表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
205/288

王妃様はかく語りき。

「メリイさん、ミッドライフクライシスって知ってる?」

王妃様がこちらにいらっしゃって、お茶を飲みながらおっしゃった。


我がレストランにメリイさんと龍太郎くんと、レプトンさんを呼んでいる。

「え?何ですか、それ。」

「多分ね、ご両親はその状態なのよ。

簡単に言うと、中年になって自分の人生こんなんで良かったろうか、となっちゃうことなのよね。

アレ?もう人生の折り返し地点を過ぎちゃった?って焦りだす。

鬱になることもあるけど、面倒なのは、男性の場合もうひと花咲かせるか!ってなっちゃって。

若い女にくらりとして家族を捨てちゃうことがあるのね。」


恋は遠い日の花火ではないってか。けっ。


以前ねー、いくつか見たわよ。常連さんで。

いきなり奥さんが若くなってるの。

だけど養育費と慰謝料にひいひい言って、生活苦から若妻に捨てられちゃって。ひとりぼっちになるのが、せきの山。


「トロフィーワイフとは違うんですね?」

「糟糠の妻を捨てて若い綺麗な妻をもらう奴?

ちょっと違うような。それは若者でもやるからね。」


「それで、父はああなったと?」

メリイさんの声は硬い。

彼らの父、グローリー氏はロージイの所へ押しかけた。

「ふん、色々言ってるけどね、根底にあるのは男としてもうひと花咲かせたい。このまま枯れたく無いというドロドロしたものよ。あー、ヤダヤダ。」


バッサリである。


「アレですか。無添加で育った人が、大人になって解禁されたらジャンクフードむさぼり食うみたいなものですか。」

「そうそう!ウチでは手作りオヤツしか与えてませんの。オホホ。なんていってる自然派マダムのお子様がひとんちで、コーラがぶ飲みの、ポテト爆食いするみたいなものよ。ふんっ。」


やけに具体的だなあ。つつくと蛇が出そうである。


「公爵はね、堅物として有名だったのよ。若いうちに多少遊んでおけば、こんなことにはなってないと思うわよ。

―あら、常識の範囲内よ!他の女性ともっと会話をしておいたりとかね!お茶をみんなで楽しむとか、

おほほほ。

とにかく女性をシャットダウンしてた事で有名なのよ。」


王妃様。おっしゃりたいことは、何となく薄々感じますが実子の前で言うことではないですね。

それで焦って話を逸らしてますね。


「まあ婚約者としては他の女性に目をやらない、誠実な男性ですよね。」

「そうね、レイカ。でもその反動がきちゃったのね。」


「母はいきいきしてますね。若くなった気もします。」

レプトン様がしみじみと言う。


「おほほほほ。マリーさんはミッドライフクライシスが上手く行ったケースね。

良いじゃないの。学園長との初恋が実るといいわねえ!」

「えええっ!?」

驚愕するグローリー兄妹。

外から見ればバレバレの事実なんだが。

渦中にいると良くわからないのかな。


「ああ!母が婚約寸前の幼馴染と泣く泣く別れされられたと言ったのは。」


目を丸くして兄妹は顔を見合わせる。


「ルートと私達みたいに一緒に育ったって。

親を亡くした親戚の子と。」

「学園長が、ずっと独り身だったのは、そう言うこと??」

「母がマナカ国へ飛んで行けたら、と言ってたのは。」

「学園長は7年前までマナカ国にいたわよね。」


納得が言った様である。


「オレが言うのも何だけど、イイ話ジャネエカ!

引き離サレタ二人が、結バレる。

畜生!泣かせるネエ!!」


レプトンさんが眉をひそめる。

「もう、龍太郎くん。まだ結ばれてないし!

決めつけは良くないし!」

おや、彼もマザコンの気があるのかな。


「おほほほ。良いわね。私、そう言う話が大好きなのよ。

二人ともゆめゆめ彼等の邪魔をするではないぞえ。」


恋バナがお好きだなあ。最後お仕事モードで圧をかけてらっしゃる。


「は、はいっ!」


レプトン兄妹は平伏して退場した。


「ほほほ。良いわね、レイカ。こう言う楽しい話もなくてはねえ。」

「ですねえ。」


「マリーさんは四十代かしら。まだまだこれからよ。」

「本当にそうです。」


「さて、これからエドガーとフロルと、ディアナの顔を見てくるわ。

ランちゃんと、アスカちゃんも大きくなったわね!」

「王妃様、素敵な名前をありがとうございました。」

助かりました。

「ほほほ。私はアランに聞かれて付け加えただけよ、あの子ったら三十も名前を考えていたのに、それでも、足りなかったらしいの。」

「え、そうですか。水占いとかで振り落とされたんですよね。」

「ええ、その中には可愛い名前もあったのよ。

デイジー、フローラ、アイリス、ヴァイオレット。

「ええっ。」

可愛いではないか。


「―お花シリーズが軒並み沈んでいったわ。」


何故だ!


「それで、私が見かねて追加したのよ。」

「王妃様が、和田慎二ファンで助かりました。」


「おほほ、次の子供が出来たら、手塚治虫シリーズでどう??」


「ちょっと考えさせて下さいね。」

ピノコやメルモならともかく奇子やばるぼら、はちよっとハードル高いっす。


タイトルネタは、ツァラトゥストラはかく語りき。ですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
あっ〇だクジぃ~、あっみ〇クジ~ぃ、どれにしよぉっか、〇っみだクジぃ~ せめて可愛い名前シリーズをコレで選ぶのはダメだったのでしょうか、アラン様…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ