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腹が立った。戦をしよう。

 五月の頭だ。

エリーフラワー様とカレーヌ様とのお茶会の日だ。

何だかアンちゃんが難しい顔をしているぞ。

「うーん。メアリアンさんに参加してもらおうかしら。」

「どうして?」

「…最近、色々ウワサを聴くのよ。カレーヌ様の義母とか義実家とかのね。

それでね、エリーフラワー様は激昂型でショ。本当はヴィヴィアンナ様にお出ましいただくのが1番イイんだけど。

そう簡単には来て頂けないお立場よね。

あと、既婚者でカレーヌ様と気安いと言えば、メアリアンさんでしょう。彼女は第三者で冷静に諭してくれそうよ。

独身の人だと、カレーヌ様が独身の貴女にはわからないわ!ってなるワよ。」


妙に女性心理に詳しい。流石、元オネエ。


「…エリーフラワー様が激昂する話なの?」


「うん。俺の予想に自信はないけど、多分、でもね、きっと。」


薬師丸○○子の、探偵物○の歌詞の様な事を言うアンちゃんだ。


その通りだった。


「ゆるせませんわ!そのババア!」

レストランでのお茶会が始まって10分。エリーフラワー様の声が響き渡る。

「エリーフラワー様、押さえて。奥にいるランちゃんとアスカちゃんがお昼寝から起きてしまいますわ。」


メアリアンさんがそっと手を添えて落ち着かせる。

彼女の同席はすぐに認められた。


「ま、まあ。ゴメンなさい。おほほ。」

「そそそ。許せないでしょ。」 


うん。

まず、カレーヌ様の所はそこそこ儲かっている。

彼女は商才があったと思うし、真面目だからだ。

デイジーちゃんのクッキーもだが、王妃様の許可の後すぐに売り出したフォーチュンクッキーは、

動物占い、恋占い、吉凶占いとバラエティーに飛んでいて爆売れだ。

特注にも対応しているとか。

(例えば宴会芸占いとか作ったそうだ。

紙に書かれた芸をさせられるという恐るべきものである。)


そこに義実家が目をつけた。こちらに少し援助しなさい、大変なのだからと。

あれだけ長男に総取りさせて次男のカレーヌ様のご主人を追い出したくせに、だ。


援助と言ってもお姑さんの贅沢に消えるらしい。


「腹立つでしょ。私が一生懸命開発して稼いだものが、何でババアの真珠や珊瑚のブレスやネックレス、ババアの友達とのフルコース代や旅行代に消えなきゃいけないのよ!

百歩譲ってさあ、お義兄さんが病気とか、そんなのならともかく。」


「そうよね。」

そこでカレーヌ様は一気にブラックコーヒーを煽る。

「ああっ!飲みたいわ!飲んでもいい?お茶のお誘いじゃなくてディナーにするべきだったかしら!

今、3時だけどダラダラ夜まで飲みましょう!」


略して生ダラって名前のテレビあったなぁ。


横目でアンちゃんを見ると頷いて消えた。

きっとお酒やお料理の手配をしてくれるのだろう。

エリーフラワー様やメアリアンさんも頷く。


「とことん付き合いますわ。家に連絡を入れたいのだけど。」

「エリーフラワー様。私からあちらの忍びに伝えますよ。」

「ありがとう、ショコラさん。」

「私も付き合いますわ、カレーヌ様。」

「あ、ありがとう。うう。エリーフラワー様にメアリアンさん。持つべきものは友達ねっ。」


ぐずぐずと泣き始めるカレーヌ様。

ハンカチを握り締める姿も流石に可愛いらしい。

可憐な美女がポロポロと涙を落とす様は見てるこちらの胸も締め付けるのだ。

多少、口は悪いけど。

「あのね。あのババアはブルーウォーターには入れないの。松子ちゃん人形に弾かれるの。何度も何度も挑戦したけど無理だったって。」


「うん。やはりタカリ屋さんは入れないのね、良かったじゃない。」

「だからね、旦那を呼び出すの。それでお金を持って来させるの。」

「……。」

「馬鹿よね、自分の事を軽んじてきた親なのに。親孝行しなきゃって。

呼びだされたら、いそいそと出かけるの!

それで上げ膳据え膳が嬉しいらしくて、一度出たらなかなか帰ってこないわけ。ここ一年ずっとそうなの。こっちとあっちを行ったりきたり。

そしてね、私の悪口をたんまりと吹き込まれてるのよ。ふん!」


「そういえば、ご主人。最近納品に来なくなったな、お見かけしないな、とは思ってたけど。」


俗にいう愛玩子と搾取子というやつが。

頼られて弾けちゃったんだね、旦那さん。


「ね、あっちでチヤホヤされて、遊んでるの。ギャンブルも覚えたらしいのよ。馬鹿みたい。そしてお金をジャブジャブ使うわけ。」

「えっ!!」

「というか、ババアのアニキ、一応伯父になるのかな?ソイツにカードとかのイカサマで取り上げてられてるのよ。私の稼いだ金が、あのババア一族にっ!

きいいいいいいいいいいっ!」

「聞いてるこっちも腹が立つわ!血圧あがるわ!」

エリーフラワー様の怒りも再びだ。


「もうさ、言っちゃうけど。エリーフラワー様。

いい弁護士とか知らない?

あの旦那、要らないわ。あのババア共々縁を切る。」


「ええっ!それはちょっと早計では?」

立ち上がりそうになる私を抑えるかのように、

「さ、カレーヌ様、コチラを。」

アンちゃんがワインを持ってきた。

まずは前菜か。

チーズの盛り合わせ、スモークサーモン。

「料理はこちらでやるから。レイカちゃんはお話していて。カレーヌ様。ビールや日本酒もありますよ。」


「ありがとう、アンディ。じゃあ、ビールとソーセージを!ポテトフライも付けてね!」

「はい、喜んで。」

いきなり居酒屋のようになってきたぞ、おい。


「なるほどね。わかったわ。私の予想通りだとすると最悪ね。」

エリーフラワー様には何かわかったのか?

これだけで?


「私も納得いきましたわ。」

メアリアンさん?


「でもね、私の見立てではその子は旦那様の子ではありませんでしたわよ。男の子には違いなかったけども。」


と言うメアリアンさんの言葉に合点がいったという表情をして、頷くエリーフラワー様。


「あ、そう。ではメアリアンさんに占いを頼んだのね、事態はそこまで進んでいたか。

それで男だとわかったから産ませたのね?」



……は、はあああああ?

ついていけないのはワタシだけなの?


「―ふん、あの種まき小僧が。思ったより種ナシか。」

カレーヌ様。地を這うような声で何を言ってるの?

種まき小僧って、、


昔、火野正○がそう呼ばれていたなあ。


…シャリ、シャリ。

うん、何この音?


あああっ、アンちゃんが無表情な顔でナイフを研いでる!

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― 新着の感想 ―
頷くエリーフラワー様。 ↑ この直前の台詞を言ったのはエリフラワー様だと思うのですが、台詞をいいながらウンウンと頷きながら言ったっていう解釈であっていますか? もしエリフラワー様の台詞に相づちをうった…
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