おしゃれでシックな王子妃が。わんさかわんさかファンを増やして、 イェーイ
忘年会でレナウン娘の歌を歌いながら踊る、女装の先輩がいました。
ホント、昭和ですなあ。
「皆様、本日はようこそお越し下さいました。
第二王子妃ヴィヴィアンナ・グランディです。」
ああ、トップスターの挨拶。幕があがる前に流れるアナウンス。よく通った日比谷の劇場。
あれを思いだすセリフだわー!
その時みんな拍手するが、今こちらでも拍手が上がってる。
私も立ち上がってのスタンバイ拍手だっっ!!
「レ、レイカさん?」
侍女長が引いているがかまうものか。
麗人は腕にバラの花をかかえている。花越しに見える華のかんばせ。今日は薄い水色三揃いのスーツだ。
(この三揃いスーツは王妃様が流行らせた。丈が短か目のジャケット。ボタンはひとつだけとめて。そのシルエットが少年ぽい細腰に似合うこと。)
一本ずつ包まれたバラを出席者に渡していくようだ。
「お一人ずつのイメージで選びました。朝摘みのバラです。」
そっと近づいて渡す。
「心よりご尊敬申し上げる、アアシュラさまにはこちらを。」
最年長のひとくせありそうなおばば様には、貴重な紫色のバラの中でも、ものすごく青みが強いバラを渡す。
「こ、これは!最近話題の(ほとんど)青いバラ!
初めて見ましたわ!」
そうか、このおばば様は中央にある、マナカ王国の方か!ぶっちぎりの影響力があって気難しい女傑と聞く。
それがまあ、女学生のように顔を染めて。
ヴィヴィアンナ様、恐ろしい子!!!!
「可憐な貴女にはこれを。」
最年少の招待客だ。メンドン王国の王妃様で、まだ18歳かな。
「ふふ,私も先日18になったばかりですよ。
同い年という事で仲良くして下さいね。」
「は、はいいいっ。」
渡された濃いピンクのバラの花と同じくらい頬が染まっていく。目はすっかりハート型。
流石っす。
「み、見事な美少年振り。リード様と並ぶと薔薇っぽい絡みで、いい!です。攻めて受けて!」
「ありがとうございます。リード様を敵から守るため頑張っておりますよ。」ニッコリする麗人。
ちがううっ、そのお姉さん、腐ってるんだあっっ!
順当にバラ渡しては攻略していく。
おお、この方なんか崩れおちたぞ。
最後に真紅のバラを持って行ったのはギガント王国の
王妃様だ。困ったちゃんアメリアナ様と耐える長女エラ様の母だ。
(そうか。エラ様か。)
「貴女にはこの真紅のばらを。荒野の中でリン、と咲く強さをお持ちです。」
「わ、私など!この騒ぎをおこしたギガントの者ですのに!」
「貴女のせいではありませんよ。失礼ながら暴走されるお義母様。止められないご夫君。甘やかせて大人になれなかった被害者のお嬢様のせいでは。」
「ええ、貴女様はおひとりでご公務をこなされてきたようなもの。
この国のものは貴女を賢妃と認識しておりますわ。」
おおっと、エリーフラワー様の援護射撃だっ!
ギガント王妃様から涙がほとばしる。
「う、うううっ。こんな優しいことばをかけて下さるなんて。」
「エラ様とは親しくしておりますわ。立派な王妃になられるでしょう。」
「貴女が御立派にお育てになったのですよ。」
うわああああああん!!
とうとうギガント王妃は号泣。
ヴィヴィアンナ様に抱きついた。
良いなあ。
「あなたは頑張ってこられた。お辛かったのですね。」
「私、いつもひとりで寂しかった!」
ああ、探偵物語の薬師○を彷彿とさせる叫び。
ぱちぱちぱち。みんな目頭を熱くしながらの拍手。
おお侍女長、貴女もですか。
「ヴィヴィアンナ様!貴女は本当に素晴らしい方ですわ!私はずっと貴女の味方ですわ!」
「何かあったらいつでも頼っていらして。貴女とお子様方なら大歓迎ですわ!」
「もちろん、アラン様もご一緒でも構いませんわ。
その時は貴女もスーツできてくださると妄想がはかどりますわ!」
なんの?
「うっうっ、エリーフラワーの様子を見に来たのでござるが、心洗われますなあ。」
エドワード様いつの間に。
そこへ。白い鳩が集団で飛んできた。
その下にはネモさんがいて各種の色のばらが入ったバスケットを持っている。
上で白い鳩さんたちはぐるぐる回っていろんな形をとってる。矢印になったり。円形になったり。
見事だ。お金取れるレベルの芸だよ、これ。
「ご紹介しましょう。今回のバラを用意してくださった、ネモ・ブルーウォーター伯爵です。
彼は緑の指をお持ちなのですよ。」
青い空の下。白い鳩の羽が舞い散る。
その中から茶色の髪に薄荷色の目をした長身の青年が現れる。
「皆様初めまして。明日には我が領地にお招きいたしましょう。」
それからバスケットから一本の紫色のばらをとりだして私にくれた。
これは!新作という?
「王妃様がマスミハヤミという名をつけられました。
どうぞ。先日ご夫君のアンディさまにはお世話になりまして。」
ありがとう!紫のバラの人!