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よろしい、ならば。報復だ。

その日のうちにエラ様は匿われた。

この国では王妃様の美麗漫画のおかげで、彼らの恋物語は深く知られている。


今それに追加されたのは命の危険があって危うく逃げ出したエラ姫を助けたアラン王子という美談だ。


間違ってはいない。毒蛇がいたのだから。


向こうの王からは戻せと、アメリアナ様と交換しろと言われたらしく、

王様がまたマジ切れしてるそうだ。

なんかキレると昭和の不良になるからね。あの王様。

ライオンのたてがみみたいな髪を振り乱して怒る様は相手を威圧するだろう。


さて、久しぶりに王宮にきた。王妃様からのお呼びだしだ。

リード様もいらっしゃる。


会員制食堂あっちにいけないから。なんか食べさせてー。」


とのことで、懐かしいチキンライスとそれを卵でとじたオムライスもどうぞ。お好みで選んでね。

野菜スープやポテトサラダも添えてみた。

「いーわ!なんかデパートのお子様ランチみたいよ!

オムライスはふわとろの卵よりもこっちがいいわ。

昔はアーモンドのかたちに?チキンライスを固まる型があったわね。」


「はい、ありました!ない時は小さめなお茶碗で代用したりしましたね。

グリーンピースもかざったり。

そういえばお子様ランチで思いだしましたけども、おばあちゃんの原宿巣鴨でおばさまランチってありましたよ。

旗が乗っててなかなか。お味も良かったです。」

「今度再現して!是非是非!!」 


「おお、母上が嬉しそうでよかった。」


さて。ゴギゲンな王妃様だったけど、隣国の話になると顔が曇った。


「ちょっとね、腹がたったの。だから、王家のエメラルドあの三点セットを送ったの。エラさんに。」

「それは素晴らしいですね。」

「それでね。その噂を聞いたものが狙ってるという情報を聞いてね?あえて隙を作って盗ませたのよ。」

「あら。」

「もちろん。あの馬鹿妹の仕業よ。」

「確か盗んだものの命を吸い取るというデマのものでしたっけ?」

「ええ、例のレッド伯爵家騒動のね。ちゃんと盗んだものに呪いがかかると噂をまた流しておいたわ。」

「まあ、取る方が悪いですから。」


「母上は昔、絵本を自ら描いて読んでくださっていたのだがね。」

「はい?」なんだい?唐突にリード様。


「その中にとしでんせつ。ってのがあったわけ。

わたしメリーさん、あなたのうしろにいるの、とかね。」

 

「わあ、懐かしい。

それ、カレーヌ様も読んだんですね。

寮の部屋に白塗りで現れた時、心臓が止まるかと。」


王妃様自ら怪談広めたのか。


「あの頃はまだ、ハッキリと前世の記憶はなかったけどね。夢で見たの。リードが5歳くらいかしら。」

王妃様は時々記憶のかけらを夢という形で思いだすことはあったと言う。


「子供は怖いものが好きでしょ。ほほほ。

限定で出して配ったのよ。」


そういって絵本を見せてくださった。

あらー懐かしい。トイレのハナコさん。

やっぱり書いてあったか。メリーさん。

(白塗りなのは他のメリーさんと混じってるかも。)

高速のターボババアならぬ、馬車を物すごいスピードで追い越す老婆。

人面犬。マスク美人ならぬ口さけおんな。

子供の頃は本気で怖かったわー。

それが王妃様の少女漫画的な挿絵がついていて、

楳○かずお先生もかくやという、幻想的な怖さ。


よくこんなん、王子たちにみせたな。

リード王子がひねてたのはコレのせいもあるのでは?


「それで次は王家の宝石の話を描いて広めるのですか?都市伝説、第二弾の本を出して。

ホープのダイヤモンドのように?」

「それも良いけどね。」


「王妃さまー!頼まれたものできましたー!

手に持つと持ち手が妖しく光るんですの。

あと、ここのボタンを押すとひっひっひっと笑い声が聞こえます!」


エリーフラワー様がはいってきて、手に持ったものを見せた。

「むらさき(のフチと持ち手がついた)かがみ!」


ちゃっちゃらっちゃーん!!


ドラ○もんを彷彿とさせます。


「ほほほほほほほ!都市伝説の定番でしょ。

さっきの絵本にも書いておいたわ!」

それでページをめくると、


〝むらさきのかがみ。このことばをハタチまでおぼえておくと、けっこんできません。

ほかにもふこうがおとずれます。

さいしゅうてきには○が。

だけど、

白い水晶、ピンクのかがみということばを

となえるとよいです。〟


と書かれていた。

(なので、コレを読んでるよいこの皆さん、安心してね。)


「ハタチ過ぎてまで覚えていたけどなんて事なかったわね。」

「なかったですね。」

(だからよいこも安心してね。)


そして王妃様はかがみの対処法が書いてあるページを


しゅぱぱっ!と切り取った!


その姿、大河ドラマの鎌倉○で、宮○りえが、

連判状から自分の夫の名前を切り取った時のごとし!


「ああっ、母上何を?そんなことしたらこれを読んだよいこが恐怖のズンドコに!」


「大丈夫よ。リード。恐怖のずいずいずっころばしに苦しむのは宝石を盗んだ悪い子だから。」


恐怖のどん底です。


「スケカク!」

「はっ!」

「この絵本と紫色のしかけカガミをあの盗人の部屋に置いてまいれ!」

「ははっ!」

天井から降りてきて、闇に消える忍びたち。


「ネエ、レイカ。あの盗人アメリアナはね。

今19歳なのよう。ほほほほほ!

あと二か月でハタチなんですってえ!!!

ウフフふふ。」


王妃様。ナイスです?


「なるほど。それならもっとえげつない仕掛けをするべきでした。

あの盗人のトイレに、はーい。という音声を仕込むとか。」

エリーフラワー様。


三日後。王家の宝石が宅配便でもどってきた。

ごめんなさい、というメモがついていたそうだ。

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