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思い過ごしも恋のうちなら、このまま通り過ぎて。

誤字報告ありがとうございます!訂正しました。

その後、売店をゆっくりと見た。

可愛いタイプのぬいぐるみ。リアルなタイプのぬいぐるみもあり。

二分の一のスケールのダチョウのぬいぐるみ。

しっかりと固く自立している。

「コレなんか乗って遊べそうね。」

王妃様も御満悦だ。

「ミドリナ様は手芸にお詳しかった。

彼女がいらっしゃるときに工房を作りましてね、そこが拡大してぬいぐるみも手がけています。」


ああ、最近エラ様のお世話にミドリナ様はかかりっきりだものね。

「その工房の責任者代理がマーグのお付き合いしてる子なんですよ。」

ニコニコしてマーズが言う。


そのマーズを熱い目で見つめるビッキーさん。


王妃様はそちらに目をチラリとやる。

「なるほどねえ。」

そういうところの感は鋭いお方だ。もちろん王子様達からセティさんの報告も受けておられるはず。


「ねえ、マーズにマーグ。貴方達はサーカスにも関わっていたでしょ。そちらはどうなってるの?」


「あちらにも顔は出しておりますよ。こちらは立ち上げなので。」とマーグ。

「アラ、そう。じゃあね、マーズ。サーカスを案内してくれない?

ネモも少し付き合ってね。」

「はい。」「喜んで。」


牧場の外に出たらアンちゃんの肩に極彩色の鳥がとまった。

「アンディ、アンディ。」

「うわっわ、ルリルリちゃんか。

――ほらよ。」

アンちゃんが袖口からクルミを出した。

あらま。あんなところに入れてるなんて。

お洗濯の時には気をつけないと。


「カンシン、ナッツヨウイシタ、カンシン。」

クルミを大きなクチバシで噛み砕くルリルリちゃん。

「まったく、偉そうだな。」

と言いつつ目を細めてルリルリちゃんの頭をかいてやるアンちゃんだった。

「王妃様。このコノハズクとかいかがですか?」

ネモさんが小さなフクロウ系統の鳥をだす。

どこから出したんだ。

しかも、掛川花鳥○にいたポポちゃん?だっけ?

に良く似てる。


「可愛い!やだ!何この子!可愛い可愛いわー!!」

王妃様大喜びだ。

「以前欲しいとおっしゃったでしょ。こちらでいいですか?」

「ええ!ええ!いいの?」

王妃様大喜びだ。

「では、お届けします。ルリルリちゃん、この子を王妃様のおウチまで連れて行ってね。」

「ラジャ。」


二匹は連れだって飛んでいった。

ネモさんは王妃様に鳥の扱い方を教えている。

その間に先に進む私たち。

三人になったところで、アンちゃんが重い口を開いた。

「えーと、マーズくん。

ビッキーさんのことどう思う?」

え?いきなり核心をつくの?


「え?」


「あのね。あんなに熱い視線を送られてるのに気がつかない?」

「またあ。アンディさんからかわないで下さいよ。」

「いいえ、これはふざけてないの。ちょっと厄介かもしれない。

何しろあの恋バナがお好きな王妃様が触れないくらいだもの。」

「レイカさん?」


目を丸くするマーズ。

ため息をつくアンちゃん。


「君さ。セティ君のことを知ってるよね。」

「ええ、今から行くサーカスにもよく来ます。

砂漠のお嬢さんが二人来てるから、様子を見に。」

「そうかあ。彼はかなりの使い手なんだ。ガルダインを瞬殺したのは彼なんだよ。」


「ええ、ネモ兄から聞きましたけど。」


「だから、マーズ。君があの子を好きなら良いんだけどね。でなければ関わらないことだよ。」


ネモさんが後ろに立っていた。


「いや、ごめん。兄さん。そんな目で見たことがないから。

嫌いではないけど好きでもないかな。

彼女、動物が好きなんだ、とは思ってたけど。」


うう――ん。

ネモさんが頭をかく。

「物理的に離すかあ。マーズ、君はしばらくサーカスに専念して。猛獣がなつくのは私以外には君たち二人だけだからね。今のところ。

巨鳥牧場はマーグにしばらくかかりきりになって貰おう。

後は母さんに行ってもらおうかな。」

「アリサかえ。」

王妃様もいつのまにか後ろに来ていた。

「ええ、王子様たちの子守りをしておりますが、ピーターさんが来て下さったから手があくでしょう。」

  

それから馬車に乗り込んでサーカスに着いた。


そこには砂漠の二人の娘さんとセティさんがいた。

「そなたたちが砂漠から来たものたちか。

息子2人から話を聞いておる。」


さっそくかます王妃様。半眼にして口元を扇子で隠している。


「ははーっ。」

「グランディの輝く華である王妃様にご挨拶申しあげます。」

平伏する砂漠の民達。

「楽にするが良い。そなたがセティか。アランからも使い手だと聞いておる。リードも目をかけておるそうだな。」

「は、勿体ないことでございます。」

王妃様の圧にセティさんは震えている。


「どうじゃ、こちらには慣れたか。

シェルターの警備をしておるそうだな。」

「はい。」

「そちらの女性たちはどうか。サーカスでやっていくのかえ。なかなか見どころがあるとは聞いておる。」


「は、はい。」

「動物やスイーツ作りよりは性に合っております。」

「そうか、それは重畳である。

サーカスにはいるならこちらの寮があるな、

引っ越してくるが良い。

さて、セティ。そなたはそのままシェルターの警備をやってくれるのかの。

何、知っておろう。シンディがいなくなったから、警備が心もとないのじゃ。

妊婦もおるしな。可哀想な女性の力に引き続きなってくれるな?」


「は、はい。」


「それに、そなたの武勇伝は聞いておるぞ。ガルダインのことなどをな。

あとな、ゆめゆめこちらのネモの兄弟に迷惑をかけるではないぞよ。良いな?」


「は、はーっ!!」


ゆるやかにだけどちゃんと釘をさす、王妃様。


セティくん。メガネに汗が、したたり落ちているよ。


それから、マーズはサーカス専門となった。

セティはビッキーさんにご執心だから。

気をつけなさい。」

ネモさんとアンちゃんの言葉にひきつりながら、

うなずくマーズ。


彼女ビッキーの気持ちもわかるのだ。歳だってひとつしかちがわなくて親しみやすいし。

マーズは好青年で見かけだって悪くない。

それに彼の家系は可哀想な女性に弱いのだ。

何かと気にかけてあげたはずだ。恋に簡単に落ちただろう。


う――――ん。


セティさんは時々、牧場のビッキーさんに会いに行っているらしい。この先どうなるのか。

出来れば彼にも良い出会いがあればいいのだが。


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