まったく、まったく、まったクモー、どうなるの?
そこへ。
「ちょっとごめんなさいよ、…カレーヌ様!」
アンちゃんが目をまるくした。
「似た人が入ってきたと報告を受けて。まさかと、」
後ろからヤー・シチ夫妻も入ってきて、
「おまえが呼んだのか?アンディ?」
無表情な顔になっていた。
ウチの親族はビックリして、固まってる。
「呼んでませんよ!」
「本当に呼ばないなんて、水臭いわ!レイカさん!
私達はお友達でしょ!」
「お友達だったことがありましたか!?
だいたいあなた嫁入りしたではないかいな!」
思わずおてもやんを歌いそうになる私。
「え、もちろん嫁ぎ先のローレン家の許可はとったわよ、お友達の式に行ってきまーす!ってね。
教会はわかったけど入れなかったの。
ウロウロしてたら見覚えがあるお庭番の人がこちらへと。」
「だから友達ではなかたい!」
「あら。一緒にご飯を食べて、泊めてくれて、色々語り合ったじゃないの!
それも青春の1ページよね、なんのかんの言っても親切にしてくれたじゃない。あの親切は嘘だったの、綺麗な大切な思い出なのに、それと、
一緒につくった、筑前煮。
リメイクしたドリアの味。
美味しかったおかめうどん。」
ああもう、また卒業式の呼びかけ方式でたたみこんできた。
「…うるさか。」
「え?」
「さっき人生には三つの坂があるて、王妃様がいいんさった!
登り坂!
まさか!
そしてあんたは、
うるさか!たい!!!!!!」
私の怒りに固まる一同。
怒っちゃうと九州弁がでちゃうのよ、ほほ。
「…ローレン子爵夫人。」
「何よ、アンディ。」
「私たちの結婚を祝いに、わざわざお越しいただきありがとうございます。
しかし、招待状は差し上げておりませんね。
私のことも、これからはハイバルク子爵と。」
「アンディ。」
「ハイバルク子爵です。
…おい、誰がお通ししたんだ。」
「あ、すみません、俺らです。」
「以前、アンディ殿が守っておられる方でしたから。」
忍びの若い子達が震えている。
「もう関係ない。出口へご案内しろ。」
あーもう。なんかすごいアンちゃんが怒ってる。
意地になってる。
「も、元カノ襲来なの?」
ウチの母が恐る恐る口を開く。
「ちょっと違う。」
「まあったく!関係ないひとですよ!今となっては!ご心配しないでくださいね、お義母さん!」
「ふん。なるほどね。」
エリーフラワー様が鼻をならした。
「貴女、まだいたの。」
「私はあなたと違ってちゃあんと、招待されてますからねえ。」
そこでジロリとカレーヌ様を見る。
「貴女のとこは羊が名物だったかしら。あまり芳しくないと聞いてるわよ。
コ・イー・ワイ牧場とローリアさんの御実家、
トワイライト家の牧場が今、飛ぶ鳥を落とすイキオイだもの。」
「何が言いたいの?」
「ここに押しかけてきたら、アラン様までは行かなくてもコネがつくれそうなお偉いさんがいるかと思ったんでしょ。
それで婚家も送り出してきた。
そうよね?」
「それもあるけど。」
カレーヌ様が下を向いた。
「久しぶりに王都に来てみんなに会いたかったのも本当なのよ。」
「ご夫君にはたいそう大事にされてると、聞き及んでおりますよ。」
オー・ギンさん、いやもう義母さんが口を出す。
というか、カレーヌ様もまだ監視対象なのか。
「うん、まあ。夫には。」
「…お幸せではないのですか?」
あら?あらら?
アンちゃんまさか、カレーヌさんが気になるのかしら。
へーほーふーん。
「レイカ、怖い顔になってるわよ。」
母と姉が声をかけてきた。
「まったくよ、ロクなこと持ち込まないわね、アナタ。大体飲み込めたわ。
ハッキリいうわね、まだ子供ができないからって、
お姑さんにいびられてるんでしょ、
でもさ、花嫁さんの前でいうことでも、
以前、兄代わりに世話をしてくれた、アンディ様の前でいうことでもないわ。」
さすがに頭がまわるなあ。
「以前レイカさんが使っていたお部屋が空いてるから今日はとめてあげるわ。エドワード、送り届けてあげて。」
「了解でごわす。」
「どうせ、三男か次男かだったわね?出なさい、家を二人でね。どうせつげないんでしょう。
羊の牧場の売り上げが減ってるから、イライラしてるのよ、ご夫君の親。
だからさ、2人で研修っていって、ネモ・ブルーウォーター伯爵んとこいきなさい。
話はつけてあげるから。」
「ネモ?」
「元、セバスチャンの兄貴のエレンさんよ、面識あるんじゃない?」
「おぼろげに。でも、ネモ?ブルーウォーター?
」
「すごい仙人みたいな人だから。セバスチャンと違ってね。」
「あっちもまだ、人手が足りないみたいですしな。
コ・イー・ワイ牧場のほかに
ワクワクちびっこ動物ランドの家と言うのをつくりたいとこないだの手紙にあり申した。」
えっ。文通してるんだ。エドワードさんとネモさん。
まあ、気は会うだろうけどね。
エドワードさんに連れられて退出するカレーヌ様。
それをじっとみる、アンディ。
バシッ!
背中をどついてやる。
「い、痛ぁあいっ。ひどいわ、お嬢。」
「あ、あの狂犬をどつく令嬢がいるなんて。」
「ああ、あの人こそラスボスかもしれん。」
ヒソヒソと若い忍びたちがこっちを見る。
「ひい。お前大丈夫なのか。伝説のアンディ様をどつくなんて。」
青い顔をして震えてるランド兄。
「さ,行きましょうか。」
なんかアンちゃんも憑き物が落ちたような顔をしてる。
それから妙にニヤけて、
「焼いてもらうのは新鮮だわ♡、、
あ、やめて、痛いっ!」
二、三発どついてやった。ふん。
むしまるQでしたかね。まったクモー。