小さな恋の物語。
誤字報告ありがとうございます!大助かりです。
そんなこんなで、すっかりレプトンさんのことは忘れていた。
何度か猫カフェには来たみたいだけど、私もラーラさんも子供の世話で忙しかったのである。
「はっはっは。そうか。キミはミーコちゃんか。
そしてキミはチャチャくん?みんな別嬪さんだ。」
ある日♪店の中♬レプトンさんを見かけたよ♩沢山の猫じゃらしの中♫レプトンさんを見たーよ♩
と、森のクマさんの童謡が脳内に流れる。
物凄く猫と触れ合っている。全力で楽しんでいる。
「もうね、ヘビーユーザーなんですよ。」
サマンサちゃんが言う。
「そうなのね。商売繁盛ね。」
「あ、レイカさん!お久しぶりです。」
「ええ、お久しぶりです。毎度どうも。」
お膝の上には猫ちゃんが乗っている。
「父がね、動物嫌いでしたから。飼えなかったんです。今度飼ってみようかな。こちらの猫は引き取り可能なんですよね?」
「ええ、クロタはウチの実家の猫でダメですが。
あとはタマちゃんも。彼女はネモさんの使い魔っぽいですからね。それ以外の子なら。条件があえば、トライアルをしていただいて。」
「そうなんですか!いやあ本当に猫ちゃんは可愛い。」
その時ドアが開いた。
「いらっしゃいませ。」
「こんにちは。」「コンチワ。」
メリイさんと龍太郎君だ。
「お兄様が猫を飼いたがっていると聞きました。
どの子ですか?
あ、とりあえずオーダーを。ココアを二つね。」
おお、メリイさんわかってらっしゃる。
お客様にはワンドリンクをオーダーお願いします。
「これは、私から。転生者サービスよ。」
「レイカさん!これは!ジャ〇〇!?嬉しいっ!」
じゃん。出してみたら食いついたね。
「マジ!マジマジとミタけど、マジなんだ!」
よくわからない喜び方をする龍太郎君。
お茶を堪能した後で。
「メリイはオレを見て猫チャンが怯エルとイケナイカラって。相性を見にキタノサ。」
龍太郎君はあたりを見回す。
確かに。キューちゃんはすべての猫ちゃんを怯えさせるからね。
あら龍太郎君もだわ。
猫ちゃんたちが毛を逆立ててる。さっきから隠れてる。
ウウー。唸り声も聞こえるよ。
「取って食ったりシネエノニ。」
龍太郎君はしょぼんとしてる。
「そうですわ。お兄様。私そろそろ家を出て龍太郎とハイドさんと、エリーフラワー様の寮に戻ります。幾らでも飼えますわ。」
「そんな!」
「ソレニネ、レプトンサン。猫ってさエサをくれる人に懐クヨ。このままだと多分ハイドを一番好きにナルケド、いいの?
俺ら三人はもう寮に戻ルヨ。親孝行もシタデショ。」
「う、うーん。」
しょぼんとするレプトンさん。
「すまないね、オレがハイド君に冷たかったのは認める。だけど大家族もいいなと最近思ってきたんだよ。」
沈むレプトンさんにチャチャが身体をこすりつけた。
「おや、ミドコロあるジャン。」
「この子なら来てくれるかもね。」
ドン!
突然ネコカフェとレストランとの間のドアが開いて、
音と共にシンゴ君が転げ出た。
「何するんだ!痛えなあ!」
後ろを向いて怒鳴っている。
「シンゴジャナイカ。」「あら、お久しぶりです。」
「龍太郎、メリイさん。レプトンさん。どうも。」
立ち上がって挨拶する。
ふーん。ドアからメリイさんを覗いている所を、ラーラさんに押されたとみた。
なんか不憫でおばちゃん泣けてきた、と同時にストーカーみたいなのやめろよ、とも思う。
「ほら!オレを押したついでにお前も挨拶しろよっ。レプトンさん、ラーラいますよ!」
「ちょっと!」
シンゴ君がラーラさんを引きずり出す。
「ラーラさん♡」
「ヨ!元気カイ?」
「聖龍様。お久しぶりです。レプトン様。猫カフェにようこそ。」
「まあ、この方がラーラさんなのね?」
メリイさんが微笑む。
「ウチの兄がお世話になっておりますわ。」
「いいえっ!まったく関わっておりません!なんのお世話もしておりません。」
ラーラさんは激しく顔を左右に振る。
「本当にお兄様が好きそうなお方。」
「何ですって!冗談でもおやめ下さいなっ!」
「おい!メリイさんに無礼な口聞くなっ!」
「シンゴこそ、メリイさんに未練持つな!
ハイド師匠には敵わねえよっ!」
「何だと!」
そう、ラーラさんはあれからハイド君のことを、料理ができる師匠として尊敬しているのだ。
先日、ウチにハイド君がたこ焼きの型を借りに来たのだが、目を輝かせて質問攻めにしていたよ。
「なるほど!可愛い顔をして毒を吐く!
カレーヌ様タイプですわね!兄が気にいるはずですわ!」
え、そうなの?と言うか、良くあのカレーヌ様の本質を見抜いたなあ!すごいぞ!
「や、やめろよ。照れるなあ。」
頭をかくレプトンさん。顔も赤いよ。
「……。」
流石に一同無言になる。
「私ははっきり言う人が好ましいのです!」
「えええっ。物好き。」
ラーラさん。ディスってるつもりだろうが、更に気にいられるよ。
「あの、ラーラさん!一度私と出掛けて傍若無人に振舞って下さい!そんなあなたを見てみたい!」
ええっとお?
「あのですね、私はマナーも知りませんし。
堅苦しいのは嫌いなんです。」
「では浜辺に行ってシーグラスを拾ったり。川で水晶やヒスイのかけらを見つけたり、森で木の実を拾ったりしませんか?」
「えっ?何か思っていたのと違う?」
それさあ。小学生の自由研究と違うの?
レプトンさんはじっと彼女を見た。
「生き生きとする貴女を見ていたいのです。
釣りや貝拾いもいいですね?
あ、それとも定番のスイーツを食べに行くとかが良いですか?ショップでアクセを買ったりというのもアリですよ。」
「イエ。高価なものは後が怖いからノーサンキューです。シーグラスとか水晶とかは加工して売るからそちらの方がいいですね。
木の実もヤジロベエや、リースの材料にして売りますから。」
今時ヤジロベエ。やはり工作?民芸品で売ってたかな?
「ほほう。そうですか。」
「デートというより材料の採取ですけど。私についてこれますか?」
「はい、宜しい。受けて立ちましょう!」
「沢山取った方が勝ちですよ。」
何の勝負?
「では、早速明後日出かけましょう。」
こうしてレプトンさんはラーラさんとのデートの約束?をもぎ取った。
まあ、頑張れ。
チッチとサリーでしたっけ。




