泣かないで。今よりもマシな優しさに会えるかもね。
誤字報告ありがとうございます。
もちろん、龍太郎君もメリイさんも驚いている、
驚いてはいるが、
「ヨウ、シンゴオメデトウ。良かったジャねえか。」
龍太郎君はシンゴ君の周りを飛んで肩に乗った。
「龍太郎。祝福してくれるのか?」
「アタボウヨ、テヤンデイとくらぁ。オマエ達が思いアッテルのは側から見たらワカッテタンダ。
ただ、オマエが告らずにグランディに行ったカラ、
レプトンサンにもチャンスアリかなと思ってたんでい。本当にヨカッタじゃネエカ、ナ?」
江戸言葉で巻くしたてながらもお祝いを言う龍太郎君。
「……神龍様。あんまりですよ。」
肩を落とすレプトンさん。
「アノサ、レプトンサン。アンタ詰めガ甘いンダヨ。アンナ女、放ってオケバ良カッタのさ。」
今度はレプトンさんの肩に乗って慰める。
「ううう。ラーラさんと、仲良くなってきたと。随分慣れてきてくれてたと思ったのに。」
「レプトンさん、元気だして。」
ランド兄さんが声をかける。
「ありがとうございます、ランドさん。うう。
せっかくコレから交換日記をして、交流を深めようと思っていたのに。」
ぷくっ。
アンちゃんが吹き出すのを堪えている。
「交換日記…。」
シンゴ君も遠い目をしている。
「シンゴ君!」
「あ、は、はいいいっ??!」
「私は!キミがラーラさんを好きなのは感じ取っていたよ!
だ、だけどさ、みんなで遊ぶのは楽しかったよね!?河原行ったりね?砂金掬ったりね?」
「あ、はい。そうっすね。」
シンゴ君はタジタジだ。
「君に!君に、これをあげる!是非使ってくれたまえっ!ううううっ。」
レプトンさんは日記帳を上着の内ポケットから出した。
ええー、そんな嵩張るものを持ち歩いているんだ。
「え、あの?これを?…う、うわあ、温かい。」
「ウン。最近持ち歩いていたから。ラーラさんに会ったら渡そうと思って。」
懐であたためていたのか。
木下藤吉郎もびっくりである。
く、はっ。
アンちゃん、堪えなよ。肩が波打っているよ。
「アー、ソウカ。ケンカの時、少○ジャ○プを腹に仕込ンデ行くようなモノだな!!」
龍太郎君はメリイさんの肩に乗った。
「龍太郎、それちょっと違うかも。」
メリイさんの冷静なツッコミだ。
ウチもそう思うばい。
「ご、ごほん!良かったなっ、シンゴ。有り難くもらっとけ。」
笑い声を咳払いで誤魔化すアンちゃん。
「アリガトウゴザイマス。使ウコトヲ、前向キニ検討イタシマス。」
棒読みでお礼を言うシンゴ君。
「レプトンさん。貴方女性に慣れてらっしゃらないのね。ご相談には乗りましてよ。
私の所には人生相談に来る人も多いのですわ。」
メアリアンさんが声をかける。
「そうだね、シンゴとラーラは出会った時から、素だった。初対面で怒鳴りあってたからね。その遠慮がない関係が良かったんだよ。ラーラみたいな子にはね。
でもま、キミとの大自然の中でのお出かけは、少しずつあの子の心をほぐしていた。タイミングなんだよね。」
アンちゃんが慰める。
「…はい。」
「レプトンサン、背中に乗せてヤルヨ、グランディまで送ってヤルカラ。空の散歩をスレバ、気が晴れるヨ。」
「あ、ありがとう。龍太郎君。」
「ジャア、メリイと二人乗りだな。メリイはエリーフラワー研究所デ、オロスネ。」
「うん。」
「ケケケ。俺が姿を現シタラ、グランディのミンナ驚くダロウナ。
ソレニ、今度は要人の前で飛んでクレタマエ、と、ネモサンに頼マレテルノサ。」
大変だなあ。各国への牽制と観光のPRね。
龍太郎君は新年のカウントダウンの時も、観光客に見せる為に頼まれて、飛んだって言うものね。
龍太郎君は大きくなり、二人を乗せて飛んで行った。
「はっはははははは!」
アンちゃん笑い過ぎ。
「こ、交換日記ってさ。レプトン君は乙女なんだな。くくく。」
「綺麗な心の人なんですね。」
シンゴ君が遠い目をする。
「あんなにメリイさんにそっくりの綺麗な顔をしているし、性格も良いのに。女の人と付き合ったことないのね。」
メアリアンさんがしみじみと言う。
「まあなア、シスコンだったな。双子だっけ。ずっと一緒にいたんだからな。」
「マーズさんはぐいぐい行き過ぎ。レプトンさんは行かな過ぎだと思うのよ。」
「そうだね、レイカ。誰かいい人いないかなあ。」
「そう言うランド兄さんこそ、心あたりない?」
「うーん。あの激しいエメラーダさんは?」
「それは無理じゃないの?バーバラに似てるからトラウマになるかもね。さっきの体験でさ。」
あ、そうだ。提案しとくか。
「ところで、アンちゃん、ランド兄さん。
ツッチーに仲間を紹介してもらって?
シンゴ君につけましょう。これから妻帯するなら安心、安全第一!」
「え?ええ?」
「あー、アタシよりランドちゃんの方がいいわよ。
懐つき方が違うもの。」
「ラ、ランドちゃんですか?――良いですけども。
ツッチー、ホラ、フルーツをあげるよ、朝どれのイチゴだよ。でね、お友達を紹介してくれないか?」
パクリ。
ピカピカ!
(ピ○チュウではない。)
ランド兄さんがイチゴをあげるとツッチーが点滅し始めた。レインボーカラーだ。
ん?ドアの色が変わったぞ!
「まさか!擬態していたの?」
知らないうちに潜んでいたなんて!
恐ろしい子!
ドアから剥がれて、ぴょんぴょんとツチノコが跳ねてくる。
それから、
ぺたし。
シンゴ君の背中にくっついた。
「うわああ?…え?あったけええ!!」
「コレで背中を刺されても安心だワ。」
頷くアンちゃん。
「ありがとうございます……。刺されるの前提は嫌ですけど。」
複雑な顔のシンゴ君だ。
「ま、結婚してもラーラはここでウチの手伝いをしてもらえば良いワね。
シンゴ、アンタは任務の度に単身赴任なさいな。」
「アンディ様!気が早い!でも、ここで守ってもらえば安心っすね。」
シンゴ君は照れながら笑った。
ちなみにグローリー家とダルカン家の悲劇は、
「恐怖!妖女の髪の怨念!」
として王妃様が漫画化された。
【この本はお祓い済みです】
のキャッチコピーもあり、めちゃくちゃ売れたそうだ。
館ひろしさんの泣かないで。ですね。




