顔合わせ。
三日後。三婆さんはアッサリと見つかった。
元ギガント王国内にいて、例の博物館の宝石を食い入るように見ていたそうな。
「グリーン、グリーンアイだわ、まさしく!」
「ええ、ホンモノね、ブルー。」
「ここで見れるとは。パープル。」
何のこっちゃって感じだが、
おばあちゃんたちの名前は、グリーン、ブルー、パープルらしいのだ。
名付け親は誰なのか?
赤い稲妻とか白い鬼とか、黒い悪魔とか、あの辺のセンスを感じる。
王妃様がつけるとめっちゃ昭和テイストだしな。
「もう亡くなった、今の王様のお母様だと。」
アンちゃんが名付けの秘密について教えてくれた。
「もう、彼女達今は70代後半かな。10年前に引退したんだけどさ。」
その後の側妃による襲撃事件の時はマナカ国にいたそうだ。
それで今回、彼女達はお城へ呼ばれたわけなのだが、
「我らがいればそんな事はさせませんでしたのに。」
「面目なく。」
「王妃様にあわせる顔がございません。」
と、王様王妃様の前で平伏したらしい。
私はその場にいなかったけどね。
見てらしたのはリード様だ。
王妃様とエリーフラワー様のことで話を詰めていたら、ちょうど三婆さんが見つかったとか。
「それで早速連れて来られたのですね。」
ヴィヴィアンナ様が微笑まれる。
「善は急げと言うからね。宜しく頼むよ。」
ここはリード様のお屋敷だ。関係者一同集められてる。
ウチら夫婦とネモ様夫婦とアリサさん、エリーフラワー様夫婦とミネルヴァちゃんだ。
護衛になったピーターさんもいる。
「おお!貴女がリード様の奥方様か。ウワサ通り麗しいお方じゃ!」
「それにお子様がたもお美しいこと!」
「ネモ様、奥方様、御母堂様。これからこちらのお国で御厄介になりますわ。」
順にグリーン、ブルー、パープルさんの発言だ。
歳もひとつずつ違って、最年長がグリーンさんだ。
「保養所があるとは聞いておりました。我らも入れて頂けるので?」
「ああ、それと仕事を頼みたい。」
「なんなりと。リード様。」
そこへスケカクさんとヤー・シチ夫婦が現れた。
「うわっ、本当にオババ様たちだ。」
「おや、お前たちももう引退したのかえ?」
「グリーンさん、まだまだ現役だよ。今日は貴女方が来るからとお顔を見に来たんだ。」
「お元気そうで何よりです。」
「ヤー・シチ。養い子のアンディは立派になったじゃないか。活躍は聞いてる。」
「「ありがとうございます。ブルーさん。」」
ヤー・シチさんとアンちゃんの声が揃った。
アンちゃんの顔は赤くなってるぞ。
「相変わらず素晴らしい肌とツヤ。とても75には見えませんわね、パープルさん。」
「オー・ギンよ。歳のことを言うもんじゃないよ。
何、姿勢を良くすればスタイルは維持できるのさ。」
確かに。パープルさんは1人だけシュッとしている。50代でも通るぞ。
前世の商店街にいた、クラブのママさんを思い出す。いつも日替わりランチを食べに来てくれた。さっぱりとしたアネゴ肌の人だった。
あとの2人だが。グリーンさんは普通のおばあちゃんに見える。とても忍びには見えない。
逆に街の中にすっと溶け込んで行けるタイプだ。
ブルーさんは学校の先生って感じだ。
そうだね、ロッテ○マイヤーさんだね。イメージは。
リード様は彼女らに状況を説明した。
「というわけなんだ。まだシンディの家はできてないけどね。それまではみんな保養所にいてね。」
「はい。」「承知。」「了解です。」
お返事は良いが、シンディのやらかしには内心怒りを覚えているような三婆さんだ。
目が怖くなった。
「それでは、他の方をご紹介します。」
ネモさんが立ち上がってこちらを指し示す。
「エリーフラワー様です。」
「みなさん、初めまして。私はエリーフラワーですわ。こちらが夫のエドワード。そして娘のミネルヴァです。」
「おうわさは、かねがね。」
「可愛いお子様。エドガー王子様の婚約者と
か。」
「お守りいたしますわ。」
「そしてこちらがアンディ殿の奥様のレイカさんですよ。」
「皆様初めまして。どうぞご指導御鞭撻の程よろしくお願い申しあげます。」
「ああ、貴女が!王妃様がとても親しくされているお方。」
「ご丁寧なご挨拶いたみいります。」
「私達を初めて見たのに怯えたりしないなんて。
見どころあるわ。」
ええ、前世でアラ還でしたからね。
「それからウチの王子たちの護衛のピーターくん。
ソードマスターをしてたんだよ。」
リード様の紹介に、
「宜しくお願いしますじゃ。」
双方軽く頭を下げる。
「あとはメアリアンさんも紹介したいけど、今結婚休暇中でね。
それで、ウチのUMAたちを紹介しようかな。」
とネモさん。
ネモさんが手を叩くと現れる、ビッグフット、雪男、ミノタウロス。
背中から剥がれ落ちる、ツチノコ。
「いつもはね、土木工事をやってもらってるから。」
「は、はあ。」
お婆さん達びっくりしてる、そうだよな。
「あの?彼等があっちを見て跪いてますけど?」
ブルーさんが指をさす。
「ああ、キューちゃんがいるのでござるな。」
エドワード様が発言すると、
ゆらり。
キューちゃんが蒼い光をまとって現れた。
「ひええええ!これはあちこちの国の石像で見た!?」
「不埒な者を焼き尽くすという!」
「神々しい白狐様!」
「おや、キューちゃん、人気ものだな!」
「九尾のキツネのキューちゃんですわ!夫を気にいって懐いてくれてますの。」
「きゅーたん。」
キュー。
あら良いお返事。
エリーフラワー様一家を見つめるキューちゃんの視線はとても優しい。
三婆様は驚愕した。
「それでは仕事の話を詰めようか。誰かシンディを連れてきて。」
リード様は薄く微笑まれた。
あら、そんな顔もなさるのね。腹黒っぽい笑顔。
アラン様にそっくりですよ。
流石にご兄弟ですね。




