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三つ子の魂百までと言うけれど。好みは変わらないって事だね。

誤字報告ありがとうございます。

 それで私たちはお暇することにした。

「ハミルトン、その荷物悪いけどレイカさんのお母様の家に届けてくれるか?住所はここね。」

「はい〜アンディ様。」


 外に待たせてる馬車に乗り込んだ。箱型の大きめの馬車である。

「アンディ様。来る時はどこにいらしたの?」

「ん?屋根の上ですよ、エリーフラワー様。」

「まあ、普通に乗ってこられて良かったのでは?」

「ウフフ、日頃から鍛えておかなくてはいけないのヨ。ちなみに後ろには今もひとり張り付いてますよ。」

「こんにちは。」

馬車の後ろからにゅっと若い忍びが顔を出す。

「うわっ、びっくりした。」

レストランや猫カフェにいる、顔馴染みの忍びのひとりだ。


「おまえ、もう護衛はいいよ。あまり危険は無さそうだ。」

「はっ、アンディ様。」

しゅっと降りてどこかに走っていった。


「ねえ、アンディ様。リード様は、そのつまり、御膳立てをしてるわね?」

エリーフラワー様がニヤリと笑う。

「ええ、エリーフラワー様、そうですね。」

アンちゃんもニンマリだ。

「 ? 」


「レプトン様とカレーヌ様の仲を取り持とうとなさってるんだと思うわ。」


したり顔をしているのはエリーフラワー様だ。

「ええええ?」

「まあね、レイカちゃん、リード様はレプトンさんがラーラに振られたことに責任を感じておられるのよ。」

アンちゃんが外の景色を眺めながら言う。

「さっきのレプトンさんの反応を見たでしょ。カレーヌ様に構われて楽しそうだったワね。」

「確かに。」

「ほほほ。振ってる尻尾が見えそうだったわ。」

エリーフラワー様、毒舌っす。

「あの可愛い顔から忖度の無い言葉を繰り出す。

それが彼女の個性というか魅力。

ラーラさんもそうだったわよね。」

あー、そうか。

「じゃあ、リード様はわざとレプトンさんを残して帰ったの?」

「うん。」「きっと。」


アンちゃんはとても真面目な顔をして続けた。


「何しろレプトンさんは公爵家の人間だ。

それに性格も見かけだって悪くない。

仕事はリード様の補佐をしているし、カレーヌ様とは昔からの知り合いだ。

ヴィトーのジャスティン様も、旦那様も文句は言わないさ。」

「なるほどねえ。」

「昔からカレーヌ様には沢山、恋文や釣書が届いてたんだ。その中にはサードさんやレプトンさんのもあったからね。」


「あら、そうなの?」


「まあ。それはそれは。」

エリーフラワー様が楽しそうな顔になっている。


「ま、どっちにしろカレーヌ様のお心次第よねえ。」

アンちゃんは軽く伸びをした。

「レプトンさんに軽口を叩くのも、気分転換になるでショ。彼も喜ぶし。

多分リード様はこれからあれやこれやと、理由をつけてレプトンさんをカレーヌ様のところへ派遣するワよ。」


「そうねえ。純情ですものねえ。無理やり、せまったりしないだろうし。」

「そうよね、レイカさん。きっとそのうちに交換日記を申し込んだりして。」


…ははは。恋する乙女チックなレプトンさんだからな。


「まあ、長い目で見守っていきましょ。」

「カレーヌ様は頭の回転が速いから、もうリード様の思惑は察してるみたいネ。

だけど、そんなに不機嫌でも無かったから、ま、良いか。

ふふン。コレからレプトンさんは、カレーヌ様にこき使われるね。」


「ほほほ。カレーヌ様のサドっぽい毒舌を、頬を染めて喜ぶ、マゾ野郎のレプトン様って構図が繰り広げられるのですわね!」


いや、エリーフラワー様。その発言はいかがなのかと思いますが、私も頭に浮かぶ。


「ラーラの歯に衣着せぬ発言もレプトンさんには刺さっていたけどさぁ。カレーヌ様は初恋の人だものネ。

それが不幸な結婚をして独り身になったでショ。まだ本人自覚は無いけどチャンスと思ってるんじゃないかしらネエ。」


カラカラと馬車は進む。

無責任な発言を乗せて。


「うーん?レプトンさんは惚れっぽいのかしら?」

「違うワヨ、レイカちゃん、元々レプトンさんはカレーヌ様やメリイさんみたいな儚い見かけの女性が好きなのさ。と言うか根底でずーっとカレーヌ様が好きだったんだろう。無自覚で。

だって考えてみなよ。公爵家なのに婚約者も積極的に決めてこなかったんだ。」

なるほどね。


それを聞いたエリーフラワー様が目を丸くした。

「そういえば、サード様にも婚約者はいませんわね?まさか彼も?」

「うーん、どうかしらネ。もし、そうなら行動を起こすと思うワよ。」


「でも。ふふふ。カレーヌ様はあの強烈なエメリンにも負けませんわね。」

エリーフラワー様の言う通りである。


エメリンはまだ夢見る乙女だが、カレーヌ様はガチガチの現実を、足を踏み締めて生きている。


「そういえばカレーヌ様は王家御用達の看板が欲しいと言ってましたね。」

「そうネ、レイカちゃん。もう王妃様のご注文に直接応えてるから、それは貰えるでしょうね。

グランディ王家のはね。

もちろん、ネモさんのところのブルーウォーター公家のも。」

「なるほどね、その許可取りの手続きにレプトンさんは、これから忙しくなると言う訳ね。」

エリーフラワー様はニヤリと笑う。

「そう。リード様やネモさんと、カレーヌ様との間の連絡係としてね。」

アンちゃんも頷く。


コレからは彼の頑張り次第だ。恋も仕事も。


もう男なんか要らない!と言ってるカレーヌ様が、すぐに心を動かすとは思えないが、まあ頑張って欲しいものである。

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