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わかるかな。わっかんねえんだろうな。

アンちゃんの目は赤い。さっき猫と触れ合った時とは別の涙が溢れている。

自分が否定されてる気持ちになってるんだ。

「ですから!

信頼されている私がお守りしなければ。フリードみたいな奴がいたらどうしますか!」


そっと、背中に手を当ててやる。ヨシヨシ。

ぴくりとするアンちゃん。


「ごめんなさいね!レイカ。貴女にも気を揉ませたわ!体調はどう?さ、お水でも飲んで??」


そうだなと思い、気を落ち着けるためにお水を飲む。

「いえ、私は何も?体調は悪くありませんが。」

王妃様が慈母の笑みを私にむける。

「昨日ね?メアリアンが、そっと私に耳打ちしたのよ。レイカさんのところに光が見えます。

まだ身籠ったばかりでご本人気がついてないのかも。と。」


ぶひゅーーっ!!ごほほほん!



「あ!いけないタオル!」

慌てるエリーフラワーさま。

こういう展開何回あった?ベタじゃん。というか。


「ごほ、げほっ。王妃様っ。ワザとお水を口に入れ

てる時に言いましたねっ!しかも飲むように誘導もなさって。けほほ。

――いや、全然気がついてませんでしたよ、マジなんですか?」

「おほほほ。本人もわかってなかったの?流石のメアリアン。

恐れ入谷の鬼子母神ねっ!」  


「おお!おお!めでたい!」

エドワード様。ピーターくんみたいだよ。

「おめでとうございます。うちのと同級生かな?」

にこやかなネモさん。

「あら、本当。ウチと学年は変わっちゃうのねえ。でも良かったわ。おめでとう。」

「ありがとうございます。」

「ほほほほ。レイカおめでとう。アンディもね。

おや、かたまってるわね。」


本当だ。石像のようだよ。以前もこんなことあったなあ。あ、そうか元カノ騒動の頃か。


「ちょっと、アンちゃん、アンちゃんってばよ。」

バシバシ。

あら、背中を叩いてもダメだわ。


「まだまだ自覚はないですよ。

ううん?そうすると?かなり初期ですかね?」 

「十月十日は嘘だものね。ホントは280日だっけ?」

「あー、そうですねえ。では六月ですか。」

王妃様の問いかけに速攻解答を返すエリーフラワーさん。

「ではまだ安定期まではそっとしておかないとダメでごわすな。」

「そうね。ここの医者ではまだわからないわよ。

日本みたいに検査薬があればねえ。」

「でも、メアリアンさんが言うからホントでしょ。」


「アンディ。いつまで固まっているの。まだわかってないの?」

アンちゃんが王妃様の声にぴくりと動いた。

「信じられなくて。」

「うん。」

「お、、いや、ワタシが親になるなんて信じられなくて。」

つうーーと、涙が滴り落ちる。


新しいハンカチを渡す。さっきのはお猫様のヨダレでベロベロだからね。


「アンディ。わかったでしょ。長生きしなさいよ。

ねえ、そんなやり方で仕事をしていたら、すぐレイカが未亡人になって苦労するじゃない。

でも、ほほほ。レイカならすぐ次が見つかるわよ。

私が紹介してもいいしね。ほほほほ。」


うわあ。何てこというのかしら。


「そ、それはダメですっ!他の男を紹介なんてっ!!」

きりっ!とこちらに向き直るアンちゃん。

あら、アンちゃんの心に刺さったようだ。


「わかりましたっ!前線から退きますっ!!

多少の警備はしますけども!」


「そうねえ。アランがブルーウォーター内にいる時はお願いするわ。」

「大丈夫でごわす。アンディ殿。また瘴気が溜まったらキューちゃんに吸ってもらうと良いのです。な、キューちゃん。」


キュー。

エドワード様に良いお返事を返すキューちゃん。


「それにね、アンディくん。一度でも呼び出したことがあるUMAはまた呼びだせるよ。

たとえ君がブラックデビルになろうともね。」


「そうなの?ネモ。」

「ええ、王妃様。つまりアンディくんが危険なとき、助けを求めたらチュパカブラが助けに来てくれますよ。

彼はね、吸血というか生命力を吸い取るのですよ。」

それって。ハリ○ポッターの吸○鬼?


「すごいなあ。」

エドワード様が感心している。

「え、じゃあ。私もミノタウロスが呼べるのかしら。」

ネモさんは破顔した。

「ええ、ええ!是非呼んであげて下さい。レイカさん。

奴は喜びます。それに貴女の良い護衛になりますよ!」

「ようし!ミノちゃん!カモーーン!!」


パカラッ、パカラッ。


ヒヅメの音がしてミノタウロスが隠れ家レストランに入ってきた。

誰も止めなかったのかしら。まあ、止められるもんじゃないのか。

「アネだん、おめでどうっず」

おや、言葉が上手くなったじゃない。

お花を渡された。

「何故、おめでたを知ってるのだ?」

ネモさんが不思議そうに言う。

「メアリアアナナ、だまの、づぢのごがいっでだ。」

メアリアナさまのツチノコが言ってた、か。

「はあーー!キミたちUMAの連絡網はすごいなあっ!」


ネモさんもびっくりだ。

あ、そうそう。

ずっと渡そうと思って忘れてた。

「はい、ミノちゃん。新しい腰ミノとアンダーパンツ。」

「!!あ、アネだん、ありあとっず。」

ミノちゃんはぺこぺこ頭を下げた。

「あぶだいどぎば、がげづげだず。」

危ないとこは駆けつけます、かな。

「けっ、今は危なくないよ。けえれっ!」

アンちゃんが、しっしっと、追い払う。

「ばい。あにざん、じっれいしやった。」

ミノちゃんは去っていった。


「うむ。レイカさんがミノちゃんを使えるのは良いですね。動物園の助っ人としては大助かりです。」


「ネモさん!しばらくはレイカは外に出しませんからっ!安静にしないとっ!」


アンちゃんが過保護になった。

「まあ、ほほほ。コレで娘でも生まれたら大変ねっ。溺愛しそうだわ。」


王妃様のからかいに、ムキになるアンちゃん。

「何をおっしゃいますか。娘だったら嫁に出しませんっ!!」


いや、気が早いって。


あ、そうだ、コレは言っておかないと。


「ねえ、アンちゃん。」

「え、なななにに?」


「私にも絹織物を頂戴ね?」

いいやつをね?



松鶴家千とせさんでしたかね。


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― 新着の感想 ―
あらまぁ、おめでたいコトです …過保護になりすぎて、レイカちゃんにウザがられるアンディさんの姿が見えますけど クスクス( *´艸`)
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