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木になるものは。

それから一週間後。

隠れ家レストランのオープンだ。

王妃様がさっそくいらっしゃる。

リード様夫妻、エリーフラワー夫妻もご一緒だ。


「開店おめでとう!レイカ。はい、これお花!」

「おおー!胡蝶蘭ですか!嬉しいです。」

「開店祝いと言えば胡蝶蘭よねー、アルバート改め

ネモがいないから、なんか、庭園の花が元気ないのよ。だからこれはネモの所から取り寄せたの。」

そうなのか。

「おお!アンディ、レストランの主人も似合うではないか。僕らからはこれを。」


アンちゃんは今日は蝶ネクタイだぞ。


「リード様。からかわないで下さいよ。

なるほど。銀食器ひと揃いですか!ありがとうございます。」

「レイカ嬢、あ、ふふ。もうご結婚されたのだから、嬢では失礼だね。レイカさん。」

「ヴィヴィアンナ様!どんな呼び方でも大丈夫です!」

「レイカさん、コレ私たちから。サラダスピナー?とか言う野菜の水切りの話を私としたでしょ、試作品。

それからよりお肌に優しい台所洗剤の試作品と、

セラミックおろしだっけ。焼き物でのおろし器を作ってみたの。丸い形がポイントだったよね。」

「すごく助かります!実用的ですね、使いこごちを報告しますね!」


「アンディ殿,おめでとう!」

「エドワードぉ!オマエの顔を見るとホッとするよー!」

何故か抱き合うふたり。


「お、おい、レイカ!そんなに、み、みなさささまにぞ、ぞんざざいな、口を、」

「兄さん。」

「あら?お兄さん?似てるわね。」

「そうなんです。2番目の兄で、ランドといいます。ここで働くことになりました。」

「ははーっ!」平伏する兄。

「お忍びだから。苦しゅうない。

あー、なるほど、アンディは自分がいない時のレイカの護衛に身内を用意したって聞いたわ。

ほほほ。あのアンディが。すっかりレイカに夢中なのね。ぷぷぷ。」

「もう、おやめください、、」


「さて,今日はお鍋なんですけども、」

1人用のお鍋を固形燃料で温める。

「良く旅館とかである奴!」

「そうなんです。エリーフラワー様に固形燃料を開発していただきました。王妃様。お毒見の後でも温めなおせるから、あったかいのが食べられますよ!」


「う、うれしい。この世界には電子レンジが無いから。毒味のあと冷めてしまってばかり。」

「あと、ここには、忍びばかりです。お互いに見張ってますから、毒の混入の危険も減りますよ。」


「と言うわけでですね。とりあえず寄せ鍋です。毒味済みですから、温まったら食べられますよ。」


「ま!レイカそれは、ら、ら、ら、ラーメン?」

私が用意したものをみて、王妃さまがびっくりしている。

「ええ。王妃様。こちらをご覧ください。」

一冊のノートを差し出した。

そこには、ものすごい達筆な字で

「いつの日かこれを手にするものよ、

ラーメンの作り方を教えよう。」と、書かれていた。

「日本語ね!」

「日本語ですよ!!」

「どうしたの?これ!」

「ウチの百年くらい前のご先祖が書いた物らしいです。

多分、日本人だったんですね。」

「もしかして、昆布とか作ってたひとかしら?」

「可能性はありますね。」


かんすいは重曹から作れるのか、へー。

ここ何日かはラーメンの麺作りにはまってたよ。


若い人が多いと試食係がいていいね。


「今回は鍋に入れる少しの分しかないですが、

あ、この茹でめん、毒味済みですから。


今度ラーメンも作りましょう。

チャーシューは豚バラをタレで煮て、フォークが刺さる感じの柔らかさまでとか。

スープは寸胴に豚のアバラ骨いれて、鳥のがらをにて。

浮いてきた鶏油をとって別容器にいれてと。色々書いてありますよ。後でまた入れるんですね。

チャーシュー煮た調味料をしょうゆダレにするみたいです。」

「いーわねー。ところでアン、レイ、

新婚生活はどうなの?」


「な、何がですか?」

慌てるアンちゃん。

「やっぱり、アン、レイなんですねー。

って、何を聞いてるんですか。」


「だって、気になるし。」

「きになるのは、りんごだけよ、って返していいですか?」


「そうそう、そう言うおばさんいた!昭和に!おほほほは!」

「うほほほほほ。」


ハイ、中身昭和のおばさんだからね。


「レ、レイカ、オマエなんなのー。不敬にもほどがあるよおお。」 

「アレが通常なんです、何,すぐ慣れるでごわす。」

「そうよオ、マネしちゃダメ、絶対。王妃様が優しいのは身内以外ではレイカちゃんだけよ。

レイカちゃん、うほほほほと言う笑い声はいただけなくてよ。ゴリラみたい。」


もう。五月蝿い。


「王妃様、アンディさんに聞いて下さいな?

私たちの新婚生活とか、夫婦仲。当事者ですし。」

「まあ!そうよね!さア、アンディ。微に入り細に入り、くやしく。いえ、くわしく。

語ってもらおうかしら、ふふふ。」

「母上は恋バナがお好きなのだ。さ、アンディ。」

「リ、リード様っ、い、いやん、

こ、これにてどろんさせていただきます!」


白煙と共に消えるアンちゃん。

伝家の宝刀出しやがったよ。


「もう、イジメすぎですよ、、」

ため息をつく麗人。ヴィヴィアンナ様。


仕方ないな。話題を変えるか。


「あ、王妃様。オペラ座の怪人の演奏、凄くよかったです。ありがとうございました!」

「ほほほ!四季のCD繰り返し聞いたものよ!

紅白にあの人出たわよね。ファントム役の。

えーと誰だったかしら。」

「あー、えーと、ここまで出てるんですけどねえ。

私が舞台でみたのは佐野?さんでしたね。」

「あの人はビーストも良かったのよね。」

「そういえばオペラ座のあとは、アラジン、

美女と野獣とメドレーでしたね。

すごい。王妃様のアカペラの歌だけでの再現ですか?」

「ほほほ。趣味でコーラスのサークルに入っていたのよ。」


よっしゃ、話題がそれたぞ。


「オレ、オマエのこと初めて心から尊敬したよ。」

兄がポツリと言った。


視線を感じて振り返ったら、アンちゃんがカーテンから顔を半分だけ出してめっちゃ情けない顔でこっちを見てた。

(カレーヌ様と違ってちょっとだけ可愛いかもね、と思ったのは内緒だ。)

やれやれ。


ちなみに市村さんですね、ファントム。




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― 新着の感想 ―
今までもちょくちょく出てきましたが今回は四季たっぷりでしたね 昭和のおばちゃん(おばあちゃん)なのでお話が刺さりまくりでおもしろいです 整くんもおもしろかった 個人的にはビーストは芥川さんがイチオシ…
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