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遅く起きた朝には。色々終わっていたよ。

誤字報告ありがとうございます

 次の日。朝9時。カレーヌ様が起きてきた。

「うう、頭が痛いわ。」

「カレーヌ様。飲み過ぎですわよ、さ、このウロコ水を飲んで。」

かいがいしくカレーヌ様の世話をするエリーフラワー様。

そう、心配だからと御一家もここに泊まったのである。

以前エリーフラワー御一家様はここに同居されていた。部屋はそのまま残っている。

時々母が使ってるけどね。


「あー、すっきりしてきたわ。」


「レイカさん、ルリルリちゃんが来ました。」

ショコラさんがルリルリちゃんを連れてきた。

「デンゴン、デンゴン。ネモカラ。

午後、会議室ニ、キテ。ミンナクル。カレーヌ兄サンモ。クル。」

「あら、お利口ね。ハイ、ナッツ。」

「ウマーイ。」

食べたら飛んで帰った。


昨日のことをカレーヌ様に説明はした。

「ふうん。お兄様が来てくださるの。もうすっかり片がついたのね。」

カレーヌ様の顔は晴れ晴れとしていた。


午後。キューちゃんに皆連れられて、ネモさんところの会議室に行った。二日連続だよ。

おや、アンちゃんだ。

帰って来ないと思ったら直行していたのか。

そこにはカレーヌ様に似た美しいお兄様がいた。ジャスティン様だったかな。

「カレーヌ!大変だったな!」

「お兄様。ご心配かけて申し訳ないですわ。」

「おお!こんなに痩せて!愛しい妹よ!おお!神さま!」

カレーヌ様を抱きしめて顔を覗きこまれるお兄様。

セリフといい、ビジュアルといい、昭和40年代あたりの少女漫画のようです。


「オオ、美シイ光景ダナ。」

あら、龍太郎君いたのね?

「うむ。私の次の次の次の、そのまた次くらいに美しい男かもしれぬな。」


リード様。何を張り合っておられるので。

「リード様の次に美しい男は、ハイドダロ?ナア、メリイ。」

「何を言ってるのよ、龍太郎。

貴方がどうしてもここに来て、みんなに会いたいと言うから連れてきたのに。」

メリイさんが赤くなっている。


「だーって、昨日パイセンが大活躍ダッタンダロ?

俺も見タカッタ!魂オロシ!

今日もパイセンが来るのナラ、俺も来たいモン!」


そういえば、龍太郎君とキューちゃんの意識は繋がってるんだったな。

今回キューちゃんは私たちを連れてきてくれただけなんだけど。

「ははは。自由だね、龍太郎君は。」

ネモさんも引き攣っている。


ジャスティン様がみんなを見回す。

「こんなに沢山の皆様、しかも神獣様まで。カレーヌにご尽力下さいまして、ありがとうございます。」

そしてカレーヌ様共々、深々と頭を下げた。


「いや、こちらで、というか王家の主導で離縁を決めたが良かったのかい?

もう、君はヴィトー公爵家に籍は戻っているよ。」

リード様の問いかけに、

「ええ、構いませんわ。コレからアイツはあの女と他所の男との間の子供を育てていくのですわね。

ふふん!ざまあみろ!ですわよ。」


「カレーヌ、うちに戻っておいで。みんな待ってるよ。父上も母上も。ウチの子達だってさ。」

「いいえ?何でですの?ブルーウォーターで工房を続けますわ。あの店も品物も、私のものですわよ。」

「だって女手ひとつでは。」

「ふふん。ここ一年近くずっとそうでしたわよ。

あの穀潰しがいなくてせいせいしてますのよ。」


「何かと物騒だろ。」


「ほほほ。私達がチカラになりましてよ。

ね?メアリアンさん、レイカさん。」

「ええ。」「もちろん。」

横でアンちゃんも頷く。


エリーフラワー様がお味方になれば、キューちゃんの加護がつく。


私が味方だと、もれなく忍びがつく。


メアリアンさんがいれば悪意を持った人はすぐわかるし、悪意がある霊がきたとしても、祓えるのだ。


「私も動物たちに見張らせますよ。」

ネモさんも付け加える。


「…しかし。」


カレーヌ様はじっとジャスティン様を見つめる。

「それに、私がそちらに戻ったら、きっとまたすぐに嫁がされるのでしょ?」

「そんなことはないと思うが。」

「お兄様はともかく、父上はそう言う考えですわよ。隠居してても口出しするわ。

お義姉様もきっと私が邪魔ですわよ。」

「そんなことはない!」

「私はね、ちゃんと自立してやってますの。

結婚してもらわなくて良いのですわ。

自分と娘の食い扶持くらいかせげます!」


「いや。そんな。」


「ジャスティンくーん?そうだよ。カレーヌさんはね、立派にスイーツ工房を切り盛りしている。

この国の名産品なんだからね?

本人がここに残りたいなら良いじゃないか。」

リード様が半眼になってジャスティン様を見て、軽く圧をかけている。

「リード様、私は妹が心配で、心配で心配で。もひとつおまけに心配でっ。」

そうか。リード様やアラン様とこのジャスティン様も昔からの馴染みなんだものな。

お互いに気安いんだな。


「ううーん、シスコンはどこにでもいるねえ。」


リード様は頬杖をされてチラリとレプトンさんを見た。

いたのか、レプトンさん。

濃いメンバーの中に紛れてわからなかったぞ。

そういえばリード様の側近だったよな。

「は、いえ。」

レプトンさんは困っている。


「おほほほ。リード様。そんなにレプトンさんをいじってはお気の毒ですわよ。先日のエメリン女史からの、ダメージもまだ残ってらっしゃるでしょ。」


うん、エリーフラワー様。流石だね。

リード様に釘を刺せるのは貴女しかいないわ。

「あ。そうだね、才女殿。」

リード様はいきなり姿勢を正された。


「私、思いますの。」

「な、何を思いついたのかな、才女殿。」

びくつくリード様。

「ジャスティン様!」

「は、はいい?」

あら、ジャスティン様もビビってる。


「そちらに、爺やのようなお方はいませんの?リード様にもいらしたんでしょ。

カレーヌ様の所に住み込みで働いても安心な、年配で、仕事が出来るひと。」 


「そういえば、ルルド国の大使を見て、

爺やも老けたな。って、リード様言ってらしたわね。」

メアリアンさんもつぶやく。

リード様は目を丸くされた。

「才女どの、メアリアンさん、聞こえてたのかい。うん、彼は昔、私と兄上の世話をしてくれたんたよ。母が嫁ぐ時に一緒についてきたのさ。ベテランの執事でね。」

「確かにウチにも老執事がおりますな。」

「お兄様、ペーターよね?元気なの?」


ペーター。アルプスでヤギを追ってそうである。


「うん、まだ現役だよ。まもなく引退して息子にその座を譲ろうかと言ってたな。」

「確かに。あの方は立派な方ですし、若い時は騎士もされていたと聞きます。

ギガントのスパイのもう1人の執事にも、毅然とした態度で接してましたね。慣れあったりしなかった。」

アンちゃんが口を出す。そうか。顔馴染みなのか。


「そうだな。彼ならボディガードになるし、もう枯れてるから醜聞にならないだろ。

父上に許可をとろう。

女所帯では心配だったが、まあ、これで大丈夫かな。」


「そうね。ピーターなら帳簿も付けてくれるわね。

業者にも睨みが聞くし。女だからって舐められなくて済むわね。

これで楽チーン、安心ねっ。」


バサバサ。


龍太郎君が飛び回ってキューちゃんの上に乗った。

「ジャスティンサン。カレーヌサンのお菓子は美味シクテ、オレも白狐のダンナもお気に入りナノサ。」

キュー。


「お、おお!そうでございますか!有り難き幸せ。」

「ソレデサ、もう、離婚シテ名前変ワルンダロ?粗悪品も出テルシ、屋号にオレらの名前使ってイイヨ。イツマデモ、ローエン工房ジャナア。」

「え!そうなの、龍太郎くん。」

「うん、カレーヌサン。ロゴマークは多分、ミネルヴァちゃんが上手ダヨ、俺らを素敵に描イテモラオウ。」

「うむ。学園のフクロウのロゴはミネルヴァが描いたのでごわす。」

「名前は、キューちゃん&リュウタロウ本舗でどう?

縮めて「キューたろう」だぜ!」


「龍太郎!それはオバケさん!」

「藤子○不二○先生のキャラですよ!」

(…または、卑弥呼さまーー!とやる芸人だが、龍太郎君とメリイさんは見たことないだろ。年代的に。)


「シマッタ。転生者が他にもイタ。」

おふざけもいいかげんに。


「では。狐龍こりゅう本舗では。」

ネモさんが腕を組む。


良いんじゃないの、なんか中華街の店みたいだけど。


「スカジャンの柄のような絵柄が浮かぶわ。」

メリイさんがポツンという。


「スカジャン?スタジャンじゃナイノ?」

ああ、龍太郎君の年代だとそっちかあ。

スタジアムジャンパー。略してスタジャンね。


「硬いわね。「コンドラ本舗」でどうかしら。

キューちゃんのコーンと、龍太郎君のドラゴンでね?」

「あら、レイカ。それが良いわ!可愛いお狐様とドラゴンの絵柄を組み合わせたのを描いてもらいましょう。」


それでカレーヌ様のお店の名前は、ローエン工房改め、コンドラ本舗となった。


コンドラ…こんどら。


皆様、お気づきでございましょうか。

元々この話は

「おもい()()()()」から始まったことを。



ちょっと苦しいけども、お後がよろしいようで。


遅く起きた朝には。見てました。

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― 新着の感想 ―
ちょっと苦しいかと。 でも、今回やたらと吹き出してしまいました。 いつもより多く回っているようで…じゃないけどそんな感じで。
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