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お隣さん、お静かに。

誤字報告ありがとうございます

 次の日。ランとアスカを連れて母の家に行った。

アンちゃんとラーラさん付きだよ。

「あ、おはようございます、アンディ様。レイカ様。」

ドギマギ兄妹が窓を拭いていた。

「あら、おはよう。」

うん、やはり明るくなった気がするな。家も彼らも。


「あらら!ランちゃん!アスカちゃん!」

「可愛いでちゅねー!」

デレデレの父母が出迎える。

娘達をベビーカーから下ろす。

「ババ!ジジ!」

「じーじ!ばーば!」

「あらあら可愛い。」

ヨチヨチ歩きで寄って行く娘たち。


「お母さん、空き部屋にマット敷いていい?家具があまりない部屋。」

プレイマットを敷く。

はい、エリーフラワー様の開発、改良で丸めやすく、軽く持ち運びしやすいやつだ。

それを新しい絨毯の上にしく。

「あら、そうね。お座りしたいわよね。」

お座りしたかと思うと、いきなり始まる高速ハイハイ。ものすごくハイハイのスピードが速いのである。目が離せない。

それからつかまり立ち。またヨチヨチ歩きしてからのハイハイ。

「流石にアンディ様のお子様ですね、運動神経半端ないわ。」

ヤマシロ君が感心している。

「ね、目が離せませんから、お義母さんが来て下さると助かります。」

アンちゃんがにこやかに言う。

「そうなの。ほら、あんよは上手、こっちにおいで。」


おぼつかない足取りで母や父に寄っていく娘達。

途中で尻餅をつく。

微笑ましい光景である。


「ねえ、レイカ。もうすぐ一歳の誕生日よね。

選び取りはするの。」

王妃様がお孫様に選び取りをなさってから、行事として定着してきた。


「うーん、そうね。」

「十五日だっけ。じゃあ来週だワ。手配をしないとネ。王室御用達の店がセットを売っていたはずだ。

取り寄せなきゃ。」

アンちゃんが頷いている。


「あら、貴女がラーラさん?」

「は、はい。」

母がラーラさんに声をかけているわ。

「なかなか苦労なさったのね。ネモさんの遠縁でギガント戦でご家族を亡くされたとか。」

「ええ、まあ、そうです。」

「これから、私もそちらでお世話になるの。宜しくね。あとシンゴ君とご結婚なさるのよね。」

「はい、こちらこそ宜しくお願い致します。いつもレイカさんにはお世話になっております。」

ラーラさんが綺麗な礼をする。

そうだよな、この人もホンモノのお姫様だったんだからね。

私がその後、ラーラさんに父や新人のドギマギを紹介した。

「もしかしたらご近所になるかもでしょ。」

「あら、そうよ、シンゴ君が任務で出かけたらウチにくれば良いわ。」

母も頷く。母には娘や孫のような歳のラーラさんだ。

「お若い結婚だと皆んなから、心配されるかもだけど、愛があるから大丈夫なのよね。」

まるで瀬戸の花嫁の歌詞のような事を言う母。


ここの世界でも16の結婚は早い方だ。ドレスができるときは17になっているかも知らないけどね。

そう。奥様は17歳なのである。

岡○友紀は18歳で、ケロンパこと、うつみ○○○から、悔しいわ、悔しいわ、何だかとっても悔しいわと言われていたのである。


「ねえ、ラーラさん。ドレスのせいで、なし崩しに結婚が早まりそうで戸惑ってるの?本当はまだまだ後が良かったとか?」

コッソリと聞いて見た。

「いえ、レイカさん。最初は金銭的なことも考えてもう少し後が良いかなと思っておりましたが。」

ラーラさんが穏やかな顔で話す。

「いつどうなるかわからない忍びでしょ。早い方が良いかしらと思いまして。」

「あ、うん。」

それはそうだ。シンゴ君は忍びの若手No.1。それだけ任務も多く危険も多いのだ。

だから家族は彼にとって生きる力となるだろう。絶対生還するぞ、と。

「それに、ちゃんと家事や育児の事も考えたり、話し合ったりしたんです。」

「まあ。」

「家計は私が握ってお小遣い制にしますわ。」

「そ、そう。」

「シンゴが偉くなったら、部下に奢ることもあると思います。その時は応相談で。一応キープとして隠し金を持つようにと。財布や手帳に紙幣を折って忍ばせておくとかですね。」

「うん!偉い。しっかりしてるね!」


相変わらず地に足がついていて、立派である。


「さっき母がチラリと言ってたけど、近所に空き家があるけど、どうかしら?」

「そうですね。ええ、考えておきます。」

そしてポツンと言う。

「でも、レイカさん、私はひとりになるのが怖いんですよ。」

「 ? 」

「シンゴは新婚の時くらい外で暮らしたいと言うけれど、私は寮にこのままいる方が安心するんです。

あの一軒家で、シンゴが任務でいない時、ひとりになるのが不安なんですよ。

寮にいると怪しい人は入って来られないでしょ、守られてると言う気がして安心なんです。」 

「……。」

彼女の顔は泣きそうである。確かに彼女は、ここにくるまで、身の危険を常に感じてきたのだ。

「任務の時だけ、寮に泊まる。それもアリです。

それに確かに寮だと飲み会のお誘いとかあります、落ち着かないからシンゴが寮を出たいというのもわかるんです。」

声が震えてきている。泣くまであとわずか。


かばっ。


とりあえず抱きしめて落ち着かせる。

「あー、わかった。私やアンちゃんからも新婚家庭にちょっかい出さないようにキ、ツ、く言っておくから、ねっ?」

「…はい。」


気丈な様で時々びっくりするくらい、もろい。

それがラーラさんの魅力なんだろうなあ。


まあ、シンゴくんの気持ちもわかるよ。

新婚のときくらいイチャイチャラブラブしたいよね。

黒き狼と呼ばれるシンゴ君だが、そっちの狼になるのか。

あなたも狼に変わりますか、あなたが、狼なら怖くないの世界か。

なんてったって10代だしねえ、彼も。

うーん。


「あら、マリッジブルーかしら。」

母がヒョイっと顔を出した。

「ねえ、ラーラさん。お隣とウチを繋いだらどうかしら。」

「えっ?」


いきなり何を言うのだろう。


「ああ、つまり離れみたいなやつか。」

父も頷く。

「もちろん、玄関も別々。独立していて、

お互いの家を廊下で繋ぐのよ。そしたら、中から自由に行き来きできるの。」

「ああ、二世帯住宅みたいなの?」

「そうかしら?どちらかというと旅館の別館や新館みたいかな。

もちろん、干渉しないし間のドアをノックしてからしか、行き来しない。内線で繋いで連絡すれば良いわ。」

ラーラさんは目をパチクリしている。

「最初はね?ウチに間借りしてもらっても良いかなとは思ったの。部屋余ってるし。私達は二階。

貴方達は一階とかね。

だってほら、この家は。」

母がドヤ顔をする。

「キューちゃんと龍太郎君の加護があるのよ!

廊下で繋いでも加護は続くんじゃない?」


なるほど、母が言うことも一理ある。

しかしそれにはお互いの壁を打ち抜く工事が必要なんだが?


「シンゴ君がいないときはコチラで食事を一緒にすれば良いじゃないの。ね?」

「……。」

ラーラさんの目は潤んでいる。

「おばさま。いえ、レイカさんのお母さま。」

「おばさまで良いわよう。」

カラカラと笑う母。

「う、嬉しいかもしれません。」

「そうね、ラーラさん。寂しい時はずっと入り浸ればいいのよ。一緒にご飯食べて、お茶飲んで。寝るときだけ自宅に行く。寮と変わらないでしょ。」

私も口添えする。


「まあ、シンゴ君と良く話し合ってね?」

さて、どうなるだろうか。

お隣さんお静かには、森村桂さんの本のタイトルから。夢中になって読みました。

天国に一番近い島、が一番有名ですね。


今回は石野眞子ちゃんの狼なんて怖くない、とか

岡崎友紀の奥様は18歳とか、懐かしいネタ満載でしたね。石立鉄男はいい役者さんでした。

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― 新着の感想 ―
今回はまた、懐かしシリーズ(勝手に名付けた)でしたね。 マーガレットの連載は時々しか読めなかったけど、ドラマのほうも毎回は見てなかった・・・ 原作とドラマでは、ダーリンのハンサム度が違うと思いながら。…
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