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馬車の中で。

「あんまり、話しても聞いても楽しいもんじゃないんだよ。」

ため息をつくランド兄。

「って言うかさ、あの馬鹿王子がぐっちぐっち言うもんだから、まずアラン様がブチ切れたわけネ。」


ああ。


アンちゃんも切れてますね。


「アイツ酷いんだ。始末されるとわかってからずっと、ビッキーさんの悪口言ってたんだよ。」

「なんでなの。」

「まとめるとネ。1人で死ぬのが嫌なんだろ。

世話してやったのに、暴力を振るわれた。処罰しろ、連れもどせ。一緒に追放しろ、ま、他にもね。」

「最後彼女がアメリアナに、似てたのがいけないと。」


「そこでアランさまが、スパン!と。」


どこを?

「その時はね、髪の毛が切れただけだ、

アイツが身をよじった、というか、ネモさんのヘビが引き倒して刃をさけた。」

「それからさ、ネモさんが冷静な口調で頼むんだよ。

続きは外でお願いします。コテージが事故物件になるのは困ります、って。

なんか、怖かったよう。」

「アラン様もね、そうかすまない。室内の掃除が大変になるところであったな。

あの方気配り上手なんだから。ウフフ。」


うひい。怖い会話だ。

 

「それで、アイツがうわああああってうるさくて。

ネモさんの蛇が噛んだら大人しくなったけどね。」

「今2回目なんだ。3回目で死にいたるよ、と。

説明付きで。けけけ。」

アナフィラキシーだな。

「それでね、ちょっと離れた丘の上までヘビが引きずっていったよ。ネモさんが口笛をふいたらヘビがたくさん来たんだ。」


夜口笛を吹くと蛇が出るよ、をガチで体験したのか。

口笛を嫌がるのはピッコ○か。


「もういいよう、アンちゃん。それからは割愛で。」


カッツ!アイ!!でね!

LIFEのあのネタ好きでした。



「はーい、わかりましたあ。」


アンちゃんはひとつ大きな欠伸をして、その後スースーと寝息をたて始めた。

その割には服が汚れてないな。

(着替えた形跡はない。)

では、アラン様の服が大変なことになってるのかしら。

主婦目線でジロジロ見る。汚れてるなら袖口よね。

「なんだヨオ、レイカちゃん。熱い目で見たら照れるじゃないの。」


あら、寝てたんじゃ。


「うっうっ。レイカ。お兄ちゃんにはわかるよ。

汚れと繕いものの心配なんだよね。

吹けば飛ぶような男爵家だったからな。」

そこまで、そんなに貧しいところでは無かったけど、カニ缶名産だし。

ただ4人兄妹だったからなあ。

キツイ時期もあったんだろ。


あら。メアリアナさんが、フリーズしてる。

元王女様にはビックリ話よね。

「お、お裁縫はまだ出来ないけど、きっと覚えます!」


おや。クラ○スばりの健気さよ。


「くくくく。大丈夫。俺は手を下してないよ。」

「――セティさんだ。あの人の太刀筋は見事だった。」

「あら、ランちゃん。言っちゃうの。

そうネ。セティくんだよ。彼、ビッキーちゃんに気があると思うねエ。

あんまり彼女をおとしめる発言をする馬鹿王子に辛抱できなかったのさ。

発作的の割には、仕事キッチリだったね。」


仕事キッチリ。引っ越しのサカ○。

踊るヒゲおじさんを思い出して、惨劇を想像しないようにする。ああ、べんきょうしまっせ。


「後はね、キューちゃんが持っていったのさ。

ネモさんが動物に処分させるには、外の焼け野原のとこが良いよねって。」


ふうっ。これで終了か。


「―そうでしたか。アメリアナの亡霊を追いかけてんですね、あの人も。

ギガントの血を引く王女というのはそんなに魅力的なんですかね。傀儡として。」


その時御者がこっちを向いた。

おやオー・ギンさんじゃないか。

そうだよね、でなけりゃこんな話、アンちゃんがするわけないよね。


「メアリアンさん。ランドさんはアンディの連れ合いのお兄様。貴女はその妻。

私達にとっても身内のようなものなんです。

ご心配なさらないでね。」


「それにね。あのバカ最後まであなたのこと、アメリアナだとわからなかったよね。けけけ。

ま、何の心配も要らないんじゃない?」


「…ありがとうございます。」


「若い忍びたちがレストランにお祝いの膳を用意してくれてますよ。カフェも臨時休業にしてますから。

エリーフラワー様たちもご一緒に披露宴をかねた宴会をしましょう。」


そうだね。血生臭いことは忘れよう。


宴会は和やかに行われたし、両親も駆けつけてくれていた。

エリーフラワー様が手配してくれたらしいよ。

ありがとうございます。

カレーヌ様もケーキを持って来てくれた。

「以前、ウチのおさげが迷惑かけたわね。

とにかく、貴女が幸せになってくれて嬉しいわ。

エリーフラワーさんとヴィヴィアンナ様とレイカとの女子会に貴女も混ぜてあげるわね。」


「ええっ!嬉しい!!」


おい、何で貴女が仕切るの、カレーヌ様。

私とエリーフラワー様とヴィヴィアンナ様はなあ、何日も一緒に泊まり込んだ仲なんだぞ、しれっと混ざって仕切るなよ。

――でも、ま、いいか。



イリヤさんとショコラさんとサマンサさんも、ニコニコして働いている。


平和だ。


さて、新婚夫婦にエリーフラワー様が近場のいいホテルを取って下さったよ。

これで一週間程ゆっくりしてもらおう。



途中で白鬼ハッキーがきたらしいけど、ヤー・シチさんが追い返してくれた。




「何故だあっ、俺も親族だろおっー!」



いいえ。そんな事はありません。


弟の妻のそのまた兄の結婚式になぜ、親族枠で出ようとするんだ。


血のつながりもないじゃないか。


「うわっ、白い鬼っ!つるかめつるかめ!

いや、ポマード!」



ほら、まだキミのこと怖いってさ。新郎が。




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