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ドギマギさせてよ。

誤字報告ありがとうございます

 「ふうん。アンちゃん、もうその子達連れてきてるんでしょ。」

「流石、レイカちゃんね。ヤマシロがさっき馬車に乗せてきて待機させてるわ。」

「まあ!なんてこと!今日は暖かいのよ!

熱中症になったらどうするの!早く連れてらっしゃい!」

六月である。初夏である。

王妃様が広めてくださったので、グランディには熱中症という概念は広がっている。

(私が学生の頃は日射病と言う言い方が多かったな。)


母の叱責で二人の男女が連れて来られた。

連れてきたのはヤマシロさんだ。

お久しぶりっす。


「ドギーとマギー。兄妹です。仲が良くて離れたくないと。ま、自分がいなくなったら妹がどんな目に会うか不安だったのですよ。」


13から14歳か?オドオドとして上目使いでコチラを見ているドギマギ兄妹だ。

日に焼けて髪もボサボサだ。着ている服は清潔ではあるが、生地も薄くすりきれている。

「ヤマシロ、グランディの保護施設はそんなに良くないのか?」

アンちゃんの声が硬くなる。

「ええと、他の国と変わりません。つまりそれなりです。俺もそこで育ちましたけども。」

そこでヤマシロ君は声を落とした。

「ブルー・ウォーターは天国ですよ。施設にはいじめる大人はいない。子供をいじめたら、神獣様の怒りを買いますからね。

それでも俺は、忍びの才能が我ながら飛び抜けてましたから、すぐに出られましたけどね。」


二人の子供は怯えている。

薄茶の髪のよく似た兄妹が抱き合って震える様は、二匹の子犬がぶるぶる震えてるようである。

「あの、俺ら一緒懸命につとめますから、お願いです。妹と引き離さないでください!」

「わ、私には忍びの適性はありません!だ、だけど娼館行きはご勘弁下さい!」

二人共土下座する勢いだ。


もちろん、うちの母の母性に火がついた!

「ま!何て事をいうの!いい、あなた達はここで暮らすのよ!わかった?」

「そうだな!この家で働きなさい。」


父も頷く。二人とも涙目になっているではないか。


「良かった。この二人を宜しくお願いします。」

ヤマシロさんがホッとした顔をした。


「いい?アンタたち。しっかり仕事をするのヨ!

ここのご夫妻はこの私の義両親なんだからね!」

「は、はい!黒い悪魔のアンディ様!」

「黒い悪魔は余計よっ!」

こら、アンちゃん。脅かしてどうする。


「じゃあ、顔合わせも済んだのでいちど連れて帰ります。」

「あら、ヤマシロさんだったっけ?良いじゃない。

ここにもう置いて行きなさいよ。」

「しかし。」

「ねえ、ドギーにマギー。見てわかるけど引っ越しの最中なのよ。手伝ってちょうだい。

あと貴方たちのお部屋を整えなくては。」

母はウキウキして楽しそうだ。

「お母さん、それよりこの子達何も食べてないんじゃないの?ヤマシロさんも?」

「あら、いけない。まだ差し入れ残ってるわよね?」

「ありがとうございます!アネさん、ゴチになります!」


なごやかな雰囲気の中、引っ越しは終了した。

「ところで貴方達、荷物はあるの?取りに行かなきゃならないとか?」

「持ってきてます。」

「肌身離さず持ってないと取られるから。親の形見の時計とかペンダントとかなんですけど。

あとは下着とか服とか。」

小さな布製バッグをそれぞれ持っていた。

不憫である。

「ねえ、レイカのところに侍女服とかのお仕着せない?とりあえず何か着替えを用意しましょうね。」

「うん、そうだね。猫カフェの制服とか?ラーラさんやショコラさんが来てる服とかね。」

「あ、そうですね。今日も忍びとクノイチを1人ずつつけますから。運ばせましょう。

あとは部屋割りですね。」

アンちゃんが指図を出す。


二階の日当たりの良い続きの部屋が両親の部屋、それから端っこが今度くるミルドルの部屋、反対側に客間、もひとつ客間。あとは書庫とか趣味部屋。

そして一階に使用人の部屋、忍びの宿泊部屋、倉庫に台所に、居間に応接室と決められた。


あとは細々とした荷解きだ。


おや、ショコラさんが来たぞ。

「レイカさん。アンディ様から連絡もらって服持ってきました。あ、それから、レイカさんのお父様、お母様、お久しぶりです。」

「あら、ショコラさん。会えて嬉しいわ。

来月からね、レイカの手伝いをするからね、宜しくね。」

「ええ!宜しくお願いします。では来月までにドギマギ達をある程度の家事と家の管理を出来るようにしなければ。

貴方達、施設で家事仕込まれてるんでしょ。掃除とか?料理とか。」


うーんいきなりドギマギ呼ばわりか。

(ま、私も心の中で呼んでたけどね。)


「は、はい!掃除も洗濯も、料理もやります!」

「簡単な読み書き計算は?」

「出来ます!」

「ショコラ、一応1番優秀で善良なのを連れてきたんだよ。忍びにならない中でね。」

「ふーん。ヤマシロの折り紙つきか。

じゃ、この服に着替えなさい。」

「ねえ、ショコラさん。」

母が口を出す。

「この子達をまずお風呂に入れましょうね?」

「あー、確かに汚れてますからね。ヤマシロ、シンゴ、今日は貴方たちのどちらがここに泊まるの?」

「あ、自分が。」

手を挙げたのはヤマシロ君だ。

結構大物が泊まってくれるんだな。初日だから?

「俺が連れてきたし。一応同じ施設の後輩だし。」

「じゃ、ドギーと入ってやってよ。

マギーは私と入ろう。今日は私がここの警備に残りますわ。」


アンちゃんを見ると頷いた。

「虐待されてないかチェックするんだよ。」

私にコッソリと囁く。

なんと。


「あんな小さい子たち。ウチの孫とあまり変わらないのに苦労したのね。」

母の目が潤んでいる。

「ルリカのとこと同じくらいだよな。」

ルリカは私の上の姉である。二児の母でグランディの端っこの子爵家に嫁いでいる。確かに歳周りは一緒かな。上が男の子下が女の子と言うところもね。



「じゃ、お母さん。明日また来るから。孫連れて。明後日は温泉に行きましょうね。」

「そうね、レイカ。アンディさん、今日はありがとう。

シンゴ君もラーラさんに宜しくね。」


とりあえず今日はコレで解散だ。

中山美穂さんのWAKUWAKUさせてよ、の中にドキドキさせてよってありましたよね。

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