デスゲーム、です
「ごちゃごちゃ言ったら眠れないじゃない。」
あら。
アンちゃんが目を開けた。
「結局、読み通りに元レッド伯爵の領地に三馬鹿が行ったのは聞いたよね。」
「うん。」
「そしたら、ネモさんが待ち構えていたの。
領地の入り口で。というかいつのまにか周りを塀でぐるりと囲ってあって、唯一の出入り口に誘導されたわけ。
まあ、俺らもそこに張ってたんだけどネ。」
「うん。」
「あの馬鹿親父が出迎えご苦労、なんて言ってさ。
中に入ろうとした瞬間、ネモさんが脱獄者とそれを手助けする奴なんか知らない。母や妻を虐待するやつもゆるせない。
駆逐してやる!って。
さあ、みんな良いかい?といった瞬間。」
あら、なんか読めてきた。
「ハゲワシかな?コンドルかな?そういうやつ。
初めてみたよう、そんなでかいトリ。
それとワシかなんかが、集団で馬鹿親父を攫っていった。」
しばらく空中で放り投げてはキャッチ。放り投げてはキャッチを鳥達が繰り返してて、グッタリしたら
運んで行ったという。
「ネモさんが、こないだは遊びだったけど本気で良い?って鳥達が言ったから。
OKだしたよ。って言ってたわけ。」
オー・ギンさんがチョーソーへ、ゴー。と言った。何だろ。
「セバスチャンが父上を返せ!って飛びかかっていったんだけど森のくまさんたちが現れてさ。
相撲のけいこはクマと決まってるみたいだよ。セバスチャン。
良い筋肉じゃないか。鍛えたんだね。
さあ、ぷーさん、ピースさん、揉んでおやり!って。
ネモさんが行司さんになってさ。相撲三昧。ぐったりしたら運んでいったよ。クマさんが咥えてね。」
おおう。ネモさん、本気出してきたな。
「後の1人は?」
「あの長兄のクリストファーね。うーん、なんかさ、女か虎か。または注文の多い料理店。どっちのゲームやりますかって。
聞かれていたよ。
どっちにしろ、猫系の猛獣のぐるぐるガオガオした声がしてたさ。」
「それでどっちを選んだんですか?」
「料理店の方。トラってタイトルがいやだったんじゃない?」
「カレーヌ様があら、私が女か虎かの王女役やりたかったのにいーと残念がっていましたよ。」
とオー・ギンさん。
「俺、今回カレーヌ様と絡んでないんでね。」
アンちゃんが大きなアクビをした。
「あの子と話すと要らんことレイカちゃんに言いつけるヤカラがいるからさあ。」
あらら。
「結局、料理店のゲームはクリア出来たんですか?」
「いいや?ネモさんがペスちゃん達ワンコ軍団に
誰かついて行ってくれる?って聞いてたけど、
みんなイヤイヤって言ってたからね。」
えーっと。
「綺麗にカタがついたよ。こっちの出る幕がなかったね。あの人本当に何ものなのかね。」
「以前あちらの土地を視察した事がありますけど、
くらべものにならないくらいです。
花は咲き誇り、果物は実り、家畜は増えてる。
本人はね、あちこちで働いたのが良い経験になった、と言ってますけど。
…
やはり、忍びでは収まる器ではなかったのですね。」
「アンディさん。」
「なあに、ランドさん。いや、義兄さん。」
「あー俺の方が歳下なんで。ランでいいですよ。
ランちゃんで。」
ぷっ。
あはははははははっ!!
「アンディがこんな大笑いするなんて、珍しい。」
「だぁって、だって、この、可笑しい!」
ひー、ひーっと笑い続けるアンちゃん。
「ランド兄さん、さっき何を言いかけたの?」
「ああ、今回の任務は男性のみ連れて行ったでしょ。ここのクノイチさん達が、私も行きたかったって。」
「ああ、それね。コレ以上クノイチ減ったら、レイカちゃんのガードこまるでしょ、
俺がいないとき、外の更衣室とか、着替えるハメになった時さ。」
「?」
「いえね、クノイチの中でネモさん大人気で。
私が今回連れていった、若い女の子の部下のクノイチ。半数があちらに残りたいって言い出して。」
へーなるほど。
「大丈夫ですよ、ランちゃん!
くくくくっ、中々貴方もモテモテですよ。ここの女性陣に。」