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続 グランディ王国物語  作者: 雷鳥文庫


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237/288

第三の男が帰ってきたぜ。いきなり三すくみかな。

誤字報告ありがとうございます

 バリリリッ。

アンちゃんがいきなりそのカツラをひん剥いた。

乱暴だなあ。

「え。何を。」

おお、その下にはサラシを巻いてある。

それにピンで取り付けてたんだな。

舞台俳優のメイク途中みたいだよ、目鼻立ちクッキリだしね。

「な、何を!アンディ様っ。ひどいっ。」

涙目になっているハイド君。

布を取り外していく。

「メアリアンさん、コレで間違いないか?

これがこの、エメラーダ嬢の髪なんだな?」

カツラを差し出す。

「えっ。」

ハイド君が目を丸くする。

「ま!私の髪が、即、カツラになってたのですの!

で、この美丈夫がつけていたと。やん、エッチ♡」

何がエッチなのか。ハイド君へのダメージが半端ないぞ。


メアリアンさんが頷く。

「ええ!今、コレにバーバラの魂が吸い込まれて行くのが見えましたわ!呪いの?いえ情念が籠ったカツラになりましたわ!」

うえええっ。絶対被りたく無いわ。こんな物。

「そしてコレを、レプトンさん。お父上に届けて下さいませ!」 


「え、ええっ。私がですか?」


レプトンさんは腰がひけている。

気持ちはわかる。触りたくないもん。

「ええ、貴方でなければお父上には近づけませんわ。それにそのカツラはグローリー家の血縁の人間を求めてますの。」

「えええっ、呪われませんか?」

メアリアンさんはすっと手をかざす。

「これで少しは大人しくなる筈です!さ、早く!」


「ううう。」

レプトンさんは涙目で受けとる。アンちゃんがトートバックを渡す。

「まあ、せめてこちらに入れてお持ちくださいな。コレあげるワよ。」


トートバックには可愛い猫ちゃんがプリントしてある。

猫カフェの人気商品なのだ。モデルはタマちゃんです。


「エメラーダさん。」

「は、はい?占い師様。」

「血縁の貴女からチカラをもらう事によって、このバーバラの魂は滅びずにいました。

死後何年もゼルド氏への未練でフラフラしていて、貴女が生まれた瞬間に取り憑いたらしいのです。」


エメリンさんは頭を左右に振って混乱している。


「えええ!何故、ロージイさんのところへ行かなかったのでしょうか!直系だったし、あっちが似てるでしょうに!」

「ロージイさんの意識と生きるチカラが強くて、跳ね飛ばされたそうなんですわ。」


「がーん。霊にまでなめられてるう!ハチミツじゃ無いのよお!」


いや…貴女、素なのね、素でそのセンスなのね。

がーんって言う人初めてみた。

やはり、厨二病というか……若者特有の表現をするお年頃なのね…。


「じゃアさ、レプトン君。行ってらっしゃいヨ。リード様には、こちらから連絡しとくワね?

ねえ、龍の字。君が連れてってくれる?」

ほほう!アンちゃん、まとめにはいったな。


「アンディサン。レプトンサンを乗せるのは構ワナイケドサ。俺、グローリーのオヤジに会ッタラ焼イチャウカモネ。」


そこでチラリとレプトンさんを見て、

「メリイ怒るカナ?父親ヲ焼いタラ。デモサ、若い女に懸想シテ、囲オウトシタリ、ホテル潰そうとシタリ、王宮で悪口トカ撒イタンダロ?許せネエヨ。

ダカラ、運ぶのは白狐のダンナに頼ンデミルよ。

俺ナラ問答無用で焼いチャウカラ。」


「あー、キューちゃんに運んでもらうのか。それでも良いけどね。」

「待って!聖龍様。まだラーラさんに会ってない!ここには誤解を解きに来たんだ!

ラーラさん!いますか!?会いたいんです!」


レプトンさんが奥に向かって叫ぶ。


アンちゃんは横を向き、マーズさんは目をむいた。


そして、エメリンさんも声を張り上げる。

「最近、私と親しくしてらっしゃるから拗ねてらっしゃるのでしょう?

だから私も同伴して誤解を解きに来ましたの!

全然、付き合ってませんから!」


くくっ。

笑ったのはアンちゃんだ。

ふふっ。

ショコラさんも苦笑した。


「あの日と逆だな。」「まったくですね。」


アンちゃんは真顔になった。

「レプトン君。ひとつ忠告するよ。いや、聞いておく。

前回、キミはラーラに関係ない人は巻き込めないから来るな。と言ったよね?

では何故、今回はこの人を連れて来たんだい?」

「え?」

「リード様がラーラに付いて行かなくて良いのかい?とお聞きになったよね?

王妃様も、ラーラを恋人だと、すぐにエメラーダさんに紹介すれば良かったのにとおっしゃっていた。

―そしたらこんなに拗れてないよね?

わかってる?キミ。状況凄く悪いんだよ。」


レプトンさんは青くなった。

「そんなつもりでは。」


「でも私は、蚊帳の外に置かれたと思ったの。」

ラーラさんが奥から出てきた。


「ラーラさん!」

「手紙ひとつくれなくて。」

「それは!偽ポストに騙されて!」

「会いにも来ないし。」

「申し訳ありません!」

「そしてこの人を連れてきた。どうして?」

「え……。」

うん、不満はぶつけたらいいと思う。


「それは、お仕事からグローリー家に帰ってきた

レプトンさんを私が待ち構えていたからですわ…。」

エメリンさんが震える声で言う。

目玉模様の耳飾りが揺れる。

うん?今回は本物の目玉焼きを模した食品サンプルか?

エリーフラワー様、作るときに攻めすぎだと思わなかったですか?


「待ち構えていたんですか。凄い情熱ですね。」

ラーラさんがポツリと言う。


「仕事の関係でグローリー家に来た彼女を、連日メリイの部屋まで送り届けたら深夜になりまして。

それからはとても、ラーラさんのところに行く時間では。」


アンちゃんは何度も夜中に会いに来たけどね。

まあそれはプレ婚約者だったからか。


「レプトンは、フラフラダッタヨ。メリイモ心配シテイタノサ。」


ハイドさんも言う。

「疲れきったレプトンさんをオレの部屋に泊める事もありましたよ。」


そうか。忍びと体力は違うよね。一般人のレプトンさんは。すまんすまん。比べてはいけない。


「どうせ、同じ敷地内のハイドさんのお部屋に泊まるのなら、ご一緒にお茶や食事をと。

まさか、心に思う人がいるとは知らずに。

ごめんなさい!」


「メリイに怒られたんです。あまりにラーラさんをほっといてると。

メリイは龍太郎君と一緒にリード様の所へ乗り込んで、今日の休みをもぎ取ってくれました。

リード様はまだ拗れていたのか、すまないと。

…この事だったんですか?」


そうです。この事です。


「こほん。ところでね、ラーラ嬢は私の遠縁なんだ。わかってるよね?」


あら。マーズさん?何を言いたいの。


「レプトンさん。キミは忙しいのだろう?コレからグランディにも行くのだし。ラーラ嬢の気晴らしには私が付き合おう。

とりあえず今度のサーカスとかね?」

「え、何ですか、それ。」

レプトンさんが眉をひそめる。

「…大体貴方は、うちのメリイのことが。」

マーズさんはハイド君をチラリと見る。

「いつまでも、婚約者がいる人を追いかけたりしないよ。」


あたりに漂う冷たい雰囲気。


「なあ、ハイド。これ、どうやって収める?」

「知りませんよ!アンディ様!それより頭がスースーしますっ!」

「早くパイセン来ないカナ。レプトンサンを連れてイッテ欲しいナ。」

龍太郎君がため息をつく。


からり。


遠慮がちに猫カフェのドアが開いた。


みんなが一斉にそっちを見る。




え?



「あの。お久しぶりです。どうも。

皆様お揃いで何ごとですか?

実は昨日、王妃さまのフォーチュンクッキーでのドキドキ人事異動がありまして。

私が食べたクッキーにはこの紙が。」


【配属先 ブルー・ウォーター公国】


と赤字で書かれたおみくじをもって佇むのは。


「シンゴ!」

「シンゴさん!」

「シンゴじゃないのっ!」

「……シ、シンゴ!!」

(上から順に、アンちゃん、私、ショコラさん、

ラーラさんだよ。)



「はい?私はシンゴです。」

 




楳図か○○先生の漫画のタイトルみたいな事を言って、にこやかに笑っているシンゴ君なのだった。






やっとフォーチュンクッキーの人事異動の伏線を回収しました。


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