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続 グランディ王国物語  作者: 雷鳥文庫


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235/288

朝はどこからくるかしら。光を越えて、トラブルと共にやってくる。

誤字報告ありがとうございます

 その夜。

「ねえ、アンちゃん。マーズさんはラーラさんを気に入ってたよね?」

「あア、そうだな。良いんじゃないか?レプトンの野郎が放置するのが悪いのさ。

ただ、マーズさんはラーラの見かけを気にいっただけだろ。メリイさんタイプだもんな。

こう言うのは周りが突くとロクなことにならないからな。」


そのまま、スヤァ。と寝てしまった。


 次の日。三月十四日。

朝の十時。猫カフェの猫がニャーニャー、騒ぎ出した。

「おはようございます!」

「あれ?マーズさん?」

そこにはマーズさんが猫カフェ中の猫にスリスリニャーニャーと懐かれて猫まみれになっていた。


「アンディ様!UMAのローテーションなんですけどね、兄さんがモスマンも混ぜたらどうか?と。」

マーズさんが書類を持ってきた。

「打ち合わせのお時間ありますか?あと、サインを頂く書類も溜まっていて。」

「あー、すみません。わざわざ持って来ていただいて。」

アンちゃんは頭を掻いた。

「ちょっとね、㊙︎の書類もありますから。昨日サイン漏れがありまして。三月締めもあるので、すみません急ぎなので押しかけてしまいました。」

「ヤダ、本当にごめんなさいネ。」

アンディちゃんが手で顔を覆った。


「良いんですよ!最近お忙しかったんでしょ。

フィジーさんかな?彼女のことも兄から聞きました。

さて、ああ、猫ちゃんに書類をイタズラされるな。

隣りの事務所に行きますか?」


事務所の窓からランディ兄さんとメアリアンさんが顔を出す。

今日は占いの仕事がなくて、事務所で事務仕事をしてるんだな。

「あら、奥のレストラン部分へどうぞ。

事務所も取り散らかしておりますから。」


「モスマンはマーズさんの言うことを聞くんですか?」

「ええ大丈夫です。それに最近は他のUMAも動物達も更に言うことを聞いてくれるようになりました。ひとつですが歳を取ってチカラがついたんですかね。

はは。あとはアンディ様の筋トレのおかげで迫力もついたのかも。」

「ヤダ。褒めても何もでないわよ。」

「それでですね、UMAのローテなんですが…。」

ふんふん。私も後でミノちゃんに頼まないとな。

「後、こちらにサインを。」

「はい、はいっと。」


「あ、いけない。お茶もお出ししなくて。

何にしますか?」


「コーヒーをお願いします。」

アンちゃんが奥に目配せをしたので、ラーラさんがコーヒーをもって来た。

「これは!ラーラさん!」

ぱあっとマーズさんの表情が明るくなる。

やはり半分は彼女目当てで、来たんだな。

「昨日は色々案内していただいてありがとうございました。」

「いいえ!親戚役としては当然ですよ。私もこんな可愛い妹分ができて嬉しいですね!

こちらで、ずっと働いているのですか?」

「あー、ネモさんから聞いてるでしょ。あまり外での仕事はね。とりあえずしばらくは。」

アンちゃんが説明した。

そこでマーズさんの表情が曇った。


「……それは、ご苦労をされましたよね。ええ、兄から聞いておりますよ。」


そうだった!ブルーウォーターの血筋は可哀想な女性に弱かったなあ!

でもさ、ここは駆け込み寺というかシェルターがあるから、可哀想な女性は多いよね。

というかここの世界はまだまだ女性の地位が低いよ。


と、世の無情について考えていたら、ショコラさんが顔を出した。

「マーズ様。イリヤはサーカスで元気にやってますでしょうか?」

「ああ、ショコラさん。はい、もう花形スターですよ。空中ブランコも評判で。

相方はギガントから流れてきた軽業師なんですけどね、彼と良い感じになってます。」

「それは良かったです。」


そこで、マーズさんは思いついた!と言う顔をした。

「そうだ、ラーラさん。サーカスは見たことはおありで?」

「いいえ、ありませんけど。」

「では、ショコラさんと是非観にいらっしゃい。

御招待しますよ、今度兄さんがやる特別公演があるのですよ。はい、どうぞ。」


ペラリとチケットを四枚出す。


「ま、まあ!これはプラチナチケットじゃないの!こんないい席!」

目を見開くアンちゃん。

「あとはアンディ様とレイカさんの分ですよ。」

「ラーラさん、是非行きましょう。

ブルーウォーターの人が出る回はレアなのよ。

しかもネモさんが。一見の価値ありなの。見たくても券はなかなか取れなくってよ!」

「レイカちゃん、食いつくワね。」

アンちゃんが苦笑した。

「レイカさんがそう言うなら。」

ラーラさんは頷いた。

「ええ!すごい回ですごい席ですよ!私もイリヤに会いたいし。」

ショコラさんも目を輝かせている。


「悔しいですが、兄さんと私らとは動物の反応が雲泥の差なんですよ。」

マーズさんは微笑む。

「それでもネ、ブルーウォーター兄弟が出ると出ないでは大違いヨね。」


「ところでなんで特別公演なの?」

「アラン様のお子様が一歳でしょ。内外の要人がお祝いにこられます。そのもてなしの一環なんですよ。

グランディもギガントを吸収して、強力な国になって来てますし。」

ああ、確かに。この世界は一歳のお祝いには力が入っている。

乳児の死亡率は高いからだ。

おや、それじゃ選び取りはするのかな。

チケットをみたら、三月十八日だ。

お誕生日の次の日かな。

「流石にお子様たちは来られませんが、アラン様ご夫婦が来られる。

アンディ様が来てくだされば護衛になりますからね。」

「くくく。ちゃっかりしてるわね。アラン様が来られるからもちろん護衛はするつもりだったけどネ。

ま、ロンドがメインに護衛をするとは聞いているよ。」


「え、では私が行ったらマズイのでは?」

ラーラさんが尻込みをする。


「ふふふ、大丈夫ですよ。私が隣りに座りますから。

貴女の出自を探るものは蹴散らして見せます。

私の身内には誰も手を出しません。」


うわあ、グイグイくるなあ!マーズさん!


「それにね、」とショコラさんが言う。

「貴女は正直言ってメリイさん似の美少女にしか見えないわよ。そちらのご親戚かと探られるかもしれないけどさ。

それに、私達が外に出さなかったのは顔バレより、貴女の心を落ち着かせる為よ。

あまり人混みに出たくなかったんでしょ。

ここにこもっていると安心だものね。」

そしてチラリとマーズさんを見て、

「レプトン様とのデートも、郊外であまり人気ひとけが無いところだから行ったんでしょ。」

と言ってのけた。


うん?あらら。波風を立てようとしてるの?

アナタ?

何の牽制??ええ?わざわざレプトンさんの名前を出すなんて?


アンちゃん、下向いて面白そうに笑ってないで収めてよっ。

朝はどこから。ですね。タイトルネタ。

誤字報告ありがとうございます

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