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真夏の夜の夢のような。

「ハイ、みんないいわよ。目を開けてね。」

見回すとミネルヴァちゃんが目をギュッとつぶっていた。可愛い。

もう開けていいからね。


「母上。どうなさるんですか。」

「――うん。そうね。ええと。キューちゃんが手を上げたのよ…どういう意図があるのかしら。」


困惑している王妃様。

「キューちゃん!そうでごわすか!優しいな!」

そのまんま受け取る善人エドワード様。

「ええっ、まさか食べるわけ?お腹こわすわよ。」

キューちゃんの健康を心配するアンちゃん。

「……」

無言で腕を組むアラン様とリード様。


エリーフラワー様とメアリアンさんは顔を見合わせる。ランド兄は目を閉じたままだ。まさか寝てるのか?


ネモさんが口を開いた。

「キューちゃんが何を言ってるか、エドワードくん、わかるかい?」


「そうですな。どこぞへ連れていくと行ってますな。」

「ヤダ、あの世とか?」

アンちゃんが呟く。


「いや。砂漠の国へ連れて行って置いてくるって。」

ネモさんが代弁している。

何故だ。

「王妃様。キューちゃんは妊婦の命を危険に晒したシンディが許せないと言っております。

形だけ王妃様の命令として、シンディに砂漠の国への潜入をお命じ下さいませ。」


アラン様が目を丸くした。

リード様は、ため息をついた。

「もう彼はスネちゃまにあと一回、多くても二回噛まれれば死にいたるんだろ。もうそうしてやったらどうか。

私にはね、シンディが他所の国で婦女子に無礼を働き、ヘビの怒りを買うか、または周りの人間になますにされる未来しか見えないがね。」


「リード、優しいのね!」

「王妃様。マナカ国のあのゴッドハンドの医者に連絡はお取りになれますか?

――キューちゃんはこう言ってます。少しイジれば、ガルダインに見えるだろう、と。

偽のガルダインとしてあの国を混乱におとしいれよ、と。」

ネモさんが語る。


「―――それは!!!」


何という荒神だろうか。


「おお!白狐様はあの国に対してそんなに怒っておられるのか。おおおお!」

ピーターさんは慟哭した。


「以前も申しましたが、彼は我らに手におえるものではありませんし、善悪の基準は違うのです。」

ネモさんがため息をつく。


すると再度あのガラスの指輪をキューちゃんが口にいれた。


クチュクチュ、ポイっ。


お口くちゅくちゅモンダ○ン、、。ではなく。

おおなんと立派なアメトリンとなって出てきたではないか。

「コレをリード様がお持ちのプラチナのサークレットにつけよ、と申しておりますな!」


「あ、うん。わかった。すごいねー。」

リード様の顔は引き攣っていた。


そうか。ガラスと水晶は同じ成分だ。

だからガラスを黄色水晶と紫水晶のMIXである、アメトリンに変えられたのか。


すごいよ、キューちゃん。




さて後日。

王妃様のつてでゴットハンドの医者と連絡が取れた。

コテージにご招待だ。

「私は高いですぜ。」

不気味に笑う天才外科医。

えっ、あの名セリフが出るのかな。

150億円いただきましょう。ってな奴。


「貴方が会いたがっているものを連れてきたよ。」

ネモさんが指を鳴らす。

するとホテルの庭に現れたのは。


「ぱ、パンダちゃああああん!!」


すげえっ!ネモさんはパンダ外交をかまして来た!

確かにアラン様のパレードに出てたけども。

「なかなか彼に会うのは難しくてね。クマさんたちに頼んで、頼んで、やっとなんだよ。」


虫まで操れるネモさんでも大変なのか。

「うわあっ、竹をあげてもいいですかな。」

ヨッ!と手を挙げて挨拶をするパンダちゃん。


「先生。貴方を推薦したのは彼なんだよ。」

シュウウッ。

ネモさんのコトバで、現れた九尾のきつね。


「ええっ!ウチの庭にもお狐様をお祀りしてますぜ!」

先生大興奮じゃん。

アレか。ビルの屋上にお稲荷様の鳥居と祠がある様なものか。

「実在されたとは!」

「触っていいそうだよ。」

驚愕のあまり目を見開く外科医!

「なんですってええ!」


その後。コテージにパンダと、キューちゃんと一晩過ごしたそうだ。

「ありがとう。ネモ公様。一生の思い出だ。

至福のときをすごせたよ。

お礼にオペ代はかなり割引させていただく。

髪の色は変えられないから染めるか、恐怖で白くなったと言ってもらおう。」


流石にゴッドハンドと言われる事だけのことがある。

見事な出来栄えだった。

「おお!ガルダイン様に見えますじゃ!」


ピーターさんのお墨付きだ。


「いい?シンディ。お前に新しい任務と顔を与えたわ。砂漠の国で様子を探りなさい。」

「はっ。」

「キューちゃんが送ってくれるそうよ。」


そこにキューちゃんが現れて白鬼シンディを咥えた。

「え、ちょっと待って、結構痛い。」


「あら、レイカ、今日はお盆だわ。」

「そうですね、八月十五日です。」

「ネモ、今晩花火が見たいわ。出来るかしら。」

「はっ。キューちゃん。王妃様の頼みだ。

シンディから吸い取ってくれ。」


ガブリ。


「や、やめて。歯を立てないでーー、、

アレ?身体が軽い。」


そのままキューちゃんは白鬼ハッキーを咥えて走りさった。



その夜。


色とりどりの花火が10発程打ち上がった。

「お盆の送り火ね。まあ、ここの世界にはお盆は無いけどね。」

「コレで彼に憑いてたものが浄化されたんですね。

――半分くらいでしょうか。」


どどーん。


「来年も見れるかしら。」

「さあ、どうですかね。」

ほぼ無理だと思うけど、あ、いや、アンちゃんの瘴気で行けるかな?


「…可愛い子だったのよ、ジミーもシンディも。

もちろん、アンディも。」


「…」


もう、シンディには会えないのではないかな、

お互いそう思っても口に出さない。

お盆の夜だった。


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