表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
181/288

春なのに。トラブルですか。

誤字報告ありがとうございます。

さて。エリーフラワー様御一家は研究所に移ることになった。

流石にいつまでもここに住んでいては、お仕事に支障をきたすしね。

――寂しいけど。


「ここと直通の陸蒸気の路線を引きたいけど。

秘密の場所ですからね。」


ええ、猫カフェだっていちげん様はたどりつけません。

誰でも行ける二号店は大好評である。

サマンサちゃんもあちらに呼ばれて忙しい。


母はエリーフラワー様のところのお仕事は終わりだ。今度は私の世話だ。


「レイカの出産まではお願いしたいのですが。」

アンちゃんが低姿勢に圧をかけてきた。


「失礼ですが、お礼はさせてくださいね。

………これくらいで、薄謝ですが。」


なかなかの金額を掲示してきた。

「ま、まあ。ホホホ。」

私でも転ぶわ。この金額。


「一度、帰ってあちらの様子を見てきたいのですけど。」

「ええ!もちろん。誰か手だれをつけましょう。」

アンちゃんはあたりを見回した。


キュー。


あら、キューちゃんいたの。

青い光と共に現れた。

「まあ、連れて行ってくれるの?」

「あア、それなら安心だ。」


キューちゃんの背中に乗る母。

「え?空を飛んでいくの?」


「キューちゃん、母を乗せてるときには、ドラ野郎とバトルはしないでね?お願い。」


コーン。


そして上空高く飛んでいったよ。

「キューちゃんはドラゴンに自分の姿を見せて牽制したいのネ。」


迷惑だなあ。巻き込むなよ。怪獣大戦争に。


入りかわりに部屋に入ってきたのはシンゴくんだ。

「アネさん、キューちゃんに乗っていたのは御母堂様ですか。

おーほほほほ!と高笑いをされてました。

いや、流石にキモが座ってらっしゃる。」


それ、怖くてヤケクソになってるんだと思うね。


「シンゴ、あっちの方はどうだ?エリーフラワー様とメリイさんは。引っ越して五日くらいたつよね、慣れてきたか?

それからその手はどうしたよ?」


あら、本当だ。手に包帯を巻いている。


「まずお二人の様子ですが。

メリイさんの記憶を元にして、器具やら実験方法の改良が進んでいます。

研究所みんな活気が満ちていますよ。

それから、ドラゴンが最近エリーフラワー研究所の上を飛んでます。

研究所の実験棟は国のハズレの荒野にあるんですけど、ヤツはその辺も縄張りだったらしくて。」

「うーん、危害は加えてこないのか?」

「ええ、それでブルーウォーターのマーズさんが気にしてくれて、連日来てくれてはいます。

あまりに続くのでネモ様に今度来てもらうとか。」


「ああそれは良いな。で、その手は?」


シンゴくんは苦笑した。

「昨日研究所から出たところで投石がありましてね。とっさにメリイさんを庇ったんです。

エリーフラワー様の特製軟膏を塗ったから大分いいんですよ。」

「あのツッチーの脱皮した皮入りのやつね、良く効くのヨ…って投石?」


「その場で取り押さえましたけど。ビッキーという娘です。

懸想しているマーズさんが、メリイさんにばっかり構ってるのが面白くなかったとか。」

「はああ?だからって投石はダメだろうよ、、

メリイさんに怪我が無くて良かった。」


あのビッキーさんが?


「どうせ、俺たち忍びが守ってるから怪我はしない、ちょっと脅かしたら国に帰るとそそのかされたらしいンですよ。

――もちろん、転生者だと知らされてなくて、

お嬢様が遊び半分で研修に来てるくらいの認識でね。」


「――このブルーウォーター公国にネズミが入りこんだのか?誰がそそのかしたんだ。」


「少し複雑でして。カチャって言う娘です。

同じ砂漠の民の。」


え、あのシンディの毒牙にかかったひとり?

ルビーの指輪をもらった?


「元々ビッキーとカチャは仲が良くなかったようです。カチャはまだサーカスにいますが、相方のレミはキューちゃんに焼かれてしまうし。

その心細い時にセティさんが様子を見に来てくれて、そのなんというか、依存する様になったらしいんです。」


アンちゃんが目を細める。


「それで邪魔なビッキーを片付けようとしたわけね。大事な転生者さまに石を投げた。しかも、公爵令嬢でしょ。即処分されると踏んだわけか。」


「それで砂漠の娘たちはネモ様のところの牢に入っています、ビッキーはそのうち解放されるとは思いますが。」

「カチャはどうなるかね。」

アンちゃんは硬い表情だ。

うっわー、胎教に悪い話を聞いてしまったよ。


「それで、マーズさんは?」

シンゴくんは難しい顔をした。

「――彼はビッキーが好きなワケではなかったから困惑しています。」



母は夕方帰ってきた。

「とりあえず生まれて首が据わるまではここにいるわ。

お父さんは微妙な顔をしていたけどね。」


流石にアンちゃんも神妙な表情だ。


「すみません、義母さん。オー・ギンも手伝ってはくれるそうですから。

双子で大変だとは思いますけど。」

低姿勢でペコペコ頭を下げている。


「何しろ、キューちゃんと一緒におウチに降り立ったでしょ。みんな度肝を抜かれていたわ。

それにキューちゃんを見て反対出来る人はいなかったわよ、ね、キューちゃん。」


キュー。


それはみんなびっくりしただろう。

私なら失神する。


「そうそう、レイカ。貴女桜が見れなくて残念がっていたじゃないの。」


「うん。」


「キューちゃんがね、こないだの花畑の上を飛んでくれたのよ。」

「お母さんがもらった花畑ね?」

「そしたらね。桜の木があったの!一本だけなんだけどね!

明後日あたり満開じゃないかな。

見にいったら?」


ええ!嬉しい!


「早速、メリイさんに伝えましょう。喜ぶと思いますよ。」

「何人までならキューちゃんが運べるかしら?」


キュー。


「掴まれば十人くらいは瞬間移動できるって。」

母が通訳する。そんな事も出来るようになったのか。


やったね。お花見だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ソレ、翌日ではなくて速やかにアンディさん報告案件なアカンやつやシンゴくん… レイカちゃんが巻き込まれたら、アンディさんがヒャッハーな人になりますね キューちゃんとドラゴンの一触即発状態もありますし…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ