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続 グランディ王国物語  作者: 雷鳥文庫


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256/288

愛よ消えないで欲しい。ずっと探してたのかも貴方を。コレが最後のフォーリンラブかも。

 その後メリイさんが龍太郎君と現れた。

「お兄様!こちらにいらしたんですのね!」

「ゴメン、レプトンサン!ちょっと煽り過ぎタネ。

あの激しいお嬢サンを。」


「龍太郎君、勘弁してくれよ。昨夜さ、自宅で寝ようとしてたらコンコンココココン!とドアを叩かれてさ〜、

開けてくださあーい。中に入れて下さーい。

お話しましょう!!って言われたんだぞ!」


「えええっ!ごめんなさい、昨日は夜で眠くて、話半分にしか聞いてませんでしたわ!

彼女のアタックはいつもの事と思ってまして。」


メリイさんが引いている。


「お、俺は寝たふりをして、布団を被って震えるしかなかった!」

「レプトンさん、そんな時はつるかめつるかめと唱えると良いですよ。」


こら、ランド兄さん何を真顔で教えてるのよ。


「いや、くわばらくわばらダヨ、レプトンサン。」


「もう。龍太郎も何言ってるのよ。」

呆れるメリイさん。


「次は、そうします。

じゃなくて!もうあんな思いはゴメンです。

知らんぷりしてたら、クノイチ?が来て何やってるんですか?おトイレに行くんじゃなかったんですか?って。

間違えたんですうー。というあの女をハイハイ。って言って連れてってくれたんだ。」


「ああ、ミッドランド家にいるのはルシアですね。アイツがお助け出来て良かった。」

アンちゃんが頷く。

「もう少しでレプトンさんのお部屋に放尿される所だったでごわすか!?」


エドワード様、それ違う。


「……それで、速攻で身支度して飛び出しました。雨の中を。五里霧中で駆け出して。気が付いたらエリーフラワー研究所の寮に来ていたのです。うう、怖かった。

ここを開けて〜って言う女の声。こないだのバーバラの声を思い出したんです、父の名を呼んだあの声をっ!!

わ、私はやはり彼女は無理です。生理的に。恐怖が先に立ってしまいます!」


ええ、、可哀想。両方とも。

「昨日は濡れ鼠だったレプトンさんを風呂にイレテ、

服をパイセンと俺が乾カシテ、寝せるだけで大変だったモンな。」


「ウチは警備が厳重ですからな、普通は部外者は入れませんから安心なんでごわす。

だけど彼女は保護対象ですし、寮に入ってますからなあ。

帰ってきたら入れないわけにはいけませんしなあ。」

エドワード様は腕組みをする。

「エリーフラワー研究所は逃亡先には向かなかったワね。」


「ゴメンね。レプトンサン。」

龍太郎君がしょげている。

「彼女、悪人じゃ無いカラサ、お似合いカト思ッタンダヨ。」


うん、多分、二人はロマンチストと言う点では同じなのだ。

ロマンチック下さい、は一条ゆか○先生の漫画で、

ロマンティックあげるよ、はドラゴン〇〇ルのエンディングだったな。


「乙女チックなトコロが似てタンダヨ。」

龍太郎君、それは陸奥○子先生。そして懐かしい。


「ううっ。もう限界です。」

シクシク泣いているレプトンさん。


「うーーん。」

アンちゃんが額に手をやって古○任三郎のポーズを取っているよ。

「レプトンさん、この後は公宮の寮にお入りなさい。何、仕事が忙しくなったと言えば宜しい。

最近、高官用の部屋が出来たと聞いています。

貴方はご自宅というかお母様達とご一緒だったからお声がかからなかったんでしょう。」


ほっとした顔になるレプトンさん。

「荷物はウチの若いもんに運ばせましょう。

シンゴ、オマエが手配しろ。何人か連れて行け。」

「はっ。」

「た、助かりますーっ。」

「とりあえずあちらの準備が整うまで二、三日はコチラにいらっしゃい。お仕事の時は護衛付きで送り迎えをしましょう。」

「リード様とネモ様には拙者が話すでごわす。

キューちゃん、運んでくれるかな?」


キュー。


「では、私も参ります。今日のお仕事もありますし。」


キューちゃんに連れられて二人は消えた。


「お兄様。追い詰められていたわね。エメリンにはちゃんと釘をささないと。」

「オウ、ソウダナ。気の毒シチャッタな。」

「このまま距離を取れば執着も薄まるかしら。」

「レイカちゃん、それはどうかな?あのバーバラの家系だぜ。」


彼女は恋に恋してるようだ。

ずっとレプトンさんが好きだったのだろうが、それは彼女が恋しているイメージの彼なのだろう。実際の彼とは違うとのではないのだろうか。

本当の彼を知ったら幻滅しないか。例えば口汚く罵られるとかね。


「ねえ、メリイさん。レプトンさんは彼女にその気は無いって言ったんでしょ。」

「ええ、ですけどお兄様は振られたからまだチャンスありと思ったみたいで。あのパワーとバイタリティは羨ましいですわ。」

「押して押して、アターックNo.1!ナンダカラナ。」


アンちゃんが難しい顔をする。

「彼女は才能があるし、レプトンさんには相手がいない。上手くまとまってくれれば良いな、とまわりが思ってたんだろ。多分ミッドランド氏とか、きっとリード様もな。」


えっ。


「いやなに。エメリンことフィフィ・ヤーン先生の授業の評判はすごくいい。

もちろん、彼女の詩集や小説も売れている。ネモさんも、リード様も他所には出したくないのさ。」

なるほどねえ。


「でも、キューちゃん付きのエドワードの説得だ。

きっと公宮の奥深くで警備の厳しい部屋に住まわせて貰えるだろうよ。シロヘビ軍団が守っているところさ。時々虎子ちゃんもいるんだ。」

それなら安心だね!


「まあ、離れて落ち着いてくれたら良いけどね。」

「そうですわね、アンディ様。兄から交換日記を預かりましたの。エメリンに返しますわ。」


ま!ここにあるの?交換日記が!


「えっと、少し見せて貰うわけには。彼女の詩のファンなので。」

「レイカちゃん?そうなの?」

「そうよお、アンちゃん、癖になるのよ。」

気がつくとハニハニ、ハニーとか、クルクルやってクルわ!とかを口ずさんでしまう私。


「あ、わかります。妙に頭の中でリピートしますよね。

兄の部分は本当に業務連絡なので構わないでしょう。」


どれどれ。

【四月〇〇日 風強し。他には特になし。】

なるほどねえ。学級日誌みたいな書き込みがレプトンさんか。

次がエメリンだな。おお、いきなりのポエムじゃないか。


【風、風が吹いている。

ここにも、そこにも、山の上にも。

私と貴方の間にも。

ゴ、ゴ、ゴゴゴー。ピューピュピュピュー。


貴方の髪を揺らします。

ピューッ  サララン。

貴方の上着をひるがえす。

ピューピューッ バウンバウン。


おお、私も風になって貴方にまとわりつきたい。

触りまくりたい。

眉間のシワに入り込んで伸ばしてあげたい。


風にはホコリと花粉がつきものよ。

家に入る前に叩くのが肝心よ。

パタパタパターン。ばんばばん。


私も風に乗って貴方の所へ飛んで行くわ。

ピューピュー、フライフライフラーイ。


スカートの裾がはためいてる。

きゃっ、いやーん。】


うわあ。ここまででも、キラーワードやパワーワードの宝庫である。

思わずリピートしそうだ。フライフライフラーイ。


「スゲエな。きゃっ、いやんダゼ。

それにレプトンサンは花粉症ナノカ?上着は玄関で叩カナイとなア。」

「龍太郎、花粉症ではないと思うわ。」

「眉間のシワを伸ばす風力なんて。逆にかまいたちみたいにパッカリ切れませんか。」


「くく、ははっ!シンゴ、レプトンさんはいつもエメリンを見るときは眉間にシワを寄せてるんだな!

王妃様がお喜びになるワよ。このノート。」

アンちゃんは大笑いだ。


さて、次の日はどうか。

【四月〇×日。快晴】とだけ書いてある。

レプトンさんやる気なし。


エメリンことフィフィ先生はどうかな。

【快晴ですか。

晴れているのに私のこころは雨風なの。

避難指示が出ているの。

つれない貴方。恋を釣る気はないの。

生けすの中で泳ぐ鯉のように。

私は貴方に、まないたの上のコイ(恋)


恋、鯉、こっちに来ーい。


テグスで手ぐすね引いてるわ。


ああ、いつ私の心は晴れるのかしら。

かい、快、からっと快晴なのに。

ハートは今、奇怪きかい皆既日食かいきにっしょくよ。

真っ暗なのよ。】


こいこい来いに、かいかい奇怪の皆既日食か。

なるほどねえ。いなあ。


「仕事終わりの疲れた時間に、この文章はキツいっすね。ぐったり脱力しそうです。」

シンゴ君は眉をひそめる。


いやあ、良い。このキテレツさ。癖になる。


後は例のタヌキの謎かけ文。

それに回文もあるじゃないか。やるね、盛りだくさんだ。



さて。満開のツツジが枯れたころ。

エメリンさんは落ち着いてきたようだ。

なんと新作の詩集を出したのである。


【君に届け フィフィ・ヤーン】

と書かれたそれには、失恋のポエムがびっしりと綴られていた。


中を読んで見たが、胸が詰まるような悲恋の詩だ。


笑いの要素が全くない、切ない詩の数々に彼女の思いが昇華していったのを感じたのだった。





《ただ、あなたが幸せであるように。

私のいのりはただ、それだけ。

あなたの笑顔が曇らないように。

誰もあなたを傷つけないように。


私は風となりあなたの側を歩こう。

私は降り注ぐ陽のひかりになって、あなたを暖めよう。


あなたを苦しめるものから守りたい。

あなたの微笑みだけが 私の願い。


風となってあなたの汗を乾かそう。

月のひかりとなってあなたを照らそう。

いのりはあなたを守る盾となるだろう。


ずっと ああ ずっと

あなたの笑顔だけが 

あなたの幸せだけが私の願い。》


この冒頭の詩はこの後、王妃様主導で曲がつけられ、歌となった。


リード様が年末披露され、その表現力でみんなの心を揺さぶった。会場中が涙と感動に包まれたのだ。


そしてこの歌が結婚式の定番ソングとなるのだが、この時点ではみんな知るよしも無かった。

シティハンターのオープニング愛よ消えないで。です。


君に届けは原作をちらっと読んだくらいです。

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― 新着の感想 ―
オフコースは知っていますが、こちらは・・・ 君に届けも。 作者様の層の広さに感心。 「フライフライフラーイ」ではチューリップを思い出しました。 シングルではないし、ちょっと辛い歌詞ですが、時々口をつい…
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