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事態は動く。彼女が寝てる間に。

 アンちゃんの判断でカレーヌ様の所からビレイーヌちゃんが連れて来られることになった。

「こちらで預かろう。レイカちゃん、殆どシラフだよね?一緒に来て。店の中にババアとアホ旦那の息がかかった者がいるといけないから。」


これから彼らを締め付ける。ビレイーヌちゃんを攫って交渉の材料にされたら困るのだ。

「レイカちゃんはあちらのスタッフに顔を知られて、親しまれてるでしょ。ビレイーヌちゃんをうちの子と遊ばせたいからとカレーヌ様が言ってたと言えば、スムーズに行くわよ。」


なるほどね。


実際、上手くいった。

「カレーヌ様は?どうなさったんですか?」

「楽しくなって酔っぱらってるの。」

砂漠の娘さん達が眉を顰めてる。

「あの馬鹿亭主のことで悩んでましたからね。」

「ええ、息抜きできて良かったですわ。」


おや、この二人は信頼できそうだ。

アンちゃんも私を見て頷く。

「悪いけど、二人とも来てくれる?多分お泊まりになると思うのよ。二人のお着替えとか、お世話とか、ね?」

「わかりました。用意します。」

「明日まで臨時休業の札を下げましょうね。」


レストランに帰るとキューちゃんとエドワード様がいた。エリーフラワー様が呼んだのか。


「さ、龍太郎君のウロコ入り水でごわすよ。コレで酔いが覚め申す。」 

エドワード様もウロコのカケラをもらって持ち歩いてるのか。龍太郎くんのお気に入りなんだな。

「ダーリン、ありがとう。」

キュー。

「キューちゃんからも事の次第を聞いたでござる。

ちゃんと不貞野郎は弾いていたと。腹が立ちますな。

おお、ビレイーヌちゃんを連れて来られたか。」


そこにショコラさんが来た。

「リンさん、ルイさん、こんにちは。

ビレイーヌちゃんはランちゃん達と遊ばせましょうね。カレーヌ様は酔い潰れて寝てますの。」


「ええ!?」


「二人はカレーヌ様の味方でいいわね?」


メアリアンさんが目を細めて見ている。

悪いオーラが出てないかチェックしてんだな。

怖いというか、便利というか。

そして彼女もウロコ水を飲んでいる。


「臨戦体制ですわよ。私も腹を立ててます。

私の人脈もそこそこありますわ。」

メアリアンさんの目が光る。

「あの馬鹿亭主と鬼婆、そして托卵女を叩き潰しましょう。」


「うん、まずリード様かしら。私とキューちゃんが面会を申し込んだら断れませんわよね。」

エリーフラワー様が指をボキボキと鳴らす。

「いえ、それより王妃様でしょう。レイカさんも一緒にね。」

アンちゃんの発言に、

「それも良いですな。しかし、カレーヌ様のお兄様にも最初に話を通すべきでは。」

と、エドワード様が答える。


「うーん、そうすると、カレーヌ様のご実家に1番出入りされてたのはやはりリード様か。

どちらにしろ、グランディの王宮に行かなくては。離縁をするには王様の許可が必要です。だいたいそもそも、この縁談は。」

アンちゃんが腕を組む。

そう。王様から命じられたものだった。

罰として。それでもカレーヌ様の事を好きな下級貴族から選ばれたのだ。


「うん、リード様の所へ行きましょう。だってリード様はこの国の宰相。カレーヌ様はこの国の民。

それが筋でしょ。それに、リード様からネモさんに伝わるよ。

何しろネモ様は、」

「可哀想な女性に弱い、ですものね。」

私の言葉を受けてニヤリと笑うエリーフラワー様。


そして私達三人娘?とエドワード様とアンちゃん、キューちゃんと揃って、リード様の所へ押しかけた。


いきなり、キューちゃんの光とともに執務室に現れた私達。

「えっ、どうしたんだい?お揃いで何ごとかい?」


輝く美貌の王子様の表情は、驚きに満ちていた。


「リード様!聞いて下さいませ!酷いんですのよ!」

「え、何が酷いのかな。才女殿。

レプトン君、会議室の手配をしたまえ。」


流石に相手が王族でも物おじしないエリーフラワー様だ。リード様も気迫に呑まれて、もう腰が引けている。


そこで眉を顰めて立ち上がられた。

「エドワードはともかく、アンディやメアリアンさんやレイカさんまでいるなんて。

そこそこ大事おおごとなんだね。」


「リード様、ネモ様をお呼びいたしますか?」

「そうだな、レプトン君。

その方がいいかい?キューちゃん。」


キュー、ココーン。


「ん?もう呼んでるそうでごさる。」

廊下にでたら奥からネモさんがこちらへ小走りで向かってきた。


「キューちゃんの怒りが伝わってきてます。

さ、皆様会議室へ。」


そこで一通り説明をした。

1番冷静に話が出来たのはメアリアンさんだ。

エリーフラワー様は怒りで我を忘れてる感じだ。


アンちゃんもかなり怒っている。

二言めには処分していいですか、としか言わない。

エドワード様もキューちゃんが焼くと言ってます、のみだ。

私はアンちゃんのストッパーとして付いてきたようなものだ。沈黙している。


「……なるほど、いや、まったく舐められたものだね。我が父が選んだ縁談に不服があったと。

そして、子爵家の乗っ取りかあ。すごいよね。」


リード様の美しい目が怒りで燃えている。



「それにね?母上考案のジャムクッキーやおみくじクッキーの粗悪品を無許可で販売とね。ネモ公、どう思うかい?」

「色々許せませんな、リード様。

カレーヌ様のスイーツはウチの国の名産でもあります。特に動物園のハシビロコウクッキーの売り上げとか。各種おみくじクッキー。

今は学園オリジナルのクッキーが大人気なんですよ。」

「さて、どうするか。本人は離縁で良いと言っておるのだな。」

「後は賠償金ですか?営業妨害の。」

「それよりも慰謝料と養育費ですわよ。」

エリーフラワー様が口を出す。

この国のトップ2の会話に口を挟めるところが流石っす。


リード様は立ち上がった。

「お家乗っ取りのこともあるし、父上や母上に会わなくては。ローレン子爵家はグランディ王国内だからね。

…ウチの国内ならキューちゃんに焼いてもらって終わりなんだけどねえ。」


えっ。なかなか物騒な発言だぞ。


「私の幼馴染の姫なんだ。蔑ろにされたら腹が立つよ。アンディ、お前もそうだろ?」

「はい。」

アンちゃんが低音の良いお声で返事をした。


「では、一緒に来い。エドワード、白狐様に移動を頼んでくれるかな。」


「はい。頼むね。キューちゃん。」

キュー。

「後ね、悪いけどレイカさんも来てね?」

「アッハイ?」

「アンディと母上のストッパーになってね。」

リード様はにこやかにおっしゃった。


……えええ。荷が重いですう。


「いいえ、皆で参りましょう。リード様。

置いてきぼりにされたら、私荒れますわよ。

ほほほ。」


「あ、うん。才女殿。そうしようね?

だから怒りを収めてね。」


そしてみんなが光に包まれた。

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