?


まずアレをみて可愛いと言えるカレーヌ様はすごい。ほら、チュパ子がほっぺを赤くしている。

「ふーん。アイツカレーヌ様に懐いたワネ。護衛が増えるのは良いことね。」


そしてホテルの披露宴会場に入った。


その途端、蒼い光が満ちてキューちゃんが姿を現した。

やはり近くにいたのね。エリーフラワー様御一家がいるんだものな。


ネモさんも披露宴から顔を出してくださるようだ。

おお、中には忍びの仲間がいっぱい。


ヤー・シチさん夫妻、オ・ツナさん夫妻、あら、ヤマシロさんも。

「今日の要人の護衛は第一騎士団に頼んだでごわす。拙者の古巣ですな。

ま、ここにはそこそこ要人が集まってますからな!

ここを守ってあと、ここにいない、リード様御一家の護衛は騎士団に任せればまあ、安心ですわい。」

エドワード様が私にささやく。



さて、宴の始まりだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ