彼女(王妃様)は時々やってくる。
誤字報告ありがとうございます。訂正しました。
さて、六月十五日になった。
選び取りの日だよ。母達も参加したいそうだから父母の家でやる事にした。
「おほほほほ。可愛いわねえ。ムチムチプリンで良いわねえ。」
……王妃様。
何故貴女がここに。そして何故娘たちのほっぺを撫で回しているのですか?
ムチムチプリンは赤ん坊のほっぺたに使う言葉ですか?
「うふふふ。良い手触りだわ。」
おや?母と父とドギーとマギーが平伏しているぞ。
「可愛いおちりだこと。
やっぱりプリンプリンねえ。
そーれーいけー♪プリン、プ○ン、プリ○、どこまでもおー♫」
いきなり歌う王妃様。
きぃみーと、一緒にぃーどこまでもー♪
おっと。いかん、いかん。ついつられて、プリン○リン物語のテーマソングを歌うところであった。
今度は娘達の臀部をポンポンなさる王妃様。
貴女が中高年の女性で無ければ、セクハラでござんすよ。
「きゃっ、きゃっ。」
娘達も笑ってはいるけどね。
「王妃様、ウチの子の桃尻を御堪能頂くのはいいのですが、ウチの親の平伏がもう十五分になるのですが。」
「あ、あらごめんなさいね、楽にして。
お久しぶりね。ほほほ。コチラに移住されるならば
レイカも安心ね。」
「はい、グランディの華の中の華にお会いできて光栄でございます。」
「ウチの孫も撫でまわして堪能したいのに。エラ妃やお付きの女官に遠慮しちゃうのよ。」
ウチの子にも遠慮してください。
「赤ん坊って良いわよね。柔らかくていい匂いがして。」
それは同意します。
「おほほほ。そういえば引越し祝いを持ってきたのよ。
さあ、スケカク。」
「はっ。」
スケカクさん達が何かを運んでくる。
被せてる布が取られる。
じゃん!
「こ、コレは素晴らしい!木彫りのドラゴンでございますね!」
「入り口に飾ってね。みんなの目を釘付けよ。」
うん、多分モデルは龍太郎くんだな。
いきいきとした表情。躍動感のあるポーズ。
ノミの跡も滑らかに。作家がノリノリで掘っただろうなぁと思われる匠の一品である。
木彫りのクマと同じ作家であろう。
今までのいやげ物と違って素晴らしいじゃないか。
モチーフが球を持ったドラゴンになるだけで。
(シャケを咥えたクマさんと違って。見るものに安心感と既視感を与えている。)
手に嵌め込めれた水晶の球を良く見れば。
…ほお、七つの星が掘ってあるじゃないの。
「つっかもおおおーぜ♬ドラゴンぼおおおーるうう♩」
今度はいきなり朗々と高音で歌い上げられた。
「王妃様。先ほどから素晴らしい歌声でございますが。なんの祝詞でございますか。」
びっくりしているアンちゃんだ。
「ほほ。つい歌ってしまったけど。
さきほどの歌(プリンプリン○話のテーマソング)はともかく、
この歌(ドラゴン○ールのテーマソング)はね?日本では広く知られている歌なの。老いも若きも知っていてよ。
(※個人の感想です。)
このドラゴンは、この歌を歌って崇め讃えるのよ。そして七つの球を集めることを誓うの。
レッツ、トライトライするのよ。」
「この球の星が七つなのは何かわけがあるのですか?」
母がかしこまりながら聞く。
「ええ、この球はセブンスターと呼ばれているの。完成形ね。星がひとつから七つまでの球があってね、全部集まると合体してひとつの球になるのよ。」
「そうなんですか!」
―おい、それはタバコや。
それに王妃様適当な事を言ってらっしゃるわ。
ドラゴン○ールは合体しません。
「まあ。素晴らしいものをありがとうございます。
龍太郎君がモデルですわね。見れば喜びますね。」
感動する母。
それは否定しない。スゲ〜スゲ〜と喜んで飛び回るだろう。
「龍と西洋ドラゴンとでは少し絵面がちがうけどね。
そうだわ。あと六体つくりましょう!
ひとつ星から、七つ星までの球を持ったドラゴンの像。あちこちに設置して、
巡礼したら、望みが叶うとか広めたら観光の目玉になるわよね?
スタンプラリーや御朱印を授けるのも良いわね!」
…王妃様。素晴らしいアイデアとは思いますけれども、
うちの両親の家は一般家庭なので巻き込まないで下さいませ。
後日。
本当に、七つの球持ち神龍の像が各名所に配置された。
もちろん、七つ星の(てんとう虫みたいだな。)神像は別に作られて、ネモさんのホテルのロビーに設置された。ひと安心だ。
さて、元々今日は子供達の一歳の誕生祝いなのである。
「さあさあ!選び取りをしましょうか!」
王妃様。何故貴女が仕切ってらっしゃるのですか。
「王室御用達の商会がね。アンディが選び取りグッズを買ったと言ってたのよ。」
個人情報って知っとるけ?
「それでね、面白そうだから来ちゃった。お祝いの竜もね、なる早で作らせたのよ。おほほ。」
それは、ありがとうございます?
作家さんも大変だわ。
一応長女の、ランからお餅を踏んだ。
「う、う、う。きゃきゃは。」
その場で軽く跳ねてステップを踏んでいる。
「流石アンディの子ね!足腰強いわ!さア、何を選ぶのかしら?」
選んだカードに描かれていたのは、ハンバーガーだった。
「まあ、料理人になるのね?良いじゃない!
レイカ、レストランの後継者が出来るわね。」
母は手を合わせて喜んだ。
「では、次はアスカね!」
「ん、ん!はーい。」
やはり餅をジャンプして踏み付ける。
そして選んだカードにはお金が描かれていた。
「なるほど!お金は大事ですからね。」
王妃様も母も頷く。
「商人になるのかしらね?」
アンちゃんが腕組みをする。
「2人でレストランの経営をするんじゃないかな。」
まとめに入る私。
「なるほど。」
一同が納得する。
そこへ、ヤー・シチさんとオー・ギンさんが来た。
「王妃様。遅くなりました。」
「待ちかねたわよ。間に合って良かったわ。」
今回はもちろん義父さんと義母さんにも声をかけていたのだが、
「残念ですが、仕事が。」
と眉尻を下げて辞退されていた。
「やっと完成致しました。」
二人が大事そうに抱えて運びこんだのは。
「…王妃様。この人形は?マドモアゼル・ジ○ジェ?しかも二つ?」
「ほほほ。セキグ○から出ていた人形があったでしょ。
うーん、私の記憶が正しければ?こんな感じ。」
料理の鉄人の決めセリフのような事を言われる王妃様。
「マナカ国に良い人形師がいてね。なる早で作ってもらったの。娘さんたちの誕生日祝いに間に合って良かったわ。」
「完成したのは昨夜でしたから。それまで張り付いて出来上がり次第持って来たのですよ。」
王妃様の言葉にヤー・シチさんが汗を拭きながら言う。
「ほほほ。レイカの子を一目見たときから、この人形に似てると思ったの。」
確かに。黒髪、黒目。ちょっと垂れ目。
「可愛いです、ありがとうございます。」
「ほほほ。もちろん髪は人毛よ。黒髪の忍び達から集めたのよ!伸びると愉快よね?」
……やめて下さいよう。
マドモアゼル・ジェジェ。ウチにもありました。
おしゃぶりするポーズの人形って感じでしたよね。
ジュジュとジェジェ、どっちかなあ?と調べて、セキグチのホムペにジェジェと書いてありました。
タイトルは「奴らは時々帰ってくる」ですね。
キングは好きで小説は読みました。映画は見てません。




