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重い愛にも程がある。

「さて、奥に行きましょう。」

レストランの奥の居住スペースへいく。

そしてそこのリビングへと。

「ここまで来るのは初めてですわ。」

感激しているメアリアンさん。

「俺も滅多にこないよ。アンディさんに用件を取り次ぐだけ。」

ランド兄が肩から力を抜く。

「私も初めてですわ。」

むさ苦しいところへようこそ。ヴィヴィアンナ様。

ミネルヴァちゃんがお眠になってお部屋に連れていく。お昼寝しなくっちゃね。


お茶を入れようととする私を制してエリーフラワー様が入れてくれる。

「もう、私は安定期ですから。レイカさん、そろそろ各種ニオイが鼻についてくるころではなくって?」

「いえ、まだ大丈夫ですよ。」

「そんな時にあんな汚いツラを出しやがって。ケッ!!ですわ。」

おや、エリーフラワー様にアンちゃんが降臨した。


「ここに皆さんで住んでるんですか?」

と、母の問いかけに

「そうです、まだうちの研究所兼自宅が立ちませんで。間借りさせてもらってます。すみませんね。」

頭をさげられた。


「いえ、ウチはかまいませんわ。」


「レイカさんのお母さま。前回のお産も今回の妊娠もずっとレイカさんにお世話になっているのですわ。本当に家族同然に思っておりますの。

ええ、前回なんか、レイカさんがご飯を作ってくれなかったら無事ではいませんでした。

今回もレイカさんが、恋しくて押しかけてきたようなものなんですのよ。私実家がありませんので。」


「まあ、レイカがそんなにお役にたってるなんて。

皆様にこんなに仲良くして頂きありがとうございます。」

感激と困惑の母。

「いいえ。エリーフラワー様。王都にいるときはこちらこそお世話になって。

ずっと泊めてもらったじゃないですか。」


いいえ、こちらこそおほほ、みたいなマダムっぽい応酬をひとしきりしたところで。


「さて、エリーフラワー様。これからどうなると思われますか?」

ピリリと空気を引き締める、ヴィヴィアンナ様の発言である。

「ええ、まずあの偽物ガルダインをサーカスに連れていくと思いますわ。」

「サーカスに?」

「多分。砂漠の残党のお嬢さん達にガルダインがこれからキューちゃんに滅せられる、と見せつけるのです。」

「あ、なるほど。」

「もしかしたらカレーヌ様のところが先かもしれませんね?1番ガルダインの生存を信じていないところからか。」


そこで気になってたことを聞いて見る。


「あのう、ガルダインはセティさんに切られたでしょう。

その、さまよったりしてないですかね?」

メアリアンさんが目を閉じてため息をついた。

「さっき言わなかったんですけどね、」

そこでレイカコーヒーことウィンナーコーヒーに手を伸ばす。

「あら、美味しい。ふう。」

そこで目を見開いた。

「ーーシンディさんについてました。がっちりツイてます。ああ、嫌なものみちゃった。けっ!」


あら、あなたにもアンちゃんが?


「まあ、キューちゃんがついてるからだいじょうぶでしょう。」

さっきのは憑いてる。こっちは付いてる。


「あーじゃあサーカスは最後ね。多分ね、あの中に密かにシンディとずっと通じてた娘がいるわ。

でなきゃなんでレイカさんのご懐妊を知るの??」

エリーフラワー様が眉間にシワを寄せた。


ヴィヴィアンナ様が静かに話を始める。

「彼が砂漠の国に行ってから、どの様な様子なのかは、マナカ国から情報を得ていましたわ。

いきなり戻ってきた第七王子にみんな驚いたそうです。何故か見破られることはなかったとか。」


いつも外交ご苦労様です。アアシュラ様からの情報ですね。


「彼等は本質も良く似ていて。もう魂も溶け合ってきているみたいなの。」

メアリアンさんがポツリと言う。


「それで、砂漠の国は混乱に陥ったようなんです。早速、2人の兄王子から刺客を差し向けられたけど、身体能力の高さでするりするりと逃れたとか。流石に三羽烏だけのことはある。」


「砂漠の国?一昨日崩壊したと聞いたわ。うちの蟹缶の代金も払わずに。大損よ。」


「ええ!?」


なんと。母の情報が一番早いとは。


「そうなんですか?シンディが消息を断ったのはここ一週間です。

毎週の報告が上がって来なかったので、またマナカ国からも目撃情報が上がってきませんでした。」

「なんだかね、偉い人が二人とも死んじゃったって。それでぐちゃぐちゃになってて、マナカ国もこっちにこないようにって守りを固めているらしいとか。」

母情報は続く。


「ううん。マナカ国は大国ですから、ウチに助けを求めてくることはないでしょうが。」

頭を押さえるヴィヴィアンナ様。


「このクッキー美味しいわ。ダチョウの卵入り?

カレーヌ様の新作ね。」

クッキーをぱくつきながら、

「いいえ。砂漠の国はマナカ国にとって目の上のたんこぶだもの。なくなってスッキリするでしょうね、というかそのうち吸収合併されるわよ。

ーーギガントとグランディみたいにね。」

と言い放つエリーフラワー様。


メアリアンさんがカップを両手でつつむ。

「なんか、段々わかってきました。

寒気がします。」


カタカタカタ。カップがなる。

ランド兄がメアリアンさんに声をかける。

「どうしたの?寒いの?」

エリーフラワー様が肩に毛布をかけてやる。

そうだよな、声をかけるだけじゃダメだよ。

ランド兄は気が効かない男だったか。


「大丈夫?何がわかったの?」

エリーフラワー様が問いかけた。


「多分ね、砂漠の国の二人の王子はシンディさんに切り殺されています。

彼の上に砂漠の民が何体も浮かんでいました。

誰だろう、と思ってましたけど、よく考えたらあの装束は砂漠の王族のものです。


ーーーもう、ここまで来たら彼の命は長くないのでしょう。悪いものが溜まり過ぎました。」


「何ですって!?」


ヴィヴィアンナ様が青い顔になる。


「確かに。もうキューちゃんも瘴気を吸ってくれたりしないでしょうから。」


「ええ、レイカさん。私が心底怖いなと思ったのは、シンディさんはいつでも王子達を屠れたのに。

一昨日まで暗殺してなかったことです。

混乱に陥れよ、という事で自分がそっくりフェイスを見せてうろつけばいいな、みたいな認識だったようです。

王子の1人が、いつでも殺れたけど、と言いながら切られたんだ!とぼやいてました。」


あ、嫌な感じ。まさかでしょ。ザワザワと鳥肌が立つ。


「ーーわかったわ。きっとサーカスの砂漠娘から

レイカさんの懐妊を聞いたシンディは、任務を終わらせて帰りたくなった。」

「それで手取り早く二人を葬った。」

エリーフラワー様とヴィヴィアンナ様の指摘は正しいのだろう。


何たるアンちゃんへの執念か。

ただお祝いを言いたくて?アンちゃんに家族が増えるのが嬉しくて??

それで自分を見て嫌がるアンちゃんの姿が見たくて??


怖い。




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