ぬすっとたけだけしいとは、このことよ。
それから。
アメリアナ様は大人しくなった。
毎日お祓いに忙しいらしい。
それにあの絵本の破れた部分を探してるようだ。
私とアンちゃんは王妃様に呼ばれている。
「古本市場で拙作の絵本がオークションで高値で取引きされているんですって!!」
「だけどネ、肝心の部分がどれも切り取られてるらしいわヨ。」
おほほ。うふふ。
王妃様とアンちゃんが顔を見合わせて笑う。
怖いよう。
「アメリアナ様は本格的に療養されるみたいね。
とてもじゃないけど、王太子妃はつとまらないわ。ひとを呪わば穴ふたつね。」
「閻魔○いですか。」
「うーんそうね。あんまりアランとエラさんを妨害するようだったら、
コレも送りつけようかと思っていたのよ。
ホラ。」
「恐怖○聞!王妃様の手描きですかっ!」
ところどころがインクが垂れて読めなくなっている所がまた怖い。
「読むたびーにーい♩いのーちーがあー100日ちーぢーむーうーー♫」
♪あれは、ラジオドラマのテーマソングっ!おーぼえーてーるー。♪
王妃様の歌、あまりの恐怖に私の中のラウルが出てきた。日吉ミミさんだっけかな。
あの歌とっても怖かったのよ。
「以前も行ったけど、アランの婚儀を早めるわ。
ナニ、こっちにきて更に仲が深まった、といえば宜しい。」
「まだお子がおできになったとは聞いておりませんが。」
ああ、さらに仲が深まったと言うのはそういうほのめかしかあ。
「おほほほほ。エリーフラワーさんのとこにいるからそんな事はないけどね?」
「一応今建てられた離宮にいらっしゃるということになってますから。」
元々、アラン様とメアリアナ様の為に建てられていたはずだけどね。この程完成していたのだ。
「エラ姫をここへ。エリーフラワーさんも一緒にね。」
「およびでしょうか。」
エリーフラワー様に連れられてエラ姫がいらした。
「エリーフラワーさんの所はどう?」
「はい、良くして頂いてます。特にうどんが美味しいです。」
「そうよね、貴女の国のお料理はバターソースたっぷりだもの。若いうちはいいけど、胃が疲れるの。
エラ姫。うどんを教えてくれたのはここにいるレイカさんなのよ。
紹介するわね、私の側近と言っても過言ではないわ
。レイカ・ハイバルク子爵夫人よ。
そしてその隣が夫のアンディ・ハイバルク子爵。」
「宜しくお願いします。」
「私とは面識はございますよね?アラン様にお仕えしております。」
「はい、あの、オネエ様ではなかったのですか、、、。」
苦笑するアンちゃん。
「エラ様。レイカ様は私の大事なお友達ですのよ、
私の発明品のアイディアも出してもらってるのですわ!」
エリーフラワー様、ありがとうございます。
「エラ姫、王家の秘宝のエメラルド。グリーンアイが戻ってきたわ。正式にそなたに譲渡します。
これは正当な所有者以外の手に落ちると、そのものの命を吸い取るものであります。
その神秘の力はそなたを守ってくれるでしょう。」
「あ、ありがたき幸せ。」
嘘も突き通せば本当になるっていうよね。
グリーンアイというのか。どこかのスーパーのオーガニック食品みたいだな。
「新居も完成したみたいだし。婚儀の準備を進めましょう。」
そこにアラン様が現れた。
「アラン、それでいいわね?」
「そうですね。向こうの国から今、書簡が届きましたよ。」
それには。王家の宝石を返したからお祓いをしてくれ。そんな呪われた国には可愛いアメリアナは嫁がせない。と、書かれていた。