求心力。
エドワード様も頷く。
「ここは自然豊かで平和でござる。子育てに最適ですな。
それに我々夫婦はアンディ様夫婦と離れたくないのでごわす。」
「私には、もう実家もなくて。
レイカさんを母とも祖母とも思って。頼ってますの。」
「アッ、ハイ。」
はは、せめて姉と母にしてくれないかな。
「エドワード!おまえと一緒だと楽しいぞー!」
「アンディ殿!ありがとうでごわす!」
ばしーん!ばちこーん!
ハイ、お約束。ぶつかり稽古の様な熱い抱擁。
リード様が腕組みをした。
「そりゃ、ウチの国は助かるよ。だけどね、グランディ王国には痛手にならないか?渋りそうだよな。」
「ふふふ。それなら他所の国に亡命するだけですわ。
私はどこへでも行けますの。」
「おお、キューちゃんも一緒に来てくれるかな?」
キュ、キューン。(いいとも!)
「わかった。善処しよう。最優先にグランディに品物を卸すとか。そういう駆け引きとか必要だよな。」
リード様がお手上げのポーズを取る。
キューちゃんがついてるならもう、他の人には勝ち目はないのだ。
「それに、」
リード様はいきなり優しい顔になって微笑んだ。
「あなた達家族がここに在住となれば、ヴィーも喜ぶよ。
エドガーもミネルヴァちゃんと離れずにすむ。
喜ぶだろうね。」
では、と言ってピーターさんを連れてリード様は出て言った。
「バイバイ!じいじ!」
「おお!可愛い姫様。またね、ですじゃ!」
相合を崩す好々爺のピーターさん。
「さてと。今度はネモさんと話さないと。」
「こないだ襲撃されたあたり、突貫工事で塀で囲ってるみたいですヨ。」
今壁は三重になりつつあるのか。
バームクーヘンみたい。
「ま、1番内側の壁はそろそろ壊すらしいワよ。ネモさんの力でかなり復旧しましたからね。」
「そういえば、人も増えて来ましたな。先日は楽団もいたでごわす。」
あー、年末の鎮魂コンサートのためか。
ギガントで職を失った楽団を呼ぶっていってたな。
それにエリーフラワー様のところの研究所も移転するのか。
…立派な都市だな。
でもまあ、そのうち王妃様も引退後はここに住まれるご予定だし。きな臭いことは起こらないだろう。
「後は病院も欲しいわ。ちょっと大きめの。
その前に保育所かしら。」
おお、ゆりかごから墓場までが出来そうだぞ。
やっぱりこの人、政治家にむくんじゃないの。
「ま、エリーフラワーの資金があれば出来るでしょうな。応援するでごわす。」
エリーフラワー様はアンちゃんをジッと見る。
「あの五人娘達はどうなってるのかしら。」
「うーん。あまり白鬼のとこには行きたくないので、また聞きですケドね。」
でも知ってるんだ。いつも間に情報を集めてるんだろう。
「彼女達の健康状態はおおむね良好みたいよ…まだうなされる子はいるみたいだけどね。
ビッキーは明日にでも牧場に見学に行くみたいで、ほかの5人もついて行くって。」
「カレーヌ様のとこには行かないの?人手がたりないんでしょ。」
「牧場の後に回るらしいわよ。
何、レイカちゃん。すっかりカレーヌ様と仲良くなったのね。心配してあげるんだ。」
「最近ケーキもらってるしねえ。」
そうネと言って声を立てて笑うアンちゃん。
「そういえば、パティさんとミミさんとリーリエさんは?」
エリーフラワー様の質問にアンちゃんの笑顔が黒くなった。
「色々大変みたいですよ。くくっ。」




